第一一一話 4人で初めて、二人は驚く
良し勝った!ガッツボーズ、目覚ましに勝ったぞ、スマートフォンアラーム機能より先に目がさめて、停止させた。
香織は隣で背を向けて寝ていた。まだ起こさない方が良いかな。まだ時間あるし。先に起きた方がと言っていたが、疲れたのだろうな
そんなことを考えながら横になって香織の細い肩を観ていた
すると香織が、ぐるりとまわり、こっちに向いた
嘉位の頬は、香織のふくよかな部分に挟まっていた。不可抗力、不可抗力とおもいつつも
香織がそこでうっすらと瞳を空けて、
「お、は、おはようごーーざーーーああああ・・・・」
少し寝ぼけていたのかもしれないが、嘉位が挟まっていてびっくりし、さらに下の方も固くなって、え、ええ。え、え、ええと顔が真っ赤になった
嘉位は何か言っているが聞き取れない
ふぅ
幸せだ
「いや、不可抗力、不可抗力、香織がいきなりこっちに、向いて、それに顔が、もう、最高
香織
「な、なにが最高なのですか、おきますよ、着替えて、ごはんすませてから、今日は迎えにいかないとですね」
嘉位
「うーん、なにかここから出るのがもったいない気がするが、仕方が無いか」
香織
「心の声が漏れていますよ」
嘉位
あら、ははは・・・二人はそれぞれ、着替えをすまし、食事をとり
あらためて、千佳が外着も準備してくれた。
車も既に準備してあり、二人は静かに車に乗り込んだのであった。
そとは少し寒そうであった。
正月三日ということもあり、静まり返っている。
由良の家についた。
香織は由良君のおうちも大きな、表札がなかった。おもてに御手洗と書いてあった。そういえば、朝トイレ、いったかな、行った。行った。大丈夫
一体何を確認しているのだろう
嘉位がおりてインターフォンをならそうとしたとき、
由良が玄関から出てきた
「嘉位、あけおめ!おっと、これは!?」
嘉位は頭に巻き戻しをかけたが、確か、そうだ、特に大々的には紹介したことがなかった事に気が付いた。
「香織、下りてきて」
香織は、嘉位がドアをあけてくれたので、ゆっくりと車から降りて来た。
由良、見たことある、ある、中曽根さんと一緒にいるところをよく見かけていた。
「はじめまして、御手洗 由良と言います、嘉位とは唯一無二の親友です」
嘉位は、そうだきちんと紹介しなければと思い
「由良、由良の事だからすぐに分かったと思うが、蓬田香織さん。僕の婚約者だ」
香織
「は、はじめまして、みたらいさん、というですね、由良君の事は嘉位から聞いています、よろしくお願いいたします」
深々と頭をさげつつ、も、表札に御手洗と書いてあるではなく、みたらいと読むことに少し、笑ってしまった
由良も察したようで、
「わかるよ、わかる、お、てあらいね。違うからね、「み・た・ら・い 」、え?婚約?」
嘉位
「うん、正式に新年を迎える時に、そこらあたりの話も、家に来てからにしよう、由良も乗って、八重さんを迎えにいこう」
由良は体が大きい、香織は見上げないと、視線があわないくらい、大きい
嘉位
「由良はトランクな。」
由良
「な、なんで、だよ。」
香織は、笑っている。
さて、車は走りだし、すぐに八重さんのうちについた
八重の家も大きいのだよね。香織はなんどもお邪魔したことがあるので、すぐに家がわかった。
嘉位と、香織が車からおりて、インターフォンを鳴らすと
八重が出てきた。…指に包帯が巻いてある
八重
「あらためて、あけおめですね」
「ふふふ、やるわね、山本嘉位」
不適に微笑んでいた。
嘉位
「そのフルネーム呼びかえようか?八重さん」
八重
「あ、それは失礼、香織の旦那さん」
嘉位・・・もう、好きにしてください。
4人は改めて、車に乗り込み嘉位の家に向かった。
由良が言った
「中曽根さん、その手どうしたの?」
八重は、少し考えながら、今はなすべきなのか、少し間をおいて」
「香織の旦那の家に行くのだよね、その時に話すね」
由良は、どこか気になっていた。
車は、嘉位の家に戻ってきて、4人は車から、おりた。
由良
「相変わらず、でかい家だな」
八重
