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第一一七 想定外の新学期に怒りが頂点に達する

嘉位は、2時間毎に目が覚めた、意識的に起きようと心掛けていた。

大体2時間位の感覚で、スマートフォンで災害状況を確認した。小さな余震は続いていた。

香織はぐっすりと寝ている。寝顔がとても可愛い。

起こしては、悪いので、そっと横に戻り眠りについた、3回程、寝て、起きて、確認して、また寝る。

流石に明るくなり、今度は眠れなくなった嘉位。

スマートフォンには。母さんからメッセージが来ていた。なるほどね

内容を理解した。ようするに香織はこのままずっとここにいるということ。

蓬田のお母さんからもメッセージがあり、昨日のお礼や今後のお願いごと、今日の14時頃に家に来ることが記されていた

短く返信をした。「わかりました、ありがとうございます」と

千佳さんからのメッセージがあり「ベッドの頭左扉、そこにあります」

嘉位は、すぐ理解して、ここ空くのだ。知らなかった。あ、ある と目視した。



まだ、深い寝息を立てながら

香織はぐっすりと寝ている、胸元ががばっと空いている状態で、

そういえば、下着つけていなかったのでは、地震の時パジャマだけで移動したから・・・。


少し嘉位は、体をあげて香織を見ていた。

顔をじっとみながら、やはり視線はだんだんと下のほうへ・・・。


起こしちゃうかな?まだ、寝ていたいのだろうし、本来であれば、明日から、新学期。

香織のスマートフォンにも目が行ったが、通知マーク等はついていなかった。

そういうことなのだね、と嘉位はどこか納得した。どのように切り出すかも考えておかねばね。


そんなことを、思っている矢先に

けたたましい音を立てた

<緊急地震速報>である。茨城県、栃木県、埼玉県、神奈川県、千葉県、東京都のエリアが表示され

アナウンスが流れる


香織はびっくりしておきあがった、すぐに嘉位が香織の体を引き寄せて

背中からあせらなくて大丈夫だよという形で、抱きしめてくれた。


香織は、ほっとした。そう嘉位がいるのだから大丈夫だ。

香織

「あ、おはようございます。びっくりしました、いつから起きていたのですか?」

嘉位

「うん、時々起きて確認等していていたら、目が覚めてしまったね」

嘉位

「今の地震は茨城県で5弱、他は震度4,3,2だね」

香織

「確かに、昨日みたいな大きな揺れは無かったですね」

「雪は解けたのでしょうか?」

嘉位

「明け方にトイレに行ったときは、少し溶けている感じはあったけど、凍っているという印象のほうが強かったな」

「寒波が抜けるのは今日の夕方以降らしいよ」

香織

「そうなのですね」

香織はスマートフォンに目をやり、特に何も連絡がないことを確認すると同時に、今日が1月6日であることを確認した

それは香織にとって、最後の日を意味するからだ。

明日からは新学期、いま嘉位はわたしのことを背中から優しく包み込んでくれている。

このような、幸せな朝を迎える事は、もう当分ないのだな、そう考えると、なんだかさみしくなり

涙ぐんでしまった。

嘉位は地震が怖かったのかな?と思い

「地震、大丈夫だよ」

と声をかけたが

