第一〇四話:幸せな年越し
お互いの家の事情もあり、酒造メーカの年末年始は忙しい
また、山本財閥も各界隈から著名人があつまり慌ただしい年末
山本嘉位と 蓬田香織
は
次に会うのはお正月、初詣と決めていた。
嘉位の父からの提案で、お正月に改めて、迎え入れる話が、蓬田家と進んでいた。
母からは、嘉位に対して新たな注文が入った。注文というより要望である。
母「あなた、野球を続けなさい。」
嘉位は、一瞬とまどった。事業を継ぐために野球は中学までと決めていたこともあり、まさか、母からそのような提案があるとは思ってもいなかったからだ。
嘉位は、さらに考え込んだ。丸々一年何も野球に携わっていなかった自分の体が耐えられるのか
母「あなた、U-15の試合、海外で中継していて観てたわよ。なんで高校で野球やってないのですか?」
父「あ、それは、そのだな、なんというか、高校になったら事業を・・・」
母「まこと さん、やはり あなた 邪魔ですね 首にしますわよ」
父「邪魔とはなんだ、邪魔とは、いや、会社を考えれば、だか、」
父「南米プロジェクトを成し遂げる才能があるのだから、事業の事は気にしなくて良い」
母「おんなの事しか考えていない、あなたが言う言葉ではありませんことよ」
母「嘉位、いいわね、わたくしのほうで各中学シニア野球、ボーイズリーグ、ヤングから目ぼしい子を和井田学園特待生に迎える事にしたわ15名くらい」
嘉位は、思わず、目を丸くした。どこで、中学硬式について知ったんだ。
母「わたくしの情報網を甘く観ておられるのでは、既にスカウトと理事、中学校の間で合意済みですわよ」
嘉位、また野球がやれる。それも硬式経験者、野球経験者が新一年生として来年入ってくる。
嘉位の中に、何か芽生えるものがあることを、実感した。
明日は初詣
もう、こんな時間か、
嘉位は香織に電話をした
香織も嘉位からの電話をまっていた
「おちついた?」
「…はい…」
「もうそろそろだね。!
「…うん…」
0:00分
「あけましておめでとう 香織」
「あけましておめでとうざいます 嘉位」
少し、間が空いた
そう、初めてお互い、名前で呼び合ったことに、お互いが同時に気が付いたからだ
思わず二人して笑ってしまう・
「香織、明日袴にしようか、スーツでいこうか、どっちがいい?」
「袴なら着物ですね。お母さん髪も着付けも出来るから、頼んでみる」
「香織が着物なら、袴にしよう!」
何気もない、年末の忙しい話をしているうちに、2時を回っていた
どう考えても、起きれない 幸せな年越しをした二人。
「ねえー、嘉位 もう寝ないと」
「あ、本当だ、寝よう。香織、明日楽しみだね」
「うん」
「おやすみ 香織」
「おやすみなさい 嘉位」
二人で電話越しに年を越し
はじめて、二人で向かえる初詣
今年は良い年になりそうですね
そう思って、香織はキーホルダーを握りしめて、ゆっくりと安心して眠るのであった。
「勝利の証明は終わった。この静かな年明けが、やがて世界を揺らす選択の始まりになることを、二人はまだ知らない。」
第1部:結びの章 〜心が通うまで〜
【完】
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ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに、嘉位君、香織ちゃん。結ばれました
嘉位君も野球に復活する事になりますね。
青春ラブストーリー編はここで、終了です。
この先2章からは、各段にレベルアップした、マスタ節が炸裂していきます。
第一章との違いは、267話の後書きに記してあります。
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