「本当にお屋敷だね、旦那の家に入るのは始めたわ」
嘉位
「・・・、山本で、いいし、嘉位でも良いよ、八重さん」
八重
「嘉位なんて、呼び捨てしたら、そちらのお嬢様に殺されるわ(笑)、山本君にしておくね」
香織は、クスクス笑いながら、そんなことは無いのですけど、でも嘉位と呼べる幸せな事に嬉しくなった
「八重は、嘉位のおうちはじめてなのだね」
八重
「うん、家に来るのは初めてだな」
嘉位、外で寒い中はなすのもなんだから、家に入って、まずはお昼にしようよ
由良
「うっす!」
八重
「ういーす!」
香織
「はい」
八重・・・一人だけお嬢様だわ。声を出して笑って嘉位の家に入った。
千佳さんに広間に案内してもらい、4人は席についた
嘉位は、あれ楓がいないぞ
「千佳さん、楓は?…まさか」
千佳
「はい、御想像の通りでございます。本日も先ほどまで…」
香織が、言葉を遮るように、割って入って
「楓ちゃん、今日も徹夜でゲームをやっていたのですね」
八重
「楓さんは、ゲームとかやる人なのだ、少し意外だな」
いただきます
四人は何人分あるのかわからない量の食事を、始めた
由良が話を元に戻す。
「中曽根さん、その包帯。食事とか影響は無いの?打撲?骨折?」
八重
「見事に、おっちゃいましたー!」
香織
「いや、何かに当選したような、効果音着きで言わなくても、痛そうだね、どれくらいかかるの?根治まで」
八重
「うん、2か月位といわれた、変に折れたみたいで普通は1か月で治るらしいのだけどね。まー自業自得」
嘉位
「痛そうだね、それだと部活出来ないでしょう、バスケ」
八重は、意を決して白状した。
「実は、そう、あの日よ、あの日。香織と別れてから、そうイブの日だったよね、部活に行ったのだけど、その時やってしまって」
「病院に行って、検査受けて、2か月もかかるといわて、終業式の日にね、部活やめてきたのであります。大佐」
香織
「だれが、大佐なのよ、え?女バスやめちゃったの?あんなに頑張っていたのに」
八重
「うん、さすが和井田だよね。わたしじゃ全然通用しなくてBチームすら入れず、そういったむしゃくしゃしたとろもあったのかな?雑になっていた練習で、折っちゃった」
「秋の新人戦メンバーにすら入れなかったから、そのころから、やめたいな、ほら、私小さいじゃない?」
「和井田は特待生ばかりだから、皆大きくて、そして上手い。もう、良いかなと思ってね」
「そして、どこかの誰かさん、のお話を聞いて、新しい目標が出来たの、そっちを全力ですすむことにした」
由良
「うん、もったいないけど、何か目標ができたのであれば、中曽根さんを応援するよ」
八重
「ありがとう、由良」
その後、嘉位と香織の今までの話を、由良にわかりやすく伝えながら、食事を済ませた。
ごちそうさまでした。
嘉位は、よし、僕の部屋にいこう
「香織、良いよね?」
香織は、それは、だ、だ、ダメ、ちょっと先に行っている。下着が出しっぱなしなのを思い出して、小走りに嘉位の部屋に先に行った
嘉位は、ん?どうしたのだろうと首をかしげて
「まー、ゆっくり行こうか」
八重
「すげー、大きいなこの家」
由良
「だよね、中学のころは良く来ていたが、1年ぶり、それ以上かな、久ぶりに来ると大きさをあらためて、感じる」
そんな会話をしながら、嘉位の部屋についた
嘉位は、扉を軽くノックし確認してから中に入った。
八重、由良は驚いた、部屋の広さと、ベットの大きさに
香織
「あは、まー、わかる。うん、ここが嘉位の部屋」
八重
「愛の巣ってやつですな」
香織は顔が赤くなって
「ちがうよー、ちがうよー」
嘉位がさくっと
「違わないよー」
と誤解を招く形にあえて、言葉を混ぜていた
由良
「なんにせよ、おめでとう。嘉位はいままでまともに女性とお付き合いしたことがなかったからね、モテルのだけど、面倒くさそうにしていたから、まさか婚約というのはびっくりしたよ」
香織
そうだったのか、嘉位はいままでそれほど女子に興味がなかったのか、そこに、私?・・・深く考えるのは、やめよう
由良
