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汚染される団員たち1

【レンディルサイド】

 ヴァルトハイネセン王国辺境の町、城塞都市トゥーランを出発したレンディルたち追跡部隊はその日の夕方、ようやく帝国辺境の町リヨンバラッドへと到着した。

 フレッドたちがこの町を出発してから二日遅れという頃合だった。


 本来であればもう少し早く出発したかったのだが、別動部隊として動いていた追跡部隊を待っていたり、あるいは、全員をハンターに偽装するための工作を行っていたりしたら、気が付いたら大幅に時間をロスしていた、というのが最大の原因だった。


 国境の砦を越えるときに、それぞれ六人一組でパーティを編成して帝国入りしたことも要因の一つである。

 さすがに全捜索隊合計三十六人が固まって動いたら目立ち過ぎるし、勘ぐられる可能性もある。

 だから、時間を空けてそれぞれ行動し、この町で落ち合う計画となっていたのである。



「報告いたします! 例の三人組と見られる者たちが、この町に滞在していたのは事実のようです!」



 宿の一室を借りて、そこを臨時の司令室にしていたレンディルの元へ、一人の男が入ってきた。彼もまた、ハンターに偽装した騎士の一人である。



「やはりこの町に来ていたか、あのクソ野郎がっ」



 眉間に皺を寄せて苦々しげに吐き捨てるレンディル。

 椅子に腰かけた彼の隣には、全身黒い甲冑に身を包んだ金髪の青年が立っていた。

 セルフリード公爵家の次男坊で、レンディルのお守りをしているヒース・クリフトラス・セルフリードである。



「――それで? 奴らはどこに向かったと?」



 ヒースが目を細めて問い質した。



「は! それが、奴らがこの町から出ていったという報告は今のところ上がってきておりません!」

「出ていってないだと?」



 騎士の報告により一層表情を険しくするレンディルに、ヒースではなく、この部屋にいた別の少年が声をかけた。

 聖騎士団所属のゲール・アイゼスである。



「レンディル様。もしかして、俺たち奴らに追い付いたんじゃありませんか?」

「バカを言うな。相手は逆賊フレッドだぞ? あれでも一応はラーデンハイド公爵の息子だ。見くびるんじゃない」

「す、すいません」



 どこか気の弱そうなゲールのあとを継ぐように、彼の隣に立っていたもう一人の少年が口を開いた。



「ですが、レンディル様。奴らがこの町から出ていったという目撃情報がないっていうのも変ですよ? 一応、門衛や町の連中にも聞き込みをしていますし、この町のどこかに潜伏しているって可能性もなくはないんじゃありませんか?」



 表情を曇らせながらそう告げたレンディルの取り巻きの一人、ハワード・バルヴェスに、ヒースが下卑た笑みを浮かべた。



「バルヴェス。お前の意見にも一理あるが、奴らはわざわざ帝国領にまで足を運んで王国から逃げてきたのだ。こんなところでもたもたしているとは思えないんだがねぇ。まぁ――奴らではなく、逆賊の間違いだったか? 公式上は、奴が乱心して陛下や王妹殿下を拉致したということになってるからなぁ、クフ」



 ニヤニヤ笑うヒースに、薄ら寒さでも覚えたのだろうか。

 ハンターに偽装するという方針になったというのに、相変わらず薄汚い黒甲冑を身にまとっているヒースに、ゲールとハワードが顔をしかめた。



「ともかくだ。もう少し情報を集めろ。どんな小さなことでもいい。一刻も早く、あのクソ雑魚野郎をとっ捕まえて、八つ裂きにしなければ俺の気がすまん!」



 レンディルは怒声を上げ、宿屋の壁をぶん殴っていた。

 女神スキルの恩恵を受けた強烈な一撃により、室内が微振動し、挙げ句の果てには壁に穴が開いてしまった。

 そこら中に埃が舞う中、空気が重くなり、静まり返る一室。そこへ、血相を変えた別のハンター姿の騎士が大慌ててで駆け込んできた。



「れ、レンディル様! 大変です! 町の中に魔獣が!」

「なんだと?」

「し、しかもその……! その魔獣に襲われて返り討ちにしようとしたビンスたちが……!」



 乱入してきた追跡隊の一人は息が詰まってそれ以上喋れないようだった。



「ちぃっ。魔獣ごときに構ってられんというのに、何してやがる! どいつもこいつも、ふざけやがってっ。おい! 行くぞ!」



 顔を真っ赤にして怒り狂いながら部屋を出ていくレンディル。



「「は、はい!」」



 それに追従する形でゲールやハワード、他のメンバーも出ていく中、



「クッフフフ。ただのお守りのつまらない追いかけっこかと思っていたが、随分と楽しいことになってきたじゃないか」



 ヒースは顔中に歪みきったおぞましい笑みを浮かべた。

本作に興味を持っていただき、誠にありがとうございます!

『ブックマーク登録』や『☆☆☆☆☆』付けまでして頂き、本当に嬉しく思っております。

皆さんの応援が執筆の励みとなり、ひいては大勢の方に読んでいただくきっかけともなりますので、今後ともよろしくお願いいたします(笑

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