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第百六十二話 嘉位の答えと、香織のヒント


香織は立つことが出来なかった。ただ、ひたすら

泣きつくすだけであった。


八重と楓は、香織の傍に行き

ハンカチを渡して、二人で香織の腕を抱きかかえ

「お兄様なら、大丈夫だから、かおが、泣いてしまったら、誰がお兄様を支えてあげられますの?」


香織は泣きながら

「うん、うん、そうだよね、そうだよね・・・」

「あ、ありがとう、楓ちゃん」



一行は部室へ戻った。



監督は。

「どうした、皆目が赤いな」

監督も何かを察したようで

「あとは戸締りをよろしく、俺はいくから」


と言って部室を出ていた。



由良は、

「よし、やることは、明確だから、やろう」

「今日は、ここまでとし、明日まとめるから、明日の放課後も部室にね」



香織も泣き止んでいたが、

皆も、嘉位、香織に

どのように声をかけてよいのかが、わからず



それぞれ帰宅することになった。




瞳とせんさんは、手を繋ぎ、その後ろでかずきも、続き寮へ向かった。


せんさん

「嘉位と、香織さんに、なんと言えば良いのか、言葉が出なかった。」

「一番、年上でありながら・・・」


瞳、は、

「せん、大丈夫、あとは二人に任せるしかないもの」


かずき

「うん、そうですよ」



少し重い空気のまま、寮へ帰っていった。



一方、佐伯と桜井も、いつもとは違い、低めのテンションであった。

桜井

「あ!そういう事だったのね」

佐伯は

「え?」

桜井

「ほら、朝チョコレート作りの時にはキャプテン、楽しそうだったけれど」

「朝下駄箱で、監督が話始めてから、何も答えて居なかった」

佐伯

「あ、確かにキャプテンこうなることも、可能性、予測はしていたと言っていたものね」

「かおが、心配だ。大丈夫かな。」

「わたしたち、ほら、楓のお父さんの言いなりで、昨年酷い事したし」

「それが原因ではないにせよ」

「深く傷ついているのだろうな、かお」

桜井

「うん、これは何か、私たちが出来るという訳ではないから」

「かおを、応援する、ただ、それだけになるな」

「まず、明日避難マニュアルにとりかかろうね」

佐伯

「そうよね」



一方

楓は、少し気まずいと思い、車を呼んで、車で帰った。

丁度、服のサイズ直しが終わった事もあり、取りに行ってから、お屋敷に向かう事にした



由良と八重は

腕を組みながら


八重

「香織大丈夫かな」


由良は、少し長い沈黙を置いてから


「うん、問題ない」


八重

「本当?由良やキャプテンが問題ない、というときは、問題ないのだけれど」

「ショックだったろうな」

「キャプテンが海外に行ってしまったときだって、あそこまで、泣き崩れる事もなかったし」

「泣き虫さんだから、泣くのだけれど、あそこまでの香織は、初めてみたよ」



由良は、わかっていた。これもある意味、自分も同じような選択をしなくてはいけない事で、嘉位も俺も答えは出ているから

由良

「問題ない」



そういって、ただいまーと家についた


由良は話題を変えて、

「そういえば、ベッドっていつくるのだろうね?」

八重は、気にかけて、話題を変えてくれている事は、十分に感じ取り

八重

「うん、おかあさんに聞いてみようね、まず部屋で着替えよう、それからで」



嘉位と香織は

電車の中で、

嘉位に、香織はずっとよりかかり、手を繋いでいた。


香織、どうしよう、どうしたらよいの、言葉がみつからない。

香織はとても、不安であった。


嘉位は、香織のどのように対応して良いのか、わからない状態を理解し、

電車を降りて、


二人で手を繋いで歩きながら


嘉位は、香織を見つめて

嘉位

「心配してくれて、ありがとう」

「でも、大丈夫だよ」

と明るく振舞うが、


香織は、どう振舞えば良いのかが、わからない


嘉位

「香織、問題ない」



香織、え、いま、もんだい ないと・・・言ったの

嘉位が問題ないというのは、解決している、でも、その解決は選択をしたという。・・・

え、わからない