「そうだ、今の流れで思い出した、嘉位、聞いてくれ、野球部廃部かもしれない」
八重・香織
「えー!!なんで!」
二人は声を合わせて、大きな声をあげた
由良
「夏の大会はすぐに負けて、3年生は卒部、そのまま和井田の大学へすすむのだけど、20名。2年生が1名記録員、1年生が俺と、記録員合わせて2名、合計3名しか残っていない、且つ野球経験は俺だけなのだぞ」
「2年くらい前かなにか、問題があったらしく、先輩達が入部してこなかった、そして1年も。秋季大会も欠場、春も欠場だろうな、このままだと休部から廃部になる」
八重
「和井田の野球部は、そこそこ、強かったよね、人もたくさんいたイメージがあるのだけど、なんで・・・」
香織も、がっかりしたように、下を向いた。せっかく嘉位が野球に復帰すると言っているのに、なんでこんなことに
嘉位
「由良、それなら大丈夫、確かに秋季には出場できず、今の3名、主力が由良だけでは、野球は無理だ、春も辞退だろう、でも大丈夫だ」
由良
「嘉位なぐさめてくれるのはわかるが、仮に嘉位が入ったとしても、俺と嘉位だけでは野球は出来ない」
嘉位
「それなら、心配はない、既にカリキュラムは出来ている」
由良は、大丈夫かな?嘉位、お嫁さんと一緒になって、野球のルールも忘れたのか?と、細目で嘉位をみた
嘉位
「実はだね、来年のいわゆる新入生、なんと15名以上入部してくる。それも硬式野球経験者で、それぞれトップクラスがね」
由良
「まじで、本当かよ、少し、泣きそうになるじゃないか」
嘉位
「母さんから昨年末に話されて、野球を続けなさいと、そして目ぼしいところを、和井田に入れたからと言っていた」
香織も泣きそうであったが、え?という形と、流石お母さまと、思った
香織
「良かった、これなら春の大会も出る事ができるのですね」
嘉位
「香織、それは出来ないのだ」
香織
「人数が揃えば、それも経験者なのでしょう?」
香織は嘉位の活躍が見たい為に、とっさに思いついた言葉を口走ってしまい、なにかまずいことを言ってしまったことを少しばかり、申し訳なくあやまろうと・・・
嘉位
「つまり、中学3年生は3月末まで中学生扱いで、4月1日からは高校生扱いであるが、正しくは入学式、学生証、わかりやすくいうと正式に和井田の高校に入学が在籍にかわらないと、出場が出来ないのだ」
八重
「確かに、女バスも春の支部から出た子は誰も居なかったけど、都大会からは出ていた子も居たいね、そういうからくりがあるのだね」
嘉位はタブレットを取り出して、由良に渡した
由良はじっくりとタブレットをみつつ、八重も香織も、タブレットをのぞき込んでいた
由良びっしりとした文字と、的確な図形とスケジュールがきめ細かにまとめられていた。流石嘉位、由良はあらためて嘉位に関心を寄せた
嘉位
「つまり春の支部大会に出る事ができない以上は、春の本大会へ出場が出来ない。例外は秋の大会での上位チームのみ支部大会は免除だけれども、由良の話だと秋季欠場だから、次の公式戦は夏!」
「言い換えれば、夏までにチームを作り上げればよい!支部大会からの出場になるが、あるいみ、この時間はありがたい。僕もブランクを埋めるのに丁度良いし」
由良
「嘉位、ありがとう!やった、これで野球が出来る。監督に連絡しなくては・・・監督知っているな、だから、落ち着いていたのだな」
八重
「よーし、じゃー私野球部のマネージャーやる!ただ手が治ってからだから3月位かな、香織もやろうよ」
香織は、え?と思ったが、嘉位と居られる時間があるというだけで、嬉しいので
「うん、わたしもマネージャーやる。八重と同じ時期に一緒に入ろう」
由良
「まじで、そりゃーありがたい。女神さまたち
嘉位
「その資料。由良にも、いや、全員に送っておくね」
由良はすごく、はしゃいで喜んだ。
よし、ここで、俺たちのすごさを自慢してやろうではないか
由良
「だれかトランプとかもっている?嘉位、部屋にある?」
八重
「あ、わたしもってきているよ」
由良
「お、ナイス中曽根さん、ではね、ちょっと凄いところをお見せしよう」
香織
「手品とかですか?」
