14コマ目 敵に塩を送る
昨日は投稿ができず申し訳ない
いい加減ストックが無くなってきたので投稿期間が空いたり字数が少なくなったり誤字が増えたり(これはいつもかもしれない)するかと思われますがご了承ください
骸さんの説得により無事怪しい服の人が時間にまで影響を与え始めることの阻止には成功した。これにより怪しい服の人が邪神との戦いに参加できなくなるという事が無くなるうえに、邪神討伐後の骸さんの侵略に置いて強力な対抗手段を持たれずに済んだ。
そこまでは非常によかった。
が、怪しい服の人は骸さんにこうした説得をするようダンジョンに関わる存在がアドバイスしたという事を見抜き、
『よかったらなんですけどねぇ。先王様含めて皆さんに助言をもらいたいんですよぉ。特にこの、無限とかいうモノとか』
『助言か。それを思いつけるほど余たちも手を付けられてはいないのだがな。それなりに早く禁忌に指定されてしまったから』
『そうかもしれないけどぉ、やっぱり着眼点とか違うのではぁ?こちらも手に入れられてない情報もあるでしょうし、知らない要素も多いでしょうからぁ』
怪しい服の人の考えも分からないわけではない。
確かに、怪しい服の人の無限の作り方はダンジョンで行なったものとは大きく違うのだ。ダンジョンでの無限というのは言ってしまえば見せかけに過ぎない。単純に、ただただ相手の周囲に迷路を作り続けるというだけのものでしかないのだから。クッキーの生産ラインに使われているものなどは怪しい服の人の物には近いが、それでも無限と言ってしまって詐欺にならないかどうかは微妙なものだ。
反面、怪しい服の人の使う無限は本当の意味で無限だ。
伊奈野達のものに比べると負荷がかかりやすく崩壊も早いものの、間違いなく誰が見ても無限と言い切ってしまえるような代物となっている。だからこそそこは大きな違いであり、伊奈野達もその違いに関しては指摘できた。
だが、実際にそれを怪しい服の人に伝えるとなると話は別で、
「わざわざ私たちの劣化版みたいな知識を与えたところでって感じですよね」
「ただこちらの無限が見掛け倒しだという事を伝えることにしかならないのでは?向こうも取り入れる必要性を感じないでしょう」
『あえて劣化させることで使い心地を良くするという事も可能かもしれなんが…………そうなってくれると確信する要素は何一つとしてないな』
ダンジョン側の無限が見掛け倒しなことを説明して意味があるのか。そこが論点となっていた。
怪しい服の人の無限であれば防御にも使えるが、見た目倒しのものでは防御への活用と言うのは難しい。そもそもダンジョン側が特定のフィールドで活用することを想定している以上、怪しい服の人が求めるような技術につながるとは思えないわけだ。助言をしたところでダンジョン側の情報が抜かれるだけという事になりかねないわけである。
ただ、ここで何もないと言ってしまって良いかも怪しいところだった。
怪しい服の人も自分がダンジョン側と全く同じことをしているわけではないと確信しているようであるため、
「こちらが情報を隠しているなんてことになると面倒なんですが」
『不信感を持たれてしまうのはマズいな。適当なアドバイスの1つや2つは必要か?』
「使えないものだとしても何かしら言っておく必要はあるかもしれないですね。魔王は兎も角呪術師とは仲良くできているわけですし。まだ骸様の敵対を考えられるわけにはいきません」
「でも、何を言えばいいですか?私たちはあれ以降手を付けられてないですよね?新しい知識とかないですよね?」
「そうですね。一応ダンジョン側の改善策として考えていたものが案だけではありますけど残っているので、それの中に使えるものがないか探してみますか?」
いくつかアドバイスをしないわけにもいかない。
ということで、急遽古い物ではあるし直接的な活用ができるかは分からないが以前ダンジョン側に無限をどう使っていくのかと考えていた資料を引っ張り出してくることになった。
内容としては構想段階だったり技術的に厳しかったりするものが多かったのだが、どちらにしても単純なアドバイスとしてなら応用できる可能性がある。アドバイスが具体的である必要もないのだから。
そうしてどうにか探してきたものから助言をしていけば怪しい服の人も参考にできなくはないくらいのラインのものを提示することができ、
『なるほどねぇ。確かにダンジョンだからこういう方面に目を向けるわけですかぁ』
『活かせるかどうかは分からんが、参考にしてみてくれ』
それ以上の事は求められずに済んだ。
満足できる程度にはできたかという事で骸さん達はそろって胸をなでおろす。
ただ、その後予想外なことに、
『見てくださいよぉ。おかげさまでかなり堅牢な守りにできるようになりましたぁ』
『知識を与えすぎたかもしれん』
「余計なことを言ってしまったかもしれませんね」
「あれ、想定していた以上に面倒くさくなってませんか?崩壊させることも厳しいのでは?」
怪しい服の人がカメラを通して骸さん達に見せるのは、自分の周囲に展開した巨大な無限と定期的にその中から出ていく無限の何か。
ダンジョン側はこの結果に頭を抱えることとなっていた。
やることは簡単だ。
伊奈野達が当初想定していたように、まず全身を無限で覆い完璧な防御能力を獲得した。この方法では負荷を掛け過ぎると崩壊して身を守るモノがなくなってしまうという欠点もある。
しかし、今回その欠点を克服するようにして怪しい服の人側が作っていた機構にも取り入れられたのだ。一定まで無限に負荷をかけられるとその無限で守られた内側にもう1つ新しい無限のガードが作られ、逆にその外側にあった最初の無限は圧縮される。
そしてそのままその無限は敵の方向へと飛んでいき、ある程度まで離れたところで解除されて周囲へと内部に溜めていた攻撃をばらまく。
「一瞬で負荷をかけきらないと、逆に向こうが無傷の状態で攻撃にだけ使われるという事になりかねませんよね」
「これもある種の反射では?」
『余たちは何と恐ろしい物を作ってしまったのだ』
ここまでされると伊奈野達には対抗策が思い浮かばない。
もちろん諦めるつもりはないが、余計なアドバイスをし過ぎたと頭を抱え過去の自分を恨むこととなるのだった。
《称号『禁忌アドバイザー』を獲得しました》
「とりあえず、これで邪神の心配はしなくてよくなったと考えてもいいでしょうか?」
『分からん。いつもであれば邪神をなめてはいかんと言うところではあるのだが、あのようなものを見せられてはな』
「邪神もどうにかできるかもしれないくらいのものを自分たちは作っていたんですね。それを禁忌にされてしまうなんて本当に運がないと言いますか」
『世の中そんなものだ。それに、必要になれば禁忌だとしても手を付けることはできる。命までは奪われぬさ』
「それ、自分も当てはまりますか?自分はダンジョンが無くなったら一緒に消滅する存在なんですけど」
『…………回答は控えさせてもらうとしよう』
「それ、自分は禁忌を使えないって言ってるようなものじゃないですか~」