嘉位は香織を自分に向き合わせて


嘉位

「香織、遅かれ早かれ、この選択肢は来る。」

「それも、今回は悩むほどの事では無い。」

「そう、無かったのだよ」


香織

「でも・・・」


嘉位

「グラウンドでも言ったけれど、こうなる可能性が残る事も、想定はしていた」

「財閥を選ぶか、野球を選ぶか」

「いつかは、この選択肢が来る」

「今回は、グラウンド開きで、ちょっと僕のかっこいい所を、香織に見せられないのが」

「残念だけどね」

「別に野球をやめるわけではない」


香織

「え、そうなのだけれど、でも、・・・」


嘉位

「僕は誰にも譲れないもの、ものって言ってはいけないのだけど」

「それを手に出来ているのだから、それが全て!」



香織、御曹司の立場なら、そうなのだろうね。私も、頑張らないと。くよくよしていられない

香織

「うん、私も、きちんとその場に立てるよに、自己啓発を頑張ります」



嘉位

「え?・・・?」


香織、わたし、変な事言ったのかな?え?



嘉位

「違う、違う、香織そうじゃない、そうではない」

「これは、口ではっきり言おう。」


嘉位

「財閥と野球どっちを取るのか、いつかは来る選択肢、それは別に、たいした事ではない」

「それはその時の環境で答えは出る。今現在もいくつかの答えは出ている」

「その程度の事は、何も気にしていない」


香織?!その程度の事、財閥?それとも、野球?

香織は嘉位の目を真剣にみて



嘉位

「財閥を捨てる事も、野球を捨てる事も、僕には出来る」



香織!え?・・・どういう事、わからない、わからない、え?財閥を捨てる?野球を捨てる、両方?両方とは言っていないよね


嘉位

「財閥も野球も両方捨てる事を望むなら、捨てる、それより大事なものを手にいれているから」


香織、両方、財閥も野球も両方手放して、え?何を手に入れている、え、わからない?

香織は、何も答えが出てこない。じっと嘉位を見つめている



嘉位

「僕は、香織という、最高の宝物を既に得ている。これだけは、誰に何をいわれようが、譲ることは出来ない」

「財閥や野球はどうでも良いとは言わないが、その二つを天秤にかけるまでもない、全ては香織が居てくれば問題ない」


香織、え?わたし?わたし・・・わたしは、何もできないのだけれど

「え、わたし?は何も」



嘉位

「香織は、気が付いていないだけ、僕も具体的に、それがなにであるのかが、旨く表現できないのだが」

「香織は、僕を気が付かせて、導いて、信じてくれる」

「それも、僕だけ。他のだれでもなく、僕だけを見てくれている」


香織

「うん、嘉位だけを見ています」


嘉位

「香織の感性、感受性いや、そういう言葉で、収まらないのだ、これは、これから何か、言葉にできるのかな?」

「香織さえ、居てくれれば、何でも出来る!香織は世界中どこを探してもいいない、宝物、そう、ユニーク、この世に一つ」


香織、え!そう言ってくれるのは、ものすごくうれしいけれど、わたし、そんな女性ではないですよ

「わたしは、そのような女性では、」


嘉位

「いや、香織は自分で、自分を気が付いていないだけです。」

「これは間違いない。」


香織・・・。

「でも、でも、」


嘉位

「ずっと僕の側にいてください。」


香織は、また、涙が出てしまい

「はい」



二人はお屋敷について、部屋に入った。

香織は無意識に、嘉位に抱き着いていた。

香織

「すこし、このまま、こうしていて良いですか」


嘉位も頷き。


二人はなぜか、抱き合った。

とても、なぜろう、気持ちが落ち着いて

安心してきた、

香織は、特に、気持ちが落ち着き

まだ、このままで居たい。

わたしは、絶対にこの人を離さない。

離す事など出来ない。

なんで、だろう、こんなに安心するのは

あれだけ、泣いたのに

この腕の中で抱きしめられるだけで

言い表せない安心感があった。





そのまま、二人の時間は過ぎていった。

二人だけの空間の時間が






そして、もう大丈夫だと感じ取った嘉位は、ふざけながら

嘉位

「あ、でも、正直、投げたかったかなー!始球式!」


香織!え?

