表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/523

11コマ目 スイーツの力

朝のサーバに負荷がかかりすぎていない時は日本サーバを使い、放課後は混んでいるので海外サーバを使い、図書館とダンジョン&墓地生活をゲーム内では繰り返した。

誰かさんが、とあるサーバで予定していたイベントにつながらないような事態を引き起こした影響でイベントも発生せず。毎日平和に勉強が続けられていて、気づかないがスキルも成長していっている。

そんなある日のこと。


「今度の模試明け、スイパ〇でも行く?」


現実世界で。

母親からそんな提案を受けた。


「行く!」


伊奈野は即答。彼女もスイーツはかなり好物であり、今は受験期で我慢しているもののその前にはかなりの頻度で放課後にクレープを買ったり、1年後にはつぶれているようなお店で流行りのスイーツを買ったりしていたのだ。

普段は我慢しているが、模試明けくらいにはいつも頑張っているご褒美として1日スイーツに溺れるのもいいかと思うわけだ。


「受験生にとって1日を浪費するのはあんまりよくないことだけど、たまにはご褒美も必要だからね!気持ち良く食べるためにも、模試に向けて勉強だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


その日から、いつも以上にやる気を持って勉強を始めた伊奈野。

それはもう、


『む?来たか人の子よ。少し話が、ん?どこへ行く?なぜそこにダンジョンを?どうしてこちらへ見向きもせずダンジョンへ入っていく?…………ん?もしかして無視されたか?お、おい。余、まさか無視されてしまったのか!?』


墓場でダンジョンを作る前に重厚感のある声で話しかけられても気づかないくらいには勉強に意識が向いていた。

勉強のペースも普段の1.2倍くらいで進んでおり、さらなる進歩が見えていた。

いつも通りに進んでいつものように過ごすより、1日休むとしても結果はこちらの方が断然大きい。


「………師匠、最近燃えてるわね」


「そうですね。かなりの集中力と速度です。私たちの質問にも答えてはいただけますが、どこかいつも以上にそれぞれのことをご自身もより理解しているように見られますし」


「集中されるのは良いのですが、少し恐怖が大きいと言いますか……」


日本サーバでよく一緒の部屋にいる3人も伊奈野の変化は理解していて、どこか感心した様子とおびえる様子が見られた。

伊奈野は集中すると威圧感が出る『鬼を纏いし者』という称号を持っているので、恐怖するのも仕方がない。

そして、


「「「「お姉さ、ま゛ああああああぁぁぁぁぁ!!!!????????」」」」


図書館の中でうるさく走り回る愚か者たちが強制ログアウトさせられるのも仕方がないのだ。

もちろん伊奈野は、


「いやぁ~。今日も大変勉強日和ですね!」


「「「そ、そうですか」」」


全く気付いていないが。

3人はそんな様子に本当に気づいていないのかわからないため、微妙な顔をする。もしこれが能天気な顔をしているだけで、すべて仕組まれていることだったと考えると、


「師匠の知識を考えると、絶対ないとも言えないのよね」

「ですよね」

「分かります。あの方の知識は様々な分野を網羅していますから、何が出てきてもおかしくありませんし」


もちろんそんなことはない。

ないのだが、伊奈野の知識を知っている者達からするとありえないと言うことはできないのであった。




それからさらに数週間の時が流れ、


「…………よぉし!終わったあああぁぁぁぁ!!!!」


模試が終わった。

伊奈野の顔にはやり切ったという満足感あふれる表情が浮かんでいる。


「お疲れ様ですわ、お嬢様。模試はいかがでしたの?」


「とりあえず1回全部解いて見直すくらいはできたよ!8割は間違いなくとれてるはず!!自己採点して結果も見たいところだけど、その前にやっぱり、」


「スイパ〇ですの?」


「イグザクトリーだよ!」


試験後は採点と見直しなどやることはたくさんあるのだが、それでも翌日はスイーツビュッフェに行けるのだ。気分は完全にそちらへ向いていた。


「明日が祝日でよかった~」


「ですわね。私も明日は楽しみですわ!」


模試が行われるのはたいていの場合2日間で、土日である。今回も例にもれず土日に実施された。いつもなら翌日は平日で学校なのだが、幸いなことに月曜は祝日。

学校は休みなのである。

だからこそ、スイパ〇に行けるのだ!


「ふふぅ~ん。ケーキにマカロンに、ミルフィーユも外せないよね~」


帰宅後ゲームにログインして一応勉強をするのだが、もうほとんど頭をスイーツに占領されていてあまり身が入っていなかった。

その様子を見る者はいないが、黒い本(グリモワール)は怪しくその内容を増加させページ数を増やしていた。



そして翌日。

ついに、


「スイパ〇だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「イヤッフ~ですわぁぁぁぁ!!!!!」


瑠季(使用人)と2人、朝からテンションは絶好調。

出発はいつなのかと期待した表情で母親へ向かって行き、



「………………………………あぁ~。そ、そのぉ。楽しみにしてもらってたのに悪いんだけど、ごめん。今日ちょっとお仕事が入っちゃって」





「「………………………………………………………………What?」」

スイパ○はスイーツビュッフェのお店です。作者は1回しか行ったことないですw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
海外の人達も行くスイパラwww 食べ放題は日本独自だから海外の人達から大人気ってYo○Tubeで見たことあります(≧∇≦) 私も一回しか行ったことないです(*ノ>ᴗ<)不二○レストランでの食べ放題して…
[良い点] 面白い [気になる点] この前の模試で1位(校内か全国か分からないが)を取るくらいの実力があるのに、八割は取れてると思う……ってどういうことだ? 勉強量と描写的に高偏差値なのは間違いない…
[一言] 天国から地獄へ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