第一一〇話 1月2日目の始動
食事が終わり、二人とも満喫し、会話も弾みながら楽しいひと時を過ごした。
嘉位
「うーん、おなかいっぱい、目が覚めた」
香織…それだけ、食べていて目が覚めたとか、くっすと笑った。
二人は、お料理に出てくる素材について、対話をした。香織も食材について、素材については目利きというべきか蔵での教育のこともあり、躊躇なく嘉位と談話が弾んだ食事であった。
嘉位
「香織、すごいね、そこまで考えて食べたことはなかったよ。素晴らしい、惚れちゃうな」
香織は、顔を赤くしながら、すこしだけ前を向いて、自分の得意なところを伝えられたとどこか誇らしげであった。
「いえ、たまたまです。食とお酒は切り離せない事もあると、良く教えられてきたこともありますので」
謙遜しながらも、少しだけ、なぜか挑発的な口調で言ってしまった。言ったあとに、わたしは何を言っているのだろうと、少し後悔したけど、嘉位はなにひとつ、表情を変えず、むしろ、自慢げにしていのに少しだけホットしていた。
嘉位
「ごちそうさまでした、おいしかったね、香織、そうだ、千佳さんに屋敷を案内してもらってね。僕はその間に、少し体を動かしているからね」
千佳
「かしこまりました。香織様こちらへどうぞ」
香織は千佳の案内にてお屋敷を歩き始めた。そういえばメイドさんの皆様はご結婚されているのでしょうか。これは聞いて良い話なのかわからないので、今はやめておこう
そんなことを考えながら、千佳に付き添って、説明をうけながら色々な部屋に案内されていた。
楓さん的に言えば、ダンジョンなのかなと思わず、ニヤケてしまった。香織自身もゲームはそこそこやるのである。どちらかというと弟球道から誘われてゲームの楽しさに嵌った事があった。
千佳
「この先が、奥様のお部屋です。ここの通りはとても、素晴らしいのでゆっくり鑑賞してくださいませ」
少しすると、廊下中に映像と音声が流れ始めた。そう、嘉位である。そこに映し出された映像はU-15の大会であった。
香織は立ち止まって、嘉位を凝視していた。そうだこの人なんだ、嘉位。こんなにかっこいい人がわたしの…。
嬉しくなったのに、涙が出てきてしまった。あれ、おかしいな何で涙が出ちゃうのだろう。
一生懸命な嘉位の姿がとても眩しくて、これから野球に復帰するのも嬉しくてであろうか、おかしいな、涙が止まらない。
感動していたのである。
香織
「嘉位は、本当は1年生から野球やりたっかのでは?」
千佳
「それは、嘉位様からお聞きになってください。香織様」
奥様のお部屋はお開けするわけにはいきませんので、この辺で、元にもどりましょう。
1時間程案内してもらい、かなり歩いたことに気が付いた。
そういえば、嘉位は何をしているのだろう
千佳と一緒に戻りながら、嘉位の事を考えていた。
広間に戻ると、そこには誰も居なかった。嘉位はどこだろう
千佳は、香織の心配を即座に察して、
「嘉位様は、練習場にいると思います、ご案内いたしましょうか?」
香織は、昨日の道は覚えている事を、頭の中で再度確認して
「千佳さん、大丈夫です。一人で行けます。一人で行って大丈夫でしょうか?」
千佳
「香織様、もちろんでございます。何かありましたら、わたくしの携帯がこちらですので」
香織は、あ!この番号、何度もやりとりしている。
「千佳さん、登録してもよいですか?」
千佳は、にっこりと微笑みながら
「香織様、もちろんでございます」
香織は嬉しそうに、嘉位の元に向かった。
外へ出るしかないので、少し寒かったが、練習場についた。
中に入ると、少しばかり暖かかった。嘉位がいる。
遠目に嘉位を観ると、ストレッチに励んでいる。その様子をずっと見ていた。
体やわらかい。すごいな。あの体が日本一の体。あれほど柔らかいと、骨あるのかな?と、頭の中にはてなマークがいくつか浮かびつつも
嘉位をじっと、見ていた。どことなく音を立ててはいけないような気がしたからだ。
嘉位が集中してストレッチをしているのを見る事も初めてだったこともあり、見ているだけで私だけが見ていられる、どこか優越感もあった。
そしてそれが、とても嬉しかった。
嘉位が一回、汗を拭きにタオルを手にしたとき、香織がいる事に気が付いた
「香織、こっちに来てたんだ、声かけてくれればよいのに」
