第一五九話 せんさん、と、瞳さん
話は数日戻り・・・。
せんと瞳である。
金曜日、テストが終わり、
せん は、一人で教室を出て、下駄箱へと向かっていた。
丁度その時、走って、せんを、追いかけて来たのが、瞳であった。
せん
「あ!瞳、おつかれ、どうしたの?走って?」
瞳
「せん、待って、待って、今日一緒に帰ろう」
「寮でごはん食べようよ!」
せん
「え?部活は?今日までテストだったから、今日から部活では?」
瞳
「今日まで、テストだったので、今日まで部活はお休み」
「明日からまた、練習始まる、テストも終わったから、今日は自由!」
せん
「そうなのだね、初めに聞いておけば良かったね。てっきり、部活だと思って」
「どうだった?テスト?」
瞳
「パーフェクト!」
「ね、男性寮の食堂で、ごはん食べようよ、おなかすいちゃって」
「ね!」
せん
「うん、え?男性寮」
「ま、来てみれば、わかるよ」
「行こうか?」
二人は仲良く、手を繋いで、男性寮へ
寮の受付に学生証をスキャンして、中へと
瞳!!
「うわ、なんで誰も居ないの?いや、何人か、ぽつ、ぽつ、は居るけど」
「こんなに、ガラガラ?なの?」
せん
「うん、2月になって、3年生も引っ越したから、後は卒業式だけだしね、野球部の3年生20名。」
「残っているのは、野球部2名と、吹奏楽部の数名だけになってしまい」
「ま、そうはいっても、来月末には野球部15名来るから、それまでの間は、ごらんのとおり」
「静まり返っている、もっとも、先輩達だけだよ、野球部の先輩」
「寮で、ジムとか使っていたのは、引っ越しした吹奏楽部の先輩も、今の残った吹奏楽部も」
「基本皆、自分の部屋で勉強しているからね」
「トレーニングルームはがらあき、個室や、大部屋を含めて、誰も居ない。皆自分の部屋で勉強しているからね」
瞳・・・
「男子、暗いですね、もう少し、運動するとか、みんなで勉強するとかしないの?」
「女子は毎日、もう、お祭りのように、騒がしいよ」
「女バスと、吹奏楽部で、トレーニングというより、遊んでいる、もう、皆、女だけだから、馬鹿、やったりしているし、もう、すごいよ、ジャングルね!」
「まれに、個室で勉強するのなんて、年末、年始の、せんと、わたし位?」
「女バスは、赤点ぎりぎりとか、多いね!」
「それを、吹奏楽部が補って、勉強の指導をしているのだけれど」
「もう、女バスを捕まえるのが、大変、トレーニングルームで追いかけっこ状態」
「ぎりぎりになって、諦めて、捕まって、強制的に吹奏楽部の鬼の指導が、女バスに」
せん
「・・・。なんとなくだけど、わかる気がする、女バスは、ものすごく目立つというか威圧感というか?」
「2メートルくらいある人も、居るよね?」
瞳
「2メートルは居ないかな、でも、それに近いくらいの子は多いよね、ハーフやクオーターの子とかね」
「皆、元気なのだわ」
「お風呂なんかも、大変だよ、もう、女バスより、先に済まさないと、何をされるのか!まったく」
と笑いながら、話してくれたが・・・
せんは、それは、想像してはいけないやつ、なのかもしれないと、思い、話を変えて
「では、何食べる?食べるもの、決まっている?」
「メニューは一緒でしょ、男子寮も、女子寮も」
瞳、さらっと、何か話題変えたな!!!!おしいーーい。と思いながらも
「そうだね、わたしは、うどん!」
「せんは?」
せん
「そうだな、ももの唐揚げ定食で!」
二人は、学生証をスキャンし、食券を受け取り、行ったん、席へと
瞳
「こう、がらがら、だと、どこでも、良いのね」
「男性寮に、女子寮の吹奏楽部の子を呼んできてあげたいくらい」
「食事も、もう女バスの、がつがつと、あの姿を見てしまうと」
「100年の恋も冷めるわね、きっと。吹奏楽部は、まともよ、まとも!」
