表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/299

第一一六話 実家に対する、焦る思いと、不安


余震は続いていた、テレビのニュースも色々集まり、停電や一部火災等、家屋の倒壊もあるのとのこと。

元々降雪の為、鉄道や、高速道路、国道等が停止していたこともあり、

大規模な帰宅困難者は居ないとも報じられていた。一方で食事時ということもあり、火災はいたるところで

発生しており、消防が対応とのこと。

降雪が幸いしていたのか、一般道を含め多くの道で、車が混雑することは無く、

消火活動、救急活動等は速やかに行われていた。

停電の範囲はほぼ関東全域で起こっていた。インターネットをはじめ、通信事業者網は麻痺をしていた。


香織と嘉位は肩を寄せ合い、手をつなぎならニュースを見ていた。

香織

「停電が広範囲ですが、ここでは電気はどうしてですか?一瞬だけ、暗くなったのはうっすらと覚えているのですが、すぐに明るくなりました」

嘉位

「ここは蓄電池もあり、電気系統も復路あるし、自家発電も備えているから」

「近隣で災害時は、避難民を受け入れる体制もあるのでね」

「一瞬暗くなったのは、正系から副系に切り替わったからだね」

香織

「せいけーからーふくけーい?方言でしょうか?」

嘉位

「あ、メインから予備に自動で切り替わったといえば伝わるかな?」

香織

「なるほど」

と言いながらも、嘉位が居なかったらあの時、私はと思い出すと怖くなり

嘉位の手をぎゅっと強く握った

香織

「そういえば、部屋に戻られる際に短くですがお電話していましたよね?2回くらい」

嘉位

「うん。手配していたから大丈夫」

香織は何のことだかわからないが、もう一度テレビに目を向けた。マグネチュードが修正されたみたくM7.0 震源の深さは約10Kmとテロップが流れ

総理官邸では対策本部が地震後5分程度で設けられたとのこと、これから気象庁の会見があるとのことなど、

いろいろな情報と、映像が入れ替わっていた。

嘉位に電話が入った。

香織は、スマートフォンではなく、嘉位が持っているのは携帯型の衛星電話機であった。

嘉位

「ありがとうございます、助かります。大丈夫です業務提携済み、プロジェクト化もしていますので、全てをつぎ込んでください。ありがとうございます、助かります、本当にありがとうございます」

香織は嘉位がひたすらにありがとう、ありがとうとお礼を言うのは、初めてみたので、何があったのだろうと考えて聞いていた

さらに、我に返って、そうだ、そういえば、実家はどうなったのだろう、大丈夫かな?球道きゅうどう、今日は、練習は無いと言っていたし、朝蔵のタンクが凍結していてと、母が電話で言っていたことも思い出した。

スマートフォンを見つめると、電波は立たない。ただWifiは使えるみたいであり、嘉位の家だからなのかもしれない。

SNSで父や母、球道にメッセージを送るが既読が付かない

沢山、いれてみるが、いっこうに既読が付かない

電話もつながらなければ、SNSの通話も使えなかった

香織は、だんだんと顔が青くなっていく、自分に気が付いた。怖い、怖い、どうしよう。おうちに何かあったのだ

きっとそうだ、行かなくちゃ、でもどうやって、・・・。怖い、怖い、震えが始まった、震えはとまらない

そんなときに、嘉位は、そっと電話を香織に差し出した

嘉位

「心配でしょう、これに出れば大丈夫だよ」

香織は、なんのことかわからなかったが、震えがとまらず、わけもわからずに電話に出た

そこに聞こえたのは、母の声であった

「香織、助かったわよ、全て嘉位さんがやってくれたの、そちらも大丈夫みたいだね」

香織は母の声を聴くと、あふれるように涙が出てきた

良かった、本当に良かった。

「なにかあったらどうしようと・・・」

詳しくは嘉位さんから聞いてね。わたしも、球道も、みんな無事だから全て、嘉位さんがね、あ、手伝わないと、あらためて後日お礼すると伝えてね」

電話は、切れてしまった。

でも、無事だったし、声が明るく張りがあったので間違いなく、問題ないということは伝わった。



香織はわけがわからなくなっていたが、嘉位がどうしたのだろう、家族は無事である。

嘉位にそれとなく、何があったのかを聞いてみた

嘉位

「今日香織、お母さんと昼間電話していたでしょう。配管が凍結とか、球道君の練習がないとかで・・・」

香織、話を聞いていたのだ、わたしが夢中になって大きな声で話していたからかもしれない。

嘉位

「その時に配管凍結等、適宜対応できるように、香織の実家から1番近いうちの関連会社に向かわせていたのだ」

「そして大きな地震があって、修復していない別のタンクからクラックしたみたいだけど、ベテランさんがすぐに溶接など、補修等起点を利かして材料なども既に持ち込みずみで、迅速に対応してくれた」

「さすがだね、ベテランさんは、感謝しかないよね。今度、お礼しにいかないと」

香織は、びっくりした、私が実家の事に気づくよりも先に、実家の事に対して動いており、それもトラブルを解決し、さらには母の声まできかせてくれて、私を安心させてくれた

香織は、なんとやさしく素晴らしい人なのだろう、またもや涙が止まらなくなった。嘉位という男性を好きになって良かったと、実家の事まで全て考えてくれているのだ。涙はますますとまらない

嘉位

「大丈夫、山本ともう家族なのだからね。それに酒造の件、既に業務提携と共同プロジェクトを年始より開始しているから」

「僕としても、蓬田家は大切なパートナーで、あるとともに、お父さん、お母さん、弟が出来たわけだからね、香織、すべてをまるっと、安心して僕に任せて」


香織は心の底から安心した。安心したということもあり、なぜか自然と嘉位の膝の上で頭を倒し、嘉位に髪の毛を撫でてもらっていた。

本当に良かった。なにもかも全て、この人のために尽くそう、全てを心中で愛していますと呟いた。


嘉位は香織の髪をゆっくりと、なだめるように撫でながら、もう1つの電話はそろそろ来るかな?