香織は嘉位の手を自分の胸にあてて

「ちがうのです、今の幸せは今日だけのものだと考えると」

「あれ、おかしいな、我慢していたのに、涙でてきちゃった」

嘉位は、優しく香織の唇に指で触れて、二人は再び、ベッドに横になった。

香織は嘉位をやさしくみつめたのちに、瞳を閉じた。

嘉位は察して、香織のパジャマを脱がして、キスをし始めた。

香織は、全てをという覚悟を決めていた。

二人は、体を重ねあって、初めて大人への階段に登った。時にはやさしく、時には強く、激しく、

香織の頭の中は真っ白で、ぼーと、なんとも言えないはじめての感覚と気持ちよさ

この頭の中が真っ白になるのが気持ちよくて、足の指さきには、ちからが、入り、足指がまるまるような感覚もあった。


二人で肌を寄せ合っている時間は、とても長い時間のはずだったか、

香織は、何度も頭の中が真っ白になって、ぼーっとする気持ちが

これってもしかして、いく?という事なのかな、とても気持ちい。

香織は声がでてしまい

「もっと」

応じるように、嘉位も






二人は

あるいみ、新年を迎えた。

新しい時を迎えて、大人になったと。






二人は手をとりあって、

まだ嘉位は息遣いが荒い。がベッドに手をつないで横になった。


嘉位は、やった!すごい、女性の体は本当に素晴らしい。なんて気持ちが良いのだろう。

と同時に千佳さんに感謝しなくては、避妊具を準備しておいてくれたことに。

もっとも、もしかしたらこのベッドが入った正月から常備されていたのでは?とも思った

そうなると、母さんか。




香織は嘉位をずっとみつめていた、

そして嘉位の胸に顔を寄せて来た。

嘉位はやさしくつつみこむように、抱きしめた。


少しの間、こうしていよう

と思い、二人は何故か安心しきったのか

性に夢中で、疲れ切ったのかはわからないが

寝てしまった。


次に二人が目を開いたときには、12時前であった。お昼前・・・。

嘉位は、あ、そうだった。と思い出して

嘉位

「かおり、あらためて、おはよう、着替えて食事にしようか?それともお風呂はいる?」

香織

「うーん、ごはん食べてから考えます」

嘉位

「よし、わかった。着替えて食事をと」


二人は着替えを済ませ、扉を開けた。

数メートル先にメイドさんが3名ほど立っていた。

嘉位と香織は挨拶をし、香織を先に行かせて

嘉位少し、立ち止まり、少し小声で、

「シーツをお願いします」


メイド

「かしこまりました」




嘉位は香織にもとに駆け寄って

香織

「どうかしたのですか?」

嘉位

「いや、食事にしようね」

香織はなんのことかが、わからなかった。


千佳

「おはようございます、電気ガス、水道など全て確認ずみです。お食事もできております」

「お赤飯がよろしいでしょうか?」

嘉位

「また、また、千佳さんは、もうね、うん、でも赤飯にしよう」

千佳

「そういうことですね、かしこまりました」

香織は何のことかこれまた、さっぱりわからなかった。


その時である、香織と嘉位のスマートフォンにメッセージが届いた


食事が運ばれてくる。


食事を始める前に、確認しておくことにした。

香織は、スマホを落とした。ショックだったのである。

嘉位は、どうしたのかな?

