第一二一話 はじめての二人の宿と衝撃的な出会い
香織
「それでですね、球道はカツサンド6箱一人でたべちゃうのですよ、私も食べる方なのですが、弟は良く食べる子です」
嘉位
「そうだよ、野球やるなら、がっつりと食べないとね」
香織
「そう、京都では何を食べるのでしょうか?食べ物しりたいなー、しりたいなーぁ?」
嘉位は、スマートフォンを取り出し、宿のメニューを開いたそれをそっと、香織に差し出した。
「これに、プラスαをしてあるよ、おまかせで、香織どう?」
香織はスマートフォンにある料理をくまなくチェックした。
香織は、嘉位の顔を覗き込み
嘉位は、
「お肉の部分は4人前にしておいたよ。」
香織は何故にわかったの?みたいな形で、自分の口に手をあてた。
嘉位
「おいしいものを一杯たべようね、二日目も同じようなメニューになるけど、アレンジを依頼してある」
「明日の朝は、下の方にあるよ、お昼はまったく決めていないので、色々見て回ろうね?」
香織は贅沢三昧で正月を過ごしたが、これまた贅沢であった。おいしそう」
まもなく、京都、京都
アナウンスが流れ
嘉位は小さめのキャリーケースを下ろし、香織の手をとり、
「それではいきますか!京都!」
香織
「ついています。京都」
嘉位は、あまりの冷静な答えに
「あれ?」
と
膝が
がくっと、崩れ落ちた感じであった。
香織が伝えたかったのは違うのである。
新幹線の中から見る、日が落ちようとしている、夜景に、凄い。奇麗。
二人はデッキに移動し、車両をあとにした。
香織
「嘉位、お外をみましたか?凄くきれいです」
嘉位
「いやまだ、まずはチェックインするから、それからにしよう!」
香織はうなずき、嘉位に案内されるがまま、ホテルについた
店員さん
「いらっしゃいませ、ご予約のお方でしょうか?」
嘉位
「はい、山本です。2名、2泊、レイト2で」
店員さんは、データベースにアクセスし、VIPマークがついていることに気が付いた。コメント欄に「山本財閥、当グループオーナ件、御曹司様」
「大変、失礼しました。山本様、シグネチャーだけで構いません」
嘉位
「いえ、お気になさらず、通常通りに普通に皆さんと同じように書きますね」
店員さん
「いえ、そのようなオーナ様に」
嘉位は自分の口に指をたてながら、シーとまわりに気が付かれないようにという、仕草をとり
店員さんは、すかさず状況を理解した
「かしこまりました」
「奥様のお荷物等をお部屋にお運び致します」
香織・・・奥様だなんて、うふふ、恥ずかしい
「大丈夫です。手荷物はバック一つですので」
店員さん
「ただいま、係りの者がご案内致します」
嘉位
「ありがとう」
係りの方
「本日は遠路、足をお運び頂き、当ホテルをご指名くださりまことにありがとうございます、ささこちらへと」
部屋に案内してもらい、香織はびっくりした
香織!え、広い!和室だ!良い匂い。
嘉位
「和室!良いでしょう、ここあの、露天風呂つきだよ」
香織は一人で、はしゃいでいた。
「え!どこどこ!」
嘉位、こんなに喜んでもらえるなら、正月から旅行にしておけば良かったのかな?
係りの方
「喜んで頂き、誠にありがとうございます。お食事ですが何時ごろが宜しいでしょうか、お部屋でよろしいですか?」
嘉位は時間を確認してから
「そうですね1時間後の18時から部屋食でお願いできますか?」
係りの方
「かしこまりました、それでは失礼致します」
香織は、はしゃいでいて、露天風呂も見てじっくりと、くまなく調べた。
香織
「すごいですね、このお部屋、お風呂からは京都の夜景が一面見渡せますよ」
嘉位
「うちのと同じ、外からは見えず、中からは一望できるのだよね」
香織たしかに、そうだ!すごいなー。?!新婚旅行みたい。新婚、ウェディングドレスの事が頭によぎり、 うふふ、嬉しい
香織
「そうだ、少しスマートフォン見てよいですか?」
嘉位
「もちろん、僕もみてみるかな」
香織は!瞳をおおきく、開いて
「嘉位、嘉位、八重からで、明日なんとですね!由良君から、八重に映画のお誘いがあって、デートしてくると」
嘉位は、お、やっと動き出したか、由良
「そうなのだ、由良ねー。」
香織はとても嬉しそうに、していた
「二人が仲良く、そうですね、恋人同士になれれば良いですね。そう思いませんか?二人ってお似合いですよね」
嘉位
「うん。由良なら大丈夫、そうなると思うよ」
香織は、遠回しな言い方に、何か、あるな!
