第一〇九話 突拍子な提案、え。本当に良いの
第一〇九話 突拍子な提案、え。本当に良いの
トンっとン
部屋を優しくノックする音。嘉位は中の様子を伺いながら、中にいる香織がこちらにも気が付いた事を確認してから
「香織、入るよ?」
ゆっくりと、声をかけた
香織も、扉の方向に進みながら、
「はーい、どうぞ」
と返事しつつも、思わずにやけてしまった。自分の部屋ではなく、嘉位の部屋なのに「どうぞ」はないよね。と何か、嬉恥ずかしい気分だった。こんなに楽しい朝は何時ぶりだろうであったか
嘉位が中に入ってきて、大きな紙袋が左手にずっしりとしていた。
「香織。これが着替えだって、千佳さんから渡されたよ。中身はサイズあうものだけ伝えてくれれば良いと、千佳さんが伝えてほしいと」
香織は左手から受け取ると、どっさりとした重さがあり、中を覗いてみると沢山の部屋着と、これまた沢山の下着が入っていた
香織は、ちらりと嘉位を観て
「嘉位。中身みたの?」
嘉位は、いや観ていないよ、千佳さんは1つか、沢山かの2択だから、いつもとかわらないよ
香織は、観てないことより、いつもそんな風に洋服選んだりするのかな、わたしなんて…。
中身を見ると、軽い、部屋着が2種類、スエットと、ジャージみたいなもの
それ以上に驚いたのが、下着の数…。
「あの、ここで着替えるのでしょうか?」
嘉位
「あ、外に出ているよ、あるいは脱衣所まで、といっても長いから、外に出ているね。着替えたら呼んでね」
香織は、いや別に着替えをみられても、良い、良いわけがない、恥ずかしい、着替えているところを嘉位は凝視して、我慢できずに、限界まで、そして、ガバッっと、香織は頭の中でわけのわかない妄想を膨らませた。
自分で妄想しておきながら、「バカ!」って声を出してしまった。
嘉位は何のことかわからずに、扉の外へ出て行った。
香織は、下着が…ものすごく、大人っぽいものしかなくて、これを着るの?そもそも、これは下着というべきものなの?いくつものある下着を選別していて、じっくりと並べて見比べていた。
無難なものを選び、スエットにすぐに着替えて、残りは袋に戻した。
「嘉位、着替えたよ。どうぞ」
どうぞと、言いつつも、ここは嘉位の部屋だ。朝から何か良くわからない状況であった。
嘉位が部屋に入ってくると
「いらっしゃいませ」
と香織はわけのわからない、言葉で応対してしまった。
嘉位の頭の中もはてなマークが並んでいたが、それよりもふと、思いついた事があったのでそれを香織に聞いてみた
「八重さんとのお話、楽しそうだったね、声が弾んでいたもの」
香織
「うん、今までの事、八重に伝えたの、八重も喜んでくれたの、嬉しくなっちゃて」
嘉位
「八重さんにそうか、伝えたのだね、そうそう、思うことがあって提案なのだけどね、八重さんと会話できたならね」
「八重さんに明日、空いているか聞いてもらえる?明日は正月三日、最後の日、最後の日というのは、4日から部活が始まるはず。だから空いているとしたら明日だから」
「そうだね、明日の昼前に、家から車出すから、明日うちで、お昼食べて、遊ばないか聞いてみて、僕のほうは由良を誘ってみるから、由良も来るはずだから、4日から部活だしね」
「八重さんに明日お昼前に、迎えに行くけど大丈夫か、由良も来るからと聞いてもらえる」
香織
「え、良いの、八重を呼んで、ありがとう、今もう1回電話してみる」
嘉位
「僕も、由良に電話するね」
お互い、電話で要件を伝え、明日は空いている事を確認し迎えに行くことになった。
嘉位
「では、朝食にしよう」
嘉位はスマホの時計が、11時を過ぎていることに気が付いた・・・。あれいつまで、寝ていたのだろう、久しぶりにゆっくり寝たから。
香織は、察して、軽くすっと笑った。
「そうですよ、もうすぐお昼ですよ」
嘉位は、香織の手をとり、広間のほうへ案内した途中で、メイドさんとすれ違い、なにやらお掃除に入るような様子であった。
香織は、そういうものなのかな。メイドさん達はお休みというものが無いのかな。今度聞いてみよう。
そんなことを考えながら、広間についた。
千佳さんから、今日はこちらではなく、あちらの奥へと案内された。
嘉位は、ふと思い
「?父さんと、母さんのいる気配が無いのだけど?」
千佳
「奥様達は、それぞれ朝の便で、海外の会社に行かれました。いつお戻りになるのかは、存じておりません」
嘉位
「いつものことだろうけど、1年、2年帰ってこないのでは?昨年が今までにない程日本に居たからね」
香織は、ふーん、ご両親は普段日本にいらっしゃらないのだ。
嘉位も香織が思っているであろうことを、察して
「香織、うちの両親は忙しいから、めったなことが無いとここには来ないのだけど、昨年はめずらしく海外行ったり、日本に居たりと目まぐるしかったな。」
「千佳さん、楓は何しているの?」
千佳
「楓様は、朝、つい先ほどまで、オンラインゲームをしていて、今は完全に寝ています。おそらく日付が変わるころには目を覚ますかと」
香織は、おかしくてにやけてしまった。楓ちゃんゲームやるんだ、それも時間を忘れて徹夜して没頭するほどに。
二人の前に、朝食というより、2,3時間はかからないと食べきれない量の料理が並んでいた。
嘉位
「おなかすいた、香織たべよう」
「食べたら、千佳さんと一緒に、屋敷を案内してもらってね。僕は、ストレッチ等しているから。」
「ではいただきます」
<つづく>
------------
お正月三日すぎたら、4日目から部活動再開ですものね。クラブチームですと二日から開始とかもありますね。もっとも大学は駅伝もありますし、社会人のニューイヤーと、皆さんそれぞれ年末年始は忙しいですね。ゲームにおいても年越しイベントもありますし、レジャーもですね。さて、そのなかで嘉位と、香織、由良と八重 次の話か、その次あたりで登場します。