第一〇六話:え?初夜
見送った後、広々とした玄関内に入った。やはり暖かい。
外は流石に寒かったのかな
嘉位は、よく見ると汗をかいていた、それが戻ってくる、見送っている間に冷えたのだろう
「千佳さん、お風呂ってはいれますか?」
「はい。もちろんでございます。楓様も先ほど済ませたところです」
嘉位は、香織を見て
「香織もお風呂どうかな?」
香織はドッキっとして、顔が赤くなる
そして、下を向いて、顔を隠してしまった
嘉位は、あ、聞き方がまずかったのか
千佳が、すかさず
「露天風呂の混浴も準備済みでございます」
嘉位まで、顔が赤くなり
「いや、違うんだ、そうじゃなくて、先に香織をという意味で」
千佳
「ご一緒にはいらないのですか?」
嘉位、
「は、はいらないよ」
すこし、ドギマギしながら答えた
香織は顔が赤いままだった
嘉位
「香織、先に入ってきてね」
「嘉位は、入らないのですか?」
ハッとして下を向く、これでは私が一緒に入ってくださいと誘っているように聞こえてしまう
嘉位も、ドッキとして、
「お風呂、いくつもあるから大丈夫です」
千佳
「では、私目を含めて三人ご一緒というのは如何でしょうか?」
嘉位
「千佳さん、変な誤解するからやめて・・・」
香織
・・・冷たい目で嘉位をすこし睨む。
嘉位は慌てて、打ち消すように
「ないからね、ないからね、いくらなんでも」
千佳
「では、嘉位様、私がお背中をお流し致します:
嘉位、完全にからかわれているのが感じ取れた
「千佳さん、香織がごかいするあら、頼むからやめてくれ(笑)」
千佳
「失礼しました。では香織様、わたくしめと一緒に」
香織
頭にはてなマークがいくつも沸いて、返答に困った
嘉位
「千佳さん、酔っているでしょう、まったくもう」
「はい、ではそれぞれお風呂を済ませて、夕食にしましょう、2時間後くらいで」
香織は千佳に案内されて、浴室に向かう
嘉位はいったん、汗を拭くために自室に戻った
が・・・なんだこれ?
一瞬誰の部屋かわからなかった。
なんと、ベットが変わっていて、いままでも大きなサイズのベットであったのに
さらにその倍はあるベットに置き換わっていた。
これは、母さんだな・・・
とりあえず、汗を拭いて、軽めのものに着替えてからお風呂に行く。
しかし、1年も投げていないと、かなり体が固まっているな。
そうとうストレッチをして、筋トレにはげまないと、ボール使った練習はまだ先だと感じた。
そんなことを考えながら、お風呂場に、入浴中も腕を伸ばしたり、角度を見直したり
軽いストレッチをしながらであった。
一方で香織は、大きな脱衣所にもびっくりしたが、さらに大きなお風呂に、やはり住む世界が違うんだな
と感じる一方で、これからこういう生活に慣れていく覚悟も決めた。
体を洗いながら、今までも作法というものは、酒蔵ということもあり習ってきたが、
スケールの違いが考えれば考えるほど、大きなものになり、色々勉強をしていかなくてはと考えていた。
湯舟はとても暖かった。
千佳が用意してくれた、部屋着にそでを通し、髪も乾かして広間の方に向かった
途中で、メイドさんに案内されて、お食事の場へつれてきてくれた。
既に嘉位は座っていた。楓も居た。
ただ、お父様、お母様があたりを見渡しても居ない。
香織は嘉位に
「お父様と、お母さまは?」
楓
「だめですわ、完全に出来上がってしまっていて、起きる様子がございませんことよ。香織お姉さま、私たちで頂きましょう」
嘉位
「香織、ここに座って」
嘉位の隣だった、目の前には楓がいる。
楓
「香織お姉さまは、好き嫌いがございますか?」
香織、いままでとは違う、まったく違う、楓の対応に目をまるくした、楓ちゃんって本当は良い子なのでは?