「なにかご存じなのですか?」
嘉位
「まー、今度ね、二人のデートの報告を聞いてからでもね」
香織、は、少しだけ、むっとして、
「ずるいなー絶対何か、知っている顔していますもの」
「でも、嬉しいな、八重と由良君かー」
「楓ちゃんからも来ている、ログインできる?って?え、私に間違いでは」
嘉位
「香織さーん、香織さーん、読んでいるものがそのまま、声にでていますよーー」
香織は、あ!みたいな、自分の口に手を広げてあてて、またやってしまったと、軽く舌をだして、にやけていた
返信等を繰り返していると、あっという間に時間が過ぎていて
係りの方:
「失礼致します、お食事をお持ち致しました」
嘉位
「ありがとうございます」
ぞくぞくと運ばれる、料理、それぞれの説明を受けた。
係りの方
「お時間を見計らい、また、まいります。どうぞ、お召し上がりください」
香織はスマートフォンを取り出して、お料理の写真を撮っていた。これは、美味しそう、前菜からすごい豪華
「いただきまーす」
そのあとも続々と料理が運び込まれ、しゃぶしゃぶは大量に運ばれてきた。
香織、わ!
「嘉位、嘉位、お口にいれたら、なくちゃいました、すごい!このお肉」
香織はどんどん、食べ続けていた。
食べながら、明日の行き先について、香織が選んだ名所を話ながら、楽しいひと時が過ぎて行った。
デザートも食べ終えて
香織
「もう、おなか一杯」
嘉位
「食べたねー、美味しかったね、そしたら、お風呂に入ろうか?」
香織は、浴衣を取り出して、嘉位の腕をひっぱり、露天風呂へ嘉位を案内した。どこか自慢気であった。部屋に入るなり、くまなく調査していたからである。
香織!今日は、わたくしが嘉位の服を脱がせてみようと、ふとおもい
嘉位に手をあてて、嘉位の服を脱がせた。
嘉位も、ここぞとばかりに、香織の服を脱がせて、二人はかけ湯を済ませて、露天風呂に入った。
香織は、本当に幸せで
「嘉位、ありがとうね」
嘉位は、夜景が奇麗であるとともに、香織の色気を感じとり、香織の胸をゆっくりと、やさしく、つつみ、こみ、時にはおおきく揉んだ。
香織も気持ちよくなり、もっと、もっとと、要求するように嘉位の瞳を見つめた。嘉位の手はだんだんと、下のほうへ、向かっていった
香織は嘉位に頬ずりしながら、大人のキスをしつつ、嘉位の指が香織の大事なところをいじくりまわしていた。香織は大人の声が、出てしまい。
もう、欲しいと思って
「嘉位、嘉位、あ、・・・」
嘉位も我慢できなくなり、お風呂から出て、髪を乾かし、浴衣を羽織った。
部屋に戻ると、布団が敷いてあった。食べ物も全て片付いている。入口側だけ電気を消し
布団のところは電気をつけたままで、止まるはずもない、様子で熱い夜を共にした。香織は何度も、足の指や、手の指さきに力が入り、頭の中がいくどもなく、真っ白になり
それは、なんども深く、熱く、繰り返した。
明け方になり、電気をつけたまま、お互いが寝てしまい、嘉位は目が覚めて、
香織がはだけていることを良いことに、やさしく胸を愛撫しはじめた、香織は寝ぼけているのか、愛しています、もっとと、感じてしまい。
明け方に、もう1度肌を重ね合わせた。
そしてまた、嘉位の胸に顔を寄せて、香織は満足そうに、寝てしまった。
嘉位も寝ようか迷っていたが、このまま寝ると、お食事が運ばれてくる事に気が付かなくなるので、
香織の髪をやさしくなでて、起きていた。香織可愛いな。大人の女性になったからなのか、色っぽく見える香織
そんなことを考えながら、髪をなで続けた。
外は明るくなり、時間は7時30を回ったころだ。8時に朝食ということを伝えてあったので
そろそろ、着かえないといけないな。
嘉位はそっと、香織を起こした。
香織は
「嘉位、あ、嘉位、と」
大人のキスを初めて、嘉位も嬉しかったし、下のほうもまたもやパワーアップしたが、これは香織がまだ寝ぼけているだけである。
そうだ、香織の肩をやさしくはなしつつ、背中側に回り、抱き包んだ
香織の耳元で
「あさですよ、あさ、ですよ」
香織はなんのことだか、・・・あ、もしかして、・・・。
全裸状態の自分を嘉位は後ろから抱きしめてくれていて、