「香織、あとそこにある、ドリンクとってもらえるかな?」
香織がそっと練習場の中に入って、手渡す。
嘉位は、ごくごくと一気に飲み干した。
香織
「嘉位すごく、体やわらかいですね。ストレッチ」
嘉位
「いや、まだまだ、ダメ。もっと徹底的にやらないと、怪我の元だからね。」
「1,2か月はストレッチとランニングに重点を置いて…」
嘉位は気が付き、自分の事だけの話をしていることに、
「香織は運動はやらないの?」
香織は、いつか聞かれるであろうとは思ってはいた、この質問」
「うん、見てる専門。球道の試合は見に行ったり、それくらいかな?」
嘉位
「そうなんだ、野球は見てても面白いよね?」
香織
「うん、ハラハラドキドキしちゃう」
嘉位は嬉しそうにしていた、そろそろ今日はここまでにして、汗臭くなるからお風呂かなと考えていた
嘉位
「香織、家の案内してもらえた?」
香織
「うん、すごかった、何もかも、特に映像と音声が」
嘉位
「千佳さん、あそこに連れて行ってくれたんだ、あれは母さんが作らせたものだね」
香織
「わかる、わかる、もう、とても嬉しかったのだろうなという感じが伝わってきたもの」
嘉位は、照れながら
「香織、そろそろあがりにするから、片付けをして戻ろう」
嘉位は片付けをはじめ、香織はタオルや飲み物を集めていた。
嘉位
「ありがとう、ではもどろうか、お風呂入らないと、ほらこの汗」
香織は、びっしり汗を書いている嘉位を観て、やっぱり男の子、そしてなにより野球が好きなのだなと思った。
「はい、風邪をひかないうちに、お風呂ですね、いきましょう」
外に出て、ひんやりとした空気に触れて、寒さを少し感じてから玄関に入った。玄関に入ると暖かった。
千佳がすぐに玄関に現れた。
嘉位は、すぐさま声にだして
「一人で入ります。お風呂」
千佳は残念そうに、どこか企みを察知されたような感じであった」
「嘉位様かしこまりました。香織様は如何なされますか?」
香織も、少し冷えたのは、冷えたので
「千佳さん、私もお願いしてよいですか?」
千佳は、チャンス到来。ここだというばかりに
「では、今日は嘉位様のお背中を、香織様が流すという形でいかがでしょうか?」
香織は、すぐに顔が真っ赤になり、下を向く
嘉位
「千佳さん、さっき言ったでしょう。その手にはのらないよ。それぞれ入るの」
千佳は、つまらなそうに、
「かしこまりました。入浴後、少ししてからお夜食でよろしいでしょうか?」
嘉位
「うん、そうしよう、香織もそれで良いよね?」
香織
「はい、ではまた2時間後くらいで」
それぞれがお風呂に入り、髪を乾かした。
嘉位は部屋に戻っており、今日行ったストレッチの内容、ランニングの内容を纏めていた。
事細かく、注意点や、気になる箇所を明確にしていた。
それから、香織が入ってきて、食事にすることにした。
香織は嘉位がタブレットに書き綴っているのをなんであろうか気になって、
「嘉位、それ見ても良い?」と何も考えずに聞いてしまった
嘉位
「もちろんだよ」
香織
凄い、細かく書いてある、時系列的に、体の部位の気になる点等、スポーツがわからない香織でさえ、どこを注意しているのかがわかるくらい詳しく書いてあった。
「嘉位は、いままでもこのようにまとめていたのですか?」
嘉位は、少しだけ考え込んでから答えた。
「個人メモはこれくらい、もう少しまとめたりするし、チーム全体とかもあるよね」
香織は、あらためて野球の取り組む姿勢に尊敬のまなざしを送っていた。
二人は、夜食を共にした。楓は起きてこない。食事は2時間ほど続き、その間も野球の話で盛り上がった。
嘉位も香織もたくさん食べて、食べ過ぎてしまった。
香織は、お正月で太ってしまうのかが、心配になった。でも、残したら悪いし、おいしいから幾らでも食べられちゃう。
正月を終えたら、ダイエットしよう。
そして、食事を終えて部屋に戻り、お互いがそれぞれ、別々に寝間着に着替えた
嘉位は、明日の話をし始めた。
「明日はお昼前には家を出て、車は頼んであるから、由良のところと、八重さんのおうちに迎えにいこうね」
香織、そうだ、明日は八重が来てくれるんだ。久しぶりにあえる。楽しみだな。
明日、4人で何をするのかはわからないが、確か明日が最後のお休みと嘉位が言っていたから、明日は、明日で気にしないで楽しめば良いのかな?