由良
「うーん、ちょっと違いますが、そういえなくもないかもね?」
嘉位は由良がやろうとしていることが、よく理解できているので、あれだな、にやりとしていた
由良
「中曽根さんでも、香織さんでもどちらでもよいから、一人がオーナーとなって、そうですねせっかくだからハートのエースを出して、その他4枚と合わせて5枚、ハートのエースだけを表にして横に5枚ならべてみて」
八重
「わかった、やってみるね、これがハートのエース、他は4枚適当でいいのかな、並べてと」
由良
「今ハートのエースが真ん中にあり、左右に2枚ずつあるよね、中曽根さんそれを上下左右いろいろな動かし方でシャッフルして、シャッフルはこちらに見えるように、香織さんもこっちにきて、シャッフルをみていてね
八重
「これくらいで、いいのかな?もっと?」
由良
「うん、もっと、シャッフルして」
八重は、はじめは、ハートのエースがどこにあるか意図的にわかるようにシャッフルしていたのであったが、もうわからなくなった
香織は一生懸命目をうごかすが、疲れて来た
八重
「これで、良い?もう、わたしにもわからない」
由良
「これでハートのエースがどこにあるか、当てるの!5分の1だから運もあるけどね、それでは中曽根さん自身もわからないみたいだから、せーので、ハートのエースの場所を指おいてね」
「せーの」
嘉位と由良は、一番左、香織は真ん中、八重は一番右であった
由良
「ではだれも指をおかなかった、右から2番目から開くよ。違うね。左から2番目、次は中曽根さんのカードを表ね、違うね」
「最後に、嘉位・由良と、香織さんのカードを同時にあけよう」
「せーの」
一番左にハートのエースがあった。嘉位と由良が示したやつだ
八重・香織
「すごーい、どうしてわかったの?」
香織
「トランプに裏からわかる、しかけとかあるのでは?」
嘉位
「ない、ない、そんなものはない、由良も、僕もただ指先とカードの方向性を暗記していただけだよ」
八重・香織
「えええええええええーーーー!」
八重
「そんなこと、できるわけが、ないでしょう、え?できるの?」
嘉位
「もう1度やってみる?今度は香織と、八重さんがトランプ全部使ってシャッフルしてみていいよ、ただし、シャッフルは僕と由良に見えるように、はじめにハートのエースだけ見せてからね
・・・
・・・
・・・
八重も、香織もさすがにこれはわからないだろうと、思った。
しかし、嘉位と由良はあっさりと、ハートのエースを引き当てた。
八重
「なんでー」
香織
「す、すごい、なんでわかるの?」
由良
「嘉位もだけどわかるわけではなくて、動きを暗記しているだけだよ」
八重
「なにそれ、人間離れしている、じゃん」
香織
「本当に、人技じゃないよね?」
由良は、自慢そうな顔で、どうだ、まいったか!みたいな形で腕を組んでいた
嘉位
「これは、俺と由良が良くやる野球のトレーニング。球筋であったり、人の動きであったり、風とかも、いろいろな要素を肌で感じて、暗記する、打つ方も同じ、くせとかね」
八重
「これが、世界一のバッテリーか、すごいは、あらためてマネージャーやる!やらせてください。女バスよりこっちで正解だ」
香織
「本当に異次元。そうだ、ここには世界一が二人もいるのだね」
そして野球の話や、U-15の話等で盛り上がり
夜になっていた
せっかくなので、夜ご飯も嘉位と香織の家で済ませる事にしました
香織は、「けっして、わたしの家ではありません」
八重
「ご謙遜を、わか、奥様」
香織は、もうーーー! と照れながら、夕食を共にし
車を出してもらい、二人は山本家を後にした。
先に中曽根家につき、由良がドアをあけて、八重をエスコートした
その時、八重はバランスを崩して、倒れそうになった。
すかさず、由良が八重を抱きかかえて、あぶない
八重
「あは、ははは、ころんじゃった、由良すごいね。わたしみたいな大きな体を支えられるなんて、由良くらいだよ」
由良
「怪我しなくてよかった。大丈夫だよね?」
八重を見送って、由良も車にのり、自宅へ向かった。
<つづく>