香織
「嘉位、おはようございます。とても気持ちが良い朝です。」
嘉位は、ここが、かな?胸の先を摘まんだ
香織はまったくもう、あれ?確か?あれ?さっきも、あ!私が要求したのだ、顔が真っ赤になり
嘉位
「そろそろ、朝食が運ばれてくるから、起きて着替えようね」
香織
「残念、あ!、もう、着替えるの、もう1回エッチ!したいな」
嘉位
「か、お、り、さん 心の声が、だだ、もれですよ」
香織は真っ赤になり、わたしたら、エッチな事ばかり考えるようになっている。だってそれはしょうがないもの、大好きだから。
二人は着替えをし、軽く布団をたたみ、準備した。
係りの方:
「失礼します、朝食をお運びいたしました」
「湯葉豆腐でございます」
朝から豪勢であった。
食事を済ませて、フロントへ降りていき、車が来ているか確認すると、後方に頭を深々と下げている方が2名居た。
案内係:本日はようこそおこしくださいました。山本様、わたくしどもがアテンドを務めさせて頂きます
嘉位
「宜しくお願い致します」
香織と嘉位は車に乗り込み、金閣寺から、二条城、等、名所を回り案内されつつ、要所、要所で写真を撮ってもらった。
そういえば、お正月の着物以来である、二人で写真を撮るのは。さらに案内されるがまま、近江屋跡や、香織が選んでくれた場所を次々と周り、そして沢山の写真を撮った。
嘉位と香織は終始笑顔で、あっというまに観光は終えた。
案内係:最後にもう1か所、こちらは頂いたリストにはございませんが、私共でおすすめの場所へご案内致します。如何でしょか?
香織
「はい、お願い致します」
二人がついたのは、陶芸品、工芸品のお店であった。工房もあるみたいだ。
工房にも興味があったが、まずは店内を見て回ることにした。
香織が嘉位の腕をひっぱって、色々見ている。
香織、かわいい、これ良いな、
「嘉位、嘉位、これ、これ、良いですよね」
嘉位
「うん、良いね、センス良いな、香織」
香織は、他にも色々と見回っていた、時に手に取って良いのかを確認してから、手にとって良く見ていた
一方で嘉位は、一瞬。目を疑った、こ、これは、これは、何か引き寄せられる。そんな感覚があった。
嘉位は、そのお茶碗をずっと見つめて、少し、離れて、さらに見つめ、また近づいては見つめなおし、この感覚はなんであろう
これは、どうしてか、目から離すことができず、またこの茶碗が問いかけているようにも感じた。
もう一度、後ろにさがり、凝視し、さらにもう1度近づいて、なんだろう、これは、凄いという一言でまとめるには、もったいない、この衝撃的な感覚
香織は嘉位が何かじっと、そこから離れないことに気が付き、嘉位のもとに寄った。
香織
「嘉位どうしたのですか、そのように食い入るように見つめていて」
嘉位
「香織、これをみて、どう?何か思わない?」
香織は、お茶碗?抹茶ようのお茶のほうではなく、お茶碗だよね、香織もずっとみつめていると!?と
「嘉位、わかります、意味が、ごはんが見えるのです」
嘉位
「そうだよね、僕だけじゃないよね?!」
「これは、凄い、離れてみて、近寄ってみて、見直しても中身は無いのだけれど、凝視するとお米が見えるよね?」
香織
「はい、なぜでしょうね」
工房の方:
「若い方がその品に目を配るのは、珍しい事ですね。どのように思われましたか?」
嘉位
「いや、なんというか、なんとも言えない、これをどのように表現したらよいのか?」
香織
「お米が見えるのです。それも、たんまりとほくほくで、湯気がたつようなお米が」
工房の方
「ほう、その感性素晴らしいですね、親方」
親方
「ほう、この茶碗に関心がおありでございますか?」
嘉位
「はい、他の品々ももちろん、素晴らしいのですが、なんといってよいのか、この引き寄せられる感覚、というか、このお茶碗が問いかけてくるような?」
香織
「不思議なのです、お米がみえるのです、おいしそうなお米が」
親方
「いやー、まいったな。この品の本質というものが、こうもあっさりと答えられると」
工房の方
「同業者の方ではないのですよね、どこかで見たことがあるようにも思えますが、しかしながら、その感覚をお持ちになられるとは」
