10コマ目 想定
「…………ということでした。特に骸さん達に提出できるような成果はないですね」
『ふむ。そうか。だが、動いてくれたことには感謝しよう』
「いろんなことを考える人がいるものですね。スキルって人が作れるものだったんですか」
何の成果も得られませんでした、と言うほどではない物の、伊奈野はあまり大した情報も得ることはできなかったと骸さん達に報告をする。
上位存在さんから聞いた話を脱線しすぎない程度に伝えたわけだが、やはり手に入れられた情報と言うもの自体は少なかったわけだ。
伊奈野が対抗策を手に入れる事こそできたものの、あまりそれは本来の目的とは関係がない。
だが、だからと言って骸さん達も怒ることはない。
そもそもこうして情報尾集めてきたことは骸さん達が指示したことでもなく伊奈野が自発的に行ったことであるし、そもそも少なかっただけで情報が0であるわけではないのだ。
感謝しているくらいである。
「魔導銃のような、と言われても自分は想像できませんけど、確かに永久にどこまでも飛んでいく攻撃があるのなら無限に負荷をかけることは可能ですよね」
『うむ。余は魔導銃を見たことがあるが、確かに物によっては言う通りの効果も期待できるだろう。そうでなくてもいくつかの魔法ならば似たようなことは引き起こせるはずだ』
「できるんですか?そんなに魔法を沢山放てますか?」
『配下の1人に任せるというのことは無理だろう。しかし、数を集めれば問題ない。余の配下の中にも魔法を扱えるものは多くいるからな。ダンジョンのお陰でその数も安定的に増やせているし、全く問題はない』
「そう聞くと、解決策が見つかった気がしますね。というか、解決したと言ってもいいのでは?」
骸さんの話を聞くと、伊奈野達にはこの問題はもう解決したも同然と言うようにすら思えた。
骸さんの配下を使って魔法を撃ち込ませ続ければ簡単に怪しい服の人が作り出す無限を使う防御は崩壊させられるはず。
伊奈野と炎さんはこれで話は終わりだとすら思っていた。
が、骸さんは首を横に振る。
どうやらそう簡単な話ではないようで、
『あやつも決して弱くはない。どちらかと言えばしぶとい部類に入る。例え大量の魔法を叩き込んでみたとしても息の根を止めることは難しいだろう』
「えぇ?怪しい服の人ってそんなに強いんですか?」
「特に強そうには見えないですけどね。色々と小細工をしてきそうという風な印象はありますけど、それでも骸さんの配下が大量に魔法を放った中でも生き残れるほどですか?」
『呪いで何をしてくるのかもわかったものではないし、それこそ見て分かる通りあやつには禁忌などにも迷うことなく手を出していく。小細工をしてくることも間違いのない話だが、強力な手札を何枚も持っていることも間違いないのだ。それこそ、瞬時に周囲の魔法をすべて消すことができるような力を持っていたとしても何らおかしな話ではない』
「えぇ。そこまでですか?でも、魔法がダメなら物理で殴れば良いのでは?」
「確かにダンマスの言う通りですね。魔法ではない遠距離攻撃手段も、1つや2つはあるのでは?それを織り交ぜればたとえ魔法を無効化されたとしてもダメージは与えられるはずです」
『うむ。それはそうかもしれんな。しかし、結局それでは仕留め切れん。仕留め切れんのならばすぐに回復される可能性も逃げられる可能性もある。それでは意味がなかろう』
骸さんが言うには、伊奈野の予想以上に怪しい服の人は強いという事らしい。
だからこそ、炎さんの配下が無限を崩壊させることにしてもその後とどめまでさせないという事なのだ。炎さんとしてはその後回復されても逃げられてもどちらにせよ面倒なことになると考えているようで、その程度では対策としては不十分だという考えらしい。
伊奈野達もそういわれると怪しい服の人の理解に関しては骸さんに勝っているとは思えないため素直に従うしかなく、再度対策を考えていくことになる。
しかし、その対策と言うものが考えれば考えるほど難しいものに思えてくる。