トントン


と扉が叩く音がした


香織は起き上がろうとしたが、嘉位はそのままでというそぶりを見せ、頭は嘉位の膝の上であった。


千佳

「失礼します」

「おにぎりと、漬物と、飲み物をお持ちしました。こちらで足りるのでしょうか?」

嘉位

「千佳さん、無理を言ってありがとう、火は使うのはあぶないから、助かったよ。夜食前の事だったしね、香織もおにぎりで良いかな」

嘉位は香織の髪をなでながら、香織も安心しきったように、嘉位の膝からおきあがることなく

香織

「千佳さん、このような姿ですみません、でも、こうしていたいのです」

千佳

「香織様、良いのです。好いた殿方にいっぱい甘えさせて頂いて」

「香織様、嘉位様が居れば安心ですよ。」

香織

「千佳さん、わたしは嘉位の事を愛しています、大好きです」

千佳

「香織様、本当に嘉位様で良かったですね。あのお知恵と判断、たくましさ、私共から見ても、素晴らしいお方です」

香織

「はい、千佳さんは今日、この後予定があるのでしょうか?」

千佳

「いえ、本日はこのような状態ですので、特にありません、いかがいたしましょうか?」

香織

「千佳さんが嫌でなければ、少しこのままこの部屋で3人でお話してもよいでしょうか?」

千佳

「かしこまりました、嘉位様は、わたくしがお邪魔かもしれませんが、よろしいのでしょうか?」

嘉位

「もちろん、香織が望むことだし、3人のほうが安心するでしょう」

千佳

「かしこまりました」

香織は今さっき、嘉位が蓬田の実家にしてくれたことを、全て千佳に話した。

千佳は、うん、うん、とうなずきながら、流石は嘉位様、いずれ頂点にお立ちになる方ですわ。

嘉位は千佳の事を気にかけていた、立ちっぱなしであるからである

嘉位

「千佳さんも隣に座って、香織のそばへ」

千佳

「よろしいのでございますか、愛の巣に足を踏み入れて」

嘉位・・・。その手にはのらん。

香織

「お願いします、千佳さん、千佳さんの話が聞きたいです」

嘉位は気象庁の会見をじっと見ていた

千佳は、香織に昨年まで隣の部屋に居て、昨年末に別館に移動したことや、いままでの話を香織に話

香織も、落ち着いて、千佳を見て話しを聞いていた。

千佳がいうには、楓ちゃんも専属のメイドさんがいるとのこと、もしかしてあの、気が付いたらどこから来たのみたいに、ふといるあのメイドさんかな?と

嘉位は、被災状況の報道を観ながら、千佳さんがうまく、話しを遠い方向へもっていってくれている、何気ない優しさを感じていた。


時より余震があったが、それほど大きいものではなかった。

香織は既に安心しきっており、3人でおにぎりと、お漬物を食べながら

香織と千佳は話を続け、嘉位はタブレットを立ち上げて、SNSで地震の情報を見ていた。


千佳が

「そろそろ、遅くなりましたので、香織さまよろしいでしょうか?」

香織は、すっかり安心し、夜もおそくなったことから

「千佳さん、ありがとう、落ち着きました」

嘉位

「千佳さん、ありがとう、いろいろと助かったよ」


千佳

「いえ、お粗末様でございます、それではこれにて」

千佳は静かに扉を閉めて、部屋から出て行った。


香織はふと気が付くと、スマートフォンに電波のマークがついていることに気が付いた

SNSに沢山の返信があり、八重からも、由良君からもあった。

嘉位に返信してよいか確認し、返信をした。


嘉位はとてもおちついており、香織そろそろ寝ようか?

明日も今のところは鉄道各線、高速道路も閉鎖とのことだから、

雪解してからでないと安全確認が出来ないからね。

明日も、家になってしまうけど、良いかな?

香織は

「はい、一緒に居る事が出来れば」

嘉位

「では、一緒に寝ますか!朝の続きを」

香織

「し、ま、せ、ん・・・」


と言い放った、香織であったが、内心全て捧げて、一緒になりたいというのが本心であった。


二人はお休みとキスをした・・・。

とたんに、香織は寝てしまった。寝息が深く

嘉位は、本当に怖かったのだろうな、取り乱して実家の事、すこしパニック的になっていたし

今日は、エッチな事はせずに、寝かせてあげよう。


明日の朝は!我慢できないだろうな。そうであろう?

と自分と自分の息子にいいきかせて、寝る事にした。

近くに、衛星電話とスマートフォンは何かあったときに対応できるように、確認し

そっと目を閉じた。





< つづく >



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