香織は落としたスマートフォンを拾い上げ

「嘉位みましたか、これ!こ、れ、で、す!」

香織

「和井田からですよ、学校からですよ、明日からの新学期はリモートで行う。と見ましたか」

「それもですね、リモートで始業、ホームルームをしてからリモート授業」

「明後日もリモート授業、土日を挟んだ週明けから登校と」

「なんですかこれは、だいたいですね、勉強は先生と一緒に」

嘉位は

「うん、リモートみたいだね」

香織

「なんでそんなに冷静なのですか!」

香織はまくしたてて、なぜか嘉位も怒られているような気になった。

嘉位、なにかおかしい事、僕言ったのかな?いや言っていないよね。

香織は食事をしながら、1つ食べ、飲み込むと

「だいたいですね、明日から新学期ということはですね、わたくしは今日、帰らなくていけないのですよ」

「それは、しょうがないことですが、リモートとなると、次に嘉位にあえるのは、週明け月曜日なのです」

「学校に連絡して、リモートは好きな人だけ、登校は自由にと・・・」

香織は、がつがつと頬張って、飲み込むと

「このおいしいお食事だって・・・今日が」

嘉位、あ、これは言わないと

「あの、ですね」

香織

「なんで、嘉位は先ほどから冷静なのですか!」

嘉位

「あ、いや、なんと言っていいか」

香織

「そうだわ、嘉位、わたしのお家にお泊りするのは、どうでしょうか?」

嘉位は少し、困ったようすで、どう切り出すかな

香織は、おかわりを要求し、お茶を飲み干して、一呼吸をおいた。すると、そういえば股の間にまだ固いものが挟まっている感じが残っていることに気が付いた。

それならば、正月の夜に全てを受け入れておけばよかったと、思い直して

香織

「だからですよ、うちで一緒にリモートでうけましょう」

嘉位は、こちらの話を、どのタイミングで、言えば

香織

「わかりました、わかりましたね」

「はい、決まりです。」

嘉位は、困ったような顔を浮かべたので

香織は、少し苛ついて

「うれしくないのですか、いや、嬉しいですよね、わかっています」

香織は、お茶をさらに飲み干した。



千佳がやってきて

「香織様、よろしいでしょうか?」

千佳も嘉位が言葉をかけるタイミングを失っていたことに、気を配り

千佳から声をかけた

香織

「はい、千佳さん、どうぞ」

千佳

「あと少ししてからですが、蓬田のお母さまがいらっしゃいます」

香織は、嫌だ。嫌だ。と思いながらも、嘉位をつれていくことを決意した。

嘉位は、その流れだと、迎えにきたことになるよねと、思い、言葉を

「あの、香織」

香織

「食べ終わりましたので、お部屋にいきましょう!」

香織は嘉位の言葉に耳をかたむけず、嘉位の手を無理やり掴みとって、食事をあとにし部屋に戻った。

香織はまだ、怒りがおさまらずに

「だいたいですね、登下校も含めて通学というのです。リモートはもう、十分にやったではないですか」

嘉位

「いや、確かに、それは、そう」

香織は嘉位の話に耳をかたむけず、部屋を見渡した

改めて、お部屋が奇麗に整っていることに、すごいと思いながらも、それも今日までなのだと、そう思うとまた涙ぐんでしまった。


千佳がやってきった。

「嘉位様、香織さま、蓬田のお母さまがいらっしゃいました」


嘉位

「わかりました、今向かいます」

「香織、いこう」

香織はイライラしていて、お母さんに会ったらすぐに嘉位をつれてかえると、伝える覚悟であった


玄関に二人でいくと、そこには蓬田のお母さんが居て、玄関が大きく開いたままでトラックが停まっており、沢山の業者の方が居た。


嘉位

「お正月ぶりですね、昨夜は大変でしたね、どうぞ奥へ」

蓬田の母

「嘉位さん、とても助かりました。今後ともよろしくお願いいたします。あちらはお任せしてよろしいでしょうか?」


千佳が話に入り

「その件につきましては、私共で担当致します。蓬田様におかれましては、奥の応接へご案内いたします。」

蓬田のお母さんは、軽く会釈をし、家にあがった。

嘉位と香織と一緒に、千佳の案内で部屋についた。


嘉位

「どうぞ、おかけください:

蓬田のお母さん

「ありがとうございます。改めて、昨夜の心配り誠に感謝しております。」

香織が話を遮って

「お母さん!嘉位を連れて帰る、これからずっと」

唐突に出た言葉に、蓬田のお母さんは、びっくりして

「嘉位さん、伝わっていないのでしょうか?」

嘉位

「はい、何度も伝えようとしたのですが」

香織

「だめなのですか、なぜですか、なぜダメなのですか」

香織は捲くし立てて、詰め寄った

蓬田の母

「ダメというのではなく、香織はずっとこちらでお世話になることになったのですよ。年に数回は顔を出してくれると安心はします。母としては、ですがね。」

香織は。え?という顔をして嘉位を観る

嘉位

「いや、なんども伝えようとしたのだけれども、僕の話のターンにならないというか」

香織

「もう!わたしだけ一人でイライラしていた、馬鹿みたい。」

そういいながらも、とても安心して、ずっと嘉位と一緒にいられることに、良かった。嘉位と一緒にいられる、良かった、本当に良かった。嬉しい、気持ちがあふれ出し、心から感謝して涙があふれて来た。