「せっかくだから、窓際で、外が見えるところにしましょうね」
せん
「え?せっかくって?」
瞳
「窓際なんて、席とれないよ、女子寮!もう、女バス専用みたいな?」
せん
「あ、そういうことなのか、まー、色々と強そうだものね」
瞳
「そうそう!もう、大変。ある程度、度が過ぎると、女バスの新キャプテンが!怒号の激怒よ」
「そうなると、シーンとなって、落ち着いて、食べられるの」
せんは、笑いながら
「毎日・・・それだと、美味しく落ち着いて食べられないよね?」
「あ、呼び出しアラームが鳴った」
「取りに行こう!飲み物は?」
せんと、瞳は、昼食を受け取り
それぞれ、ドリンクも受け
窓際の席に戻った。
瞳
「では、いただきます」
瞳は、髪の毛を耳の裏にかけて、うどんをすすり、はじめた
せんは、・・・すこし、ドッキとしたが、観てない事にして、ごはんをと
「今日でテストも終わり、野球部マネージャー達は、無事にできたのかな?」
瞳
「大丈夫じゃない?まず、赤点って事は無いと思う、飲み込みが早いから、助かったし、せんの教えて方が良かったからだね」
せんは、部室での!初キスを思い出し、真っ赤になりながら、ごはんを食べていた
瞳、せんは、うぶなのね。うふふと、微笑みながら、瞳もうどんを、食べ終えた
瞳
「野球部って、男子もマネージャーも3月末の新1年生が来るまでは、何もしないの?」
せん
「キャプテンと副キャプテンは、日々トレーニングしているし、記録係は、他校の分析をしている。」
「動画とかを見て、細かくまとめているね」
「もっとも、キャプテンも、ものすごく丁寧に、わかりやすくまとめているから」
「あそこまで、出来る人は初めてみたね」
瞳
「あ、キャプテン、副キャプテンって、せん、かずきが負けた人だよね?」
せん
「そうそう、あれは、人間では無いね。異常。」
瞳
「たしかに、金銀、メダリストを倒すなんて、私だって無理だし」
せん
「瞳は、時間をかけて、確実に間違わないようにするから、確かにタイムを競うとなるとね」
瞳
「うん、こればっかりは性格の問題だし、普通に勉強するには問題が無いし」
「あ、そうだ、せん、これからテストの答え合わせしようよ」
せん・・・パーフェクトなのでは?
「あ、うん」
瞳
「では、ごちそうさまでした」
二人は、食事を下げて、勉強ルームへ
瞳、男子寮のほうが奇麗だ。同じ造りなのに、こうも、違うものなのか
トレーニングルームもちらっと、覗いてみたが、これまた、新品なのではと?!
という程に使われていた形跡が無く
女子寮も掃除はしてくれているので、奇麗なのだが
そういう奇麗な感覚とは別に、まったく使われていない、新品その物が置かれているような感じであった。
せん
「大部屋も、中部屋も、個室もどこでも使えるよ。個室も縦と横も、だれも居ませんから」
「皆、部屋で自習だと思います。」
瞳?!そう、そうなのか、よし
「では、個室縦部屋にいきましょう」
せんは・・・大部屋空いているのに、ま、良いか
個室の縦は机が、向かい合うようになっている。横は、机が二つ並ぶ形である。
せんと、瞳は向かい合いながら、座り、せんは、教科書と、マーカーと付箋を取り出して
「ここだよね、出たところ、簡単すぎて、良いのかな?」
瞳は、どこか、つまらなそうにしていた。
なんで、個室で、縦に座って、いきなり、勉強をはじめようとしているの?
瞳は、ペンを指でくるくる回しながら、どこか不満げであった。
もしかして、私?魅力ない?それとも、せんが、実は・・・不全なのかな?
よーーし。
瞳はあえて、ペンを回して、強くおして、せんの真下へ、落とした。
せん、あ、もう、ペン回しなどするから
と、
せんは、ペンを拾おうと、頭をさげて、かがむと
瞳は、せんがしゃがみこんだのを、確認して、足を広げた。
せん、え?