「やっぱり?」


嘉位

「うん、僕がマウンドで構えて、由良がマスクつけて、構えて、ずどーーーーんと」

「前もって、香織に話しておいて、投げ終わったと同時に僕のところに駆け寄ってくると伝えておいて」


「マウンドで、香織をお姫様だっこ!」


香織は、うふふ、と笑いながら


嘉位

「そうすると、由良が、そこは女房役の俺が、マウンドにいって、ハイタッチだろうに!!!」

「って由良が笑いながら、駆け寄ってくる!なんて、笑えたよね!」


香織は、想像し、笑った

「うん、おかしい!」


嘉位

「お、やっと笑ったね、香織」


香織

「そんなことも、考えていたのですね」


嘉位

「うん、ま、連であれば、問題ない、完璧にこなせるし」

「由良も、連もいずれ、僕と同じ選択を迫られる事は想像しているよ」


香織

「由良君も、連君も、ですか?」


嘉位

「あ、そうだ、そして同じ答えを出した時は、僕と由良は戦う事になる」


香織?え?戦う?

「どういうことでしょうか?」


嘉位

「つまり、ドラフト志願した場合、どちらも1位指名だから、チームが別々になる」

「そうなると、僕の球を由良が打席にたつわけで」


香織

「あ、なるほど、確かにそうですね。ドラフト1位指名ですから、だったら、怪我しちゃうとか?」


嘉位え!?え??え?

「うわ、香織、天才その発想は無かった」

「怪我を本当にするわけではなく、僕が負傷している事で、志願を出せば、支配下ではなく」

「育成で拾ってくれる、それをうまく、話しをあわせておけば」


「おお!!!香織、天才!!」

「それなら、僕と由良は同じチームでプロ野球が」

「そして、どうしても、戦いたい相手がいる、今は経験値、場数かな、かなわないけれど」

「そのころには、お互いがもっと経験をつんで、いつかは対戦を」


香織

「そうさん の 事!」

嘉位

「正解!!」

「おおお、楽しくなってきた!」


香織、こどもっぽい、嘉位にもどっている、うれしい、わたしももう、大丈夫。

マウンドでお姫様だっこも、なにかドラマティックだけれど、もう大丈夫

わたしも、がんばろう。お母さんや、千佳さんに聞いて、何をどうすれば、から。


二人は着替えて、広間へ


楓が座っていて

「あ、かお、なにか吹っ切れたみたいですね」

「お兄様も」


香織

「ばっちりです。もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」

「わたし、ごはん一緒にしてよいのか、悩みましたわ」

「かおが、ふっきれてよかったです」

「皆、心配していたのですから」


香織、あ!

「ごめん、そうだよね、嘉位、みんなに大丈夫と伝えて良い?」

嘉位

「もちろん、食事しながらでもね」


香織は、みんなに、今日はごめんなさい、もう大丈夫です。今は笑いながら3人で食事しています。嘉位も楓ちゃんもと送った。


八重や、佐伯、桜井、瞳さんから返信があり?


おなじような内容で、

もう大丈夫ってなにが、どうして、そうなったの?


香織は、返信で、


わたしが隣にいれば、それだけで幸せなのだって、私だけは絶対に手放さない。


送った後に、

あ、これ、

わたし、変だ。あれ?