蓬田のお母さん

「昨夜あれから、山本のお母さまからメールが届いており、何度かテレビ電話を試みたけど、つながらないため、メールにて失礼しますと」

「差支えないのでございましたら、このまま末永く、お嬢様を当家にて」

「いろいろ書かれており、今朝方、WEB会議であらためてお礼をしました。」

嘉位

「はい、母からも連絡があり、改めて、よろしくお願い申し上げます」

香織は話の予想外の急展開に、涙とドキドキがおさまらず、一方でイライラしていた感覚はまったくなくなっていた。

蓬田の母

「香織、嘉位さんと一緒に、仲良くね」

「嘉位さん、香織を宜しくお願い致します」

嘉位

「はい、もちろんです」

蓬田の母

「ところで、お二人は、ひめはじめ、でしょうか、諸事は?」

香織は言われている意味が分からなかった。ひめ、はじめで、しょう なんのことであろう

嘉位は、すかさず返事を一言ですませた。少しだけ胸を張って。

「はい」

蓬田の母はとても満足そうにしていた

「良いわね、若いって、羨ましい事ですわ」

「香織、良かったですね」

香織は何のことをいわれているのかが、わからなかったが、きっと良い事なのであろうと思った。

「はい!お母さん!」

蓬田の母

「さて、そろそろ準備も終わったことでしょうから、私はお暇致します」


玄関に戻って、香織は母を見送った。

そこには既にトラックは無く、業者の方も居なかった。


香織はあらためて、嘉位をじっと見て

「なんで言ってくださらなかったのですか?!まったく、わたしだけ、でも、ずっと一緒なので良いです。」

嘉位、怒っているのか、嬉しいのかわからないような、なんとも言えない香織の姿。これが女子なのだろうなと思っていた

「食事の時に、和井田がリモートの話のなかで、なんども伝えようと・・・」

香織は、あの時の会話を振り返って、我に返った感覚だった。確かに沢山たべながら一方的にわたしだけが話していた。嘉位の話を聞こうともしなかった事に、顔が真っ赤になり

「ごめんなさい、ごめんなさい、嘉位」

「ひとりぼっちになるのが嫌で、嫌で、勝手な事を」

嘉位

「わかっているよ、これからもずっと一緒だから、改めてよろしく、香織」

香織

「はい、末永く」

嘉位

「ところで、ひめはじめの意味わかって、お母さんに答えたの?

香織、まったく理解していないので、嘉位を見つめた

嘉位

「ひめはじめというのは、色々ありますが、この場合の意味は、はじめてのエッチ、または新年を迎えて初めてのエッチのこと」

香織は顔がまっかになった。お母さんにエッチしましたと、宣言したことに。

嘉位は、やはり、わかっておらずに、元気にはいと返事したのだな。少し軽く笑ってしまった。

香織は、真っ赤になりながらも

「もう、嘉位ったら言ってくれれば良いのに」

と言いつつも、幸せなので、構わないと思った。




既に外は暗くなっていた


その時、別の宅配便が届いた



嘉位は間に合ったのかな?と思い

玄関にいたこともあり、大きな荷物を3つほど受け取り、サインした。



千佳が

「こちらはお部屋にお運びすればよろしいでしょうか?」

嘉位

「僕がやるよ」

すかさず、数名の男性の方が

「私共が責任をもって行います」

嘉位

「わかりました」


千佳

「その間にお二人でお風呂に行かれては、いかがですか?」


香織は、

「はい、もちろん、お風呂に、二人で入ります」


千佳は、昨夜ではなく、今朝だな。と、感じ取り

「かしこまりました。露天風呂と、浴室どちらがよいですか」

「まだ雪が残っておりますので、露店のほうが風流があるのではと、存じます」


香織はもう、躊躇することもなく

「では、二人で露天風呂に行ってきますね。」



嘉位は、あまりの香織の変わりように、すこしだけびっくりしたが、これが大人になるということなのかな、と考えていた



< つづく >


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