「明日は、何をするのでしょうか?」
香織は嘉位に聞いてみた、正直聞かなくても良かったのではあるが、ベットで寝る事に緊張があるのことをひたすらに隠すために、言葉でごまかした。
嘉位は、嘉位で、じっと香織のパジャマ姿を見ていた。・・・いやらしき視線を気が付かれないように、言葉を選び
「ほら、新年をお迎えして、三が日が最終日だからね、楽しければ良いのでは?」
嘉位は適当な言葉で、はぐらかすような形をとった。もっとも問われてないので、はぐらかすことはないのではあるが、視線を気が付かれた気をしたこともあり、ごまかす形になった。
香織は香織で、視線が胸に向けられている事をひしひしと感じていて、もう、どこみているのよ。お目目はこっちですよ。と内心微笑みながらであった
香織は
「わかりました、明日は今日と違って早くおきなくてはいけませんね。スマホの目覚ましをセットしますね、起きれなかった時は、起こしますし、私が起きれなかったときは、起こしてくださいね」
お互い、スマートフォンの目覚ましアプリにタイマーをセットし、二人はベットに横になった。
嘉位
「香織、おやすみなさい」
香織
「おやすみなさい」
と言いつつも、二人はベットの中で向き合ったまま、横になって瞳をそらさなかった。
香織は少し気になっていたこともあった、新年を迎えて、その前からである、キスをしていないことにだ。
香織は、軽く誘うように、嘉位の唇に人差し指をあてて、軽く撫でた。
嘉位も意味を理解し、二人は新年のキスを初めて交わした。
嘉位のキスは濃厚になり、時に舌を吸い尽くすように、いやらしい音をたてながら、大人のキスを満喫した
香織はその間、頭がぼーっとしながら、下半身に硬いものがあたることに、顔が真っ赤になった。もう、嘉位ったら・・・。
香織は、口元を放して、
「明日早いから、寝ましょうね、大好きだよ嘉位、おやすなさい」
嘉位は、にっこりと微笑みながら、またもや、胸を揉んでしまった。
香織は、体が反応してしまい、
「嘉位君、嘉位君」
すこし、どす黒い声でで、
「明日、おきられませんよ」
と威嚇し、事なき終えた
嘉位は、もうひとりの息子をいさめつつ、二人は眠りにつくのであった
明日は、由良と、八重さんが来る。
嘉位は、やっぱり余計なお世話だったかな?と、わけのわからないことと、自分の欲求が満たされないことにふてくされて寝ようとしたが、もう一度だけ、胸を触ってしまった。
香織は、優しい声で、威嚇した
「ね、な、さ、い、」
嘉位は、しゅんっとなって、
「は、はい、おやすみなさーい」
二人は、深い睡眠にはいるのであった
<つづく>
ーーーー
若いですね、それは若さですからね、いよいよ明日、由良と八重が二人で登場ですね、実は由良、八重は・・・。さて、どういったお話になるのでしょうね。