香織
「特にありません」
楓
「わたくしの態度の変化に、驚かれていることですわね」
嘉位
「こらこら、楓」
香織はちょっと、引っかかるところがあって、素直になれていなかった
楓
「実はですね、はじめのころは、お兄様を奪われてしまうというさみしさは、ありましたわ」
「しかしながら、お兄様から厳しいおしかりをうけて、控えたのですが、実は・・・」
香織は、息をのんだ、何を言われるのかが怖かった
楓
「お父様からお芝居を頼まれまして、さらに桜井さんや佐伯さんも一緒に」
「うまくいけば、芸能プロダクションをくださると」
「香織お姉さま、ごめんなさい。嫌な思いをさせてしまって」
香織は、うまく呑み込めなかったが、嘉位が以前全てを話してくれたことと変わりなかった事もあり
香織
「気にしていないというのは嘘になりますが、これから仲良くしていきましょうね楓さん」
楓も、少しほっとした形であった
嘉位は、話には入らず、ひたすら食べていた。嘉位も香織も参拝から帰宅し挨拶をしてから今にいたるまで特に食事らしい食事をとっていなかったからだ
それは香織も同じである
嘉位
「香織、食べて、食べてお腹すいているでしょう」
香織、確かにお腹は空いていた。
「はい、いっぱい食べます」
楓の子供のころの話や、楓がプロダクションに所属していて、そこの代表になりたかったことなどを気さくに話してくれていた。
楓の話は止まらず、マシンガンのように話しだして尽きる事はなかった。
頭の良いこともそうだが、歌がうまく、ダンスが得意な点等も、納得がいく内容であった。
嘉位は気にもせず、ひたすら食べていた。
嘉位
「さてそろそろ、食事を終わりにしますか」
香織もいっぱい食べた。太っちゃったかしら
「はい、とてもおいしかったです」
楓も満足したように
「香織お姉さま、また一杯お話しましょうね」
そして
千佳の案内で、嘉位の部屋まで長い廊下を歩きながら
改めてお屋敷に大きさに驚いていた。
千佳は
「では、私はここまでですので、嘉位様、香織様、ごゆるりとお過ごしください」
千佳は元の廊下を戻っていった。
香織は、おない世代の男性の部屋にはいるのは、初めてであった。
嘉位が扉をあけると
香織は一気に顔が真っ赤になった
嘉位…だよね、そうだよね、そう思うよね。僕でさえそう思ったのだからと、心の中で呟いた。
香織
「あ、あの、同じ部屋で・・・」
嘉位
「まーそうだね」
香織、なに見たこともない、この大きなベット、テレビで見た高級ホテルのスイートルームより多きいベット。そもそもこの大きさのベットが、入る部屋も、すごいが・・・。このベットで、二人っきりで・・・
香織は、ドキドキしていた
嘉位
「違うんだ、違わないけど」
わけのわからないことを口に出す嘉位
「両家の顔合わせをしている前までは、普通のベットだんだけど、汗かいて着替えようと部屋に入ったら、こんなふうになっていて」
「僕もよくわからない(笑)」
嘉位は、どこか覚悟を決めた用に開き直っていた。
香織は、顔がまっかのままである
嘉位
「とりあえず、立ってないでそこに腰かけて、お話でも」
香織
「そ、そう、そうですね」
何を話せばよいのか、頭の中がパニック中の香織
「えーと、今日はお日柄も良く・・・」
嘉位は吹き出し・・・
香織も意味不明な自分の発言に
思わず、二人して大笑いした
ある意味、緊張がほぐれた感じだ
それから二人で、嘉位の中学校の話、香織の中学時代の話をお互いに時系列的に語った
時間がすぎるも早く、0時前になっていた。
嘉位
「そろそろ寝ようか?」
香織
「はい」
男の人と一緒に寝るの始めてだ。普通初めてなのよね、そうよね、そうなのよね、こういうものなのよね?え?違うのの?違うわよ?いや、普通よ、当たり前の事、そんなことあるの?
自問自答しながら、せっかく意識しなかったはずが顔が真っ赤になっていた。
嘉位
「香織、では横になろう」
二人はそっと、ベットに横たわり、手を繋いでいた。
嘉位
「今日はものすごい、濃く長く、そして一瞬で過ぎていった一日だったね。香織も疲れたでしょう?」
香織
「いいえ、嘉位が一緒だったし、なによりもうれしいことばかりで、産まれて一番のお正月でした」
「嘉位、ありがとう」
嘉位は、おもむろに、腕の間に手を伸ばし、胸をがばっっと、もみ始めた
香織はびっくりする前に、体がびっくりしてしまった。先が大きくなってしまい、
恥ずかしさのあまり、また平手を
ばーん
と、やってしまった。
嘉位
「・・・まただ、でも、徐々にね」
香織
「徐々にですよ、いきなりは心の準備が」
嘉位
「え?こころの準備が出来れば、良いの?」
香織は、またもや顔が真っ赤というか、火を噴くような形成り
「し、しならない、おやすみなさい」
心臓の鼓動が聞こえてしまうほど、ドクン、ドックンしていた
おやすみなさい
(つづく)