魔法を無効化できる可能性などと言い始めると、
「物理を無効化される可能性はないんですか?」
『あるな。それこそ自分を霊体化させるような技術を身につけておるかもしれん』
「魔法と物理両方をオーバーキルできるほど叩き込めば解決できますか?」
『難しいかもしれん。もしかすると数秒間受ける攻撃をすべて反射するような能力を持っているかもしれんからな。逆にそれをされればこちらの配下たちが受ける被害が大きくなりすぎるだろう』
「いやいやいや。待ってください。そんなこと言いだしたら何も案なんて出せませんよ。攻撃の反射とか、考慮してどうにかできるようなものでもないですって」
骸さんがあまりにも不安を口にするため、伊奈野達も頭を抱えることにある。
魔法が無効化されるや物理が無効化されるという程度であればまだ対策の考案は可能だが、全て攻撃が反射されるなんてことまで言われるとどうにもならない。
反射を無効化する方法なんてことを考えだしたらきりがないうえに、そもそも反射なんて本当にされるのかと言う疑問もある。
反射なんてチート級の技術なのだから、それがたとえ数秒でもすべての攻撃を対象にして発動するというのはとてつもない事だろう。
そうしたこともあって伊奈野達はもうちょっと楽観視できないのかと文句を言ってみるが、骸さんは首を横に振る。
どうしても懸念は払しょくできないようだ。
「本当にそんなことがあり得るでしょうか?」
「そもそも、この戦いが起きる時期の想定は邪神を倒した後ですよね?それなら、あの人もそんなことができるのなら邪神に対して使っていてクールタイムにでも入っているのでは?さすがに反射なんて強力なものが短時間で何度でも使えるなんてことはないでしょうし」
『それはそうかもしれんが…………いや、反射もいくつか種類があるのかもしれんではないか。1つが使えずとも、他の反射能力を使ってくる可能性がだな』
「そんなことを言い出したら、最初から倒せるような相手じゃないじゃないですか。無限がどうこうとかではないですよね?」
骸さんが言うように完全に全ての攻撃を反射できるような力を持っているのだとすれば、まず勝てる相手ではないだろう。もちろんすべて使わせてしまえばその後は反射されずに済むかもしれないが、骸さんの話を聞く限り反射だけで終わるような手札の少なさではない。
そんな相手だというのであれば、そもそも挑もうとすることが間違いなわけだ。
どうにもならない相手がいるというのに、世界征服などできるはずがないだろう。
骸さんもそこまで言われてしまえば反論できる要素がなく黙ってしまう。
が、そこで話は終わらず炎さんが何か思いついたようで、
「そんなに反射が怖いなら、こっちでも何か反射できるものとか用意したらどうですか?向こうの反射を更にこっちで反射させてあげればいいでしょう」
「確かにそうですね。そんなにいくつも反射の手段があるのなら、こっちでも1つくらい使えたっていいですよね」
『いや、反射なんてそんな簡単なものではないぞ。強力な力であるがゆえに完全な反射だけでなく部分的な反射であっても手に入れることは難しい』
「そんなに難しいなら、そもそもいくつも持っていると考える必要はないのでは?そこまで難しい物をいくつも確保していると考える方が間違っているでしょう」
『いや、しかしな。相手はあやつであるからして…………』
反射を手に入れればいいと言えば。骸さんはそれは難しいという。
では難しいのなら怪しい服の人だって入手はあまりできていないだろうと言っても、骸さんは怪しい服の人をかなり評価しているようで可能性を捨てない。
もうこのままだと骸さんの世界征服なんて諦めた方が良いという結論にまで至りそうなのだが、
「あれ?そういえば私、反射とかいうの持ってなかったでしたっけ?」
「『は?』」
怪しい服の人がずいぶんと評価されてるけど、そういえば怪しい服の人って上位存在さんの力を使ってるとかなんとかいう話があった気がしますねぇ
ということは…………