ま、送っちゃったから

しょうがない。



その日は、ゆっくりお風呂に入り、

夜もゆっくり、濃厚にすごした。



翌朝、又駅で皆があつまっており

最後に、楓、香織、嘉位が来て



嘉位

「みな、おはよう!全て、解決した問題ない!」

「よし、今日は放課後、マニュアルを作るぞ!!」


由良、決断したのだなと感じ取っていた。


佐伯、桜井

「かお、この幸せ者め!!!!!」

「うりゃー、極大大魔法をくらえーーーー」


と賑やかに、下駄箱へ


瞳さんと、せんさんにも、元気よく挨拶し


瞳さん

「凄いは、もう、どう返信してよいのか、とにかく、良かったですね」


香織

「はい!」


瞳は、せんを、見て

「せん、あのような、決め台詞、考えておいてね、いつでも私は、準備できているから」


一同

わぁーーまた、公開宣言だ!!




せんは、また、直立不動になっていた。・・・いつでも、準備OKって・・・

甲子園、甲子園、甲子園。


その放課後、野球部の部室は

そりゃ、早い、早い、


佐伯と桜井、香織、八重はあぜんとしていた


タイピングの速度に


せんさん、瞳さん

かずき君に、楓ちゃん

キャプテン、副キャプテン



まるで、ピアノの連奏をしているかのように

ぞくぞくと、マニュアルが仕上がっていった




佐伯・桜井

「・・・この人たち、人間じゃないよね?」


桜井

「わたしの、魔法の出る幕は・・・?」

佐伯

「かりに、GAMEの世界だとして、MMORPG内でも、こんなに早いタイピングは、」

香織

「確かに、早い、私も早いほうだけれど、その域を超えている」


八重、もうわからん

「わたしだって、こういのはできるよ、超早いでしょう」


Z ボタンをずーーーーーーーーーーーと押し続けていた。

画面上に

zzzzzzzzzzzzzz

zzzzzzzzzzzzzz

zzzzzzzzzzzzzz



佐伯

「いや、そのスピードも越えちゃっているわ、異常」

桜井

「頭のいい人って、本当は、馬鹿なんじゃないの?異常」



「よし、終わり」

皆も、終わり、送信と


「おもったより、時間かかったね、あと25秒は短くなったのでは?」


香織?なにその秒の世界?


由良

「あ、ごめん、ごめん、ちょっとだけ、」

「視界に」

「zzzzzzzzzzz」

「が 目にはいってしまって」


八重!!!あ、それ!!それは

「わたしだ!」



一同、大笑い!



せんさん


「でも良かったよ、キャプテン、香織さんがいつものように戻って」

「これで、週末は楽しくチョコレート作りですね」



八重・・・楽しく?!どこを、どーすれば、楽しく!?

八重?・・そうとう、疲れるのでは?


八重

「ね、せんさん、カカオってどれくらいあれば、人数分作れるの?」


瞳さん、言っている意味がわからない。


「は?・・・、いや、普通、チョコレートを溶かして作るでしょう」


香織

「カカオから作れなくはないけれど、それだと時間がね」

「まず重くて、持って帰れないし」

「八重、瞳さんの言う通り、チョコレートを普通に溶かしてから、はじめるよ」



せんさん?!もしかして、八重さん


「え?原材料から作り出そうと、考えていたの?」



八重、え?わたしおかしい事言っているのかな?


「え?違うの?チョコレート作りって?」

「カカオって、どれくらい?必要?100グラムのチョコレート、板チョコみたいな?」



楓は笑いながら

「その板チョコ2枚が、大体100グラム」

「ちなみに、原材料からだと、カカオと、砂糖、カカオバターかな?」

「なにより、焙煎や混合の工程が辛いし、手つるよね!」

「1時間、下手すると2時間まではいかないかな」



「八重だけ、原材料から作ってもらいましょうね」



八重えええええ

八重

「いやだよーーーーー!!」

「うそーーーー!!」

「だって、チョコレート」

「作った事ないのだものー」


かずき!も笑いながら


「普通に考えれば、原材料から作るなんて、発想に至らないのだがね」


皆、笑いが止まらなかった





< つづく >


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