今日はストライプのパンツ、え!パンツ見えちゃっていますけど
それより、今、足開きましたよね?え?せんは、じっくりと観たいが、こればっかりは、駄目、駄目。と言い聞かせて
ペンをとり、
せんは、ペンを瞳に
「はい、拾ったよ、どうぞ」
瞳は、どこか、不満そうに、あ!そうだ
「せん、横部屋に行こう!」
せんは、縦だから、パンツ見ちゃったからだ、ごめんとおもいつつ、
縦部屋を後にして、
横部屋に二人は入った。二人は、隣同士で座った。
瞳
「そういえば、せんは、動画とかで分析って言っていたよね」
せん
「うん、同じ都内の対戦相手になるであろう、秋季大会の動画とかね」
瞳
「ふーん、それ、見せて、観てみたいなーあ」
瞳は、実は野球はまったく知らない。スポーツ全般において、知ることもない・
野球は打ったら、どっちに走るのか、すら、わからないのであった。
せんは、タブレットを取り出して、秋季大会の動画で、気になる所を再生し始めた、少し音声を大きくし
せんは、タブレットを真ん中に移動しようとしたが、瞳は手で、元にもどして、せんの前に
瞳
「どれどれ?ふーん?」
瞳はせんの、左腕に、胸を押し付け、腕を抱き寄せてきた
瞳
「これの、どこが注目なの?せん?」
せん、えええええ、胸、胸、胸が、あたっていますけどーーー
せん
「えーーと、そのですね、なんといいますか。」
「そう、そこを、」
瞳は、
「そこって、どこ?」
とさらに、せんにくっついて、胸を押し当て、せんの首筋を軽く,
舌をあてて、
せんは、びっくりして、
落ち着け、落ち着け、野球の解説を聞きたいはずなのだ、落ち着け
せん
「あの、このバットですけど、ここで、おもいっきり、バットを振らないから、ですね、ですね、と、と、盗塁が失敗」
せん、えええーー?
瞳、むふふ、かわいい、せん
「バットってここ?」
瞳は、左手の指で、せんの大事な所をなぞってみた。
瞳!!!不全じゃない!大丈夫、ゆっくり、ゆっくり、上下になぞると、硬くなってきたのが、瞳でもわかった。
瞳とても、とても、ドキドキしていた。
せん、
だ、だめ、だめだ。だめだ、
甲子園、甲子園、甲子園と頭の中で唱えていて
せん、甲子園、甲子園
公私混同、園は花園、花と園といえば。・・・
せん、だめだ・・・と、手がとっさに、タブレットへ
とタブレットが、ロック画面に戻り
日付と時刻が表示されていた。
瞳は、既に、顔も赤く、そして、ドキドキしていた。が、
日付を見て、あ!と気が付いた
来週の土曜日が、12日、日曜日が13日。
2月である。
瞳は、は!として、立ち上がり
せんは、た、助かった・・・・と、どうじに、収まれ、収まれと、念じていた。
瞳
「せん、そうだ、来週、土日部活お休みにして、お出かけ、買い物に行きましょう」
せん、え?外で、いや、甲子園、甲子園
「お出かけは構わないけれど、部活は?」
瞳
「部活は、女の子のものがつらいということに、すれば、休めるし、病院といっても、休めるし」
「あ、でも、どこに、どのお店があるか、わからない」
せんは、言っている意味がわからず?
「何を買うの、瞳?」
瞳
「ほら、バレンタインデー!手作りしたいのだけれど、寮じゃ作れないし、せん、野球部でだれか、居るかな?」
せん、あ、そういう、ことか、チョコレート!!!!手作り!!!
せんは、そういえば、キャプテンの家、先日みんなでお泊り合宿したとか言っていたから、嘉位なら、副社長だし
いろいろ知っているはず、香織さんは、お料理、詳しそうだし。
せん
「たぶん、大丈夫かな、買い物も、作る場所も、ちょっと、連絡して聞いてみる、SNSで良いか」
すぐに、嘉位から返信があって、
「せんさん、わかりました。おそらく、由良と八重さんも一緒になりますが、良いですか、土曜日にショッピングで、日曜日にで」
「あと、せんさん、日曜日うちに来てもらえたら、由良と一緒に、オープン戦について」
せんは、SNSの返信を瞳にみせて、
「大丈夫だって、副キャプテンも、八重さんも一緒になりますね」
瞳!!!やったーーー!!ありがとう
と
せんに、キスをしてしまった。
思わず、さきほどの、どきどき、が止まっていなかったこともあり、
キスは次第に、
大人のキスに、舌をからませていった。
瞳!!これ以上は、せんが、かわいそう、わたしは、部屋にもどって、一人でしよう!
瞳は、先ほどの不機嫌な顔とは、まったく別で
赤く掘頬はそまりながら、笑顔であった。
瞳
「ありがとう、せん、じゃーー、楽しみにして、わたしは寮に戻るはね」
せんと、瞳は、男子寮を出て、
女子寮へ、
瞳は
「ありがとう!せん、大好き」
瞳はさらに、せんの耳元で、
「わたしで、してみてね」
と
意味深な言葉を残し、
寮の中へ入って居たった。
もちろん、
せんは、
その場に、固まってずっと、直立不動のまま
立っているのであった。
そう、顔が真っ赤になりながら
< つづく >