親方が奥から取り出して、もう1つを並べてくれた
「これで、めおと で、ございます。この世に一つしかない、 めおと 、 瑞光窯 でございます」
「100年前の品物です、こちらを感じ取られるとはお目が高い、素晴らしい感性ですな。ところで、何処かでお会いしたことが、ございますかね?」
嘉位
「100年前、いやそれ以上に、なんというのであろうか、わたしに問いかけてくるのです、このお茶碗、そう、お米も」
香織・・・嘉位ちゃーーん、答えになっていないですよ と 思い
「あの、ですね、彼は一昨年前に野球U-15日本代表のエースです」
工房の方
「あ、ノーヒットノーランでやっと世界一をとれたときの、彼が、どうりでどこかでお見掛けしたことがあると、思いました」
親方
「お、あの時の彼が、試合も素晴らしいが、その品に見入る感性も素晴らしい、わか、奥様ですかね、お米が見えるという感性もすばらしいです。お高いですが、お譲りいたしましょうか?」
嘉位、すごい、これは、なんというか、え・え??
「これ、売り物なのですか?これは値のつけようがないでしょうね」
香織も同じ事を感じとっていて
「これは、まわりにある美しい品々と違い、お値段等という言葉を使ってよいものでは、わたくしも展示品と思いますが」
親方
「もちろん、普段であれば、売り物という使いはできませんが、この品について、この本質を語れる方であられるのでしたら、お譲り致します。少々お値段は張りますが」
嘉位
「え?本当に譲っていただけるのでしょうか?めおと で?」
親方、
「めおと で 100万」
香織
「え!」
工房の方
「そうですよね、いくらなんでも、100マン円はね」
嘉位
「こちらお譲りいただけるのであれば、郵送も可能でしょうか?」
親方
「もちろんです。お嫁にだすような気持ちではございます。丁寧に梱包致します」
嘉位、ほんとうに、譲ってくれるのか、このような品物を、凄い!
「お言葉に甘えて、買わせてください」
香織も気が付いていた、この品物は売り物とうレベルの物ではない事に
香織
「よろしいのでしょうか、本当にお米が見えるのですよ!」
親方
「素晴らしい、奥方様で、ん!指折りかぞえて、ま、余計な詮索はやめておきましょう」
嘉位
「カードで良いですか?」
工房の方、おくから何やらとりだしてきて
「大丈夫です。あとできましたら、ここにサインを頂いても」
と色紙とマジックを取り出してきた
嘉位
「もちろんです、ありがとうございます」
親方はとても、満足そうに、二人を見送った。
「あの方が、世界一を掴んだのは、納得がいく、とても素晴らしいお方に嫁いでいきましたな」
工房の方
「ずっと、食い入るように見ていて、あの感性の持ち主、只者ではないですね」
案内係:いかがでしたか
香織
「とても素晴らしかったです。良いものが、ね、嘉位」
嘉位
「ご案内くださって、感謝しています。とても衝撃的な出会いでした。」
香織
「本当に、そうですね、ご案内してくださらなかったら、出会えませんでした」
案内係:
「そうですか、痛み入ります。それでは予定時刻をすぎております、京都駅へ向かいます。」
京都駅周辺についた、予定の場所で下ろしてもらった、深くお礼をつたえ、車はその場を後にした。
香織
「嘉位、すごかったね。観光も沢山写真とれて、楽しかったし、なによりお米が」
嘉位
「うん!素晴らしい1日だった。京都観光、どれを見ても、感慨深い、そして最後に出会えた、おちゃわん。僕たち二人のだね めおと 」
香織
「え?使ってよいのですか?」
嘉位
「香織も感じたでしょう、飾るより、何かお茶碗が訴えていることに」
香織!確かに!
「はい、そうです」
と歩きながら話していると、少し前のほうに
女性ひとりが、男性4人に囲まれていて
女性がなにやら、迷惑している、その場を去ろうとするが、また男性4人に囲まれていた。
「迷惑です、やめてください」
「なんですか、嫌だと、言っている、でしょう!!!」
大きな声が聞こえて来た
それをそのまま、
見過ごす
嘉位ではなかった
< つづく >