22コマ目 告白
前半のネタが分からない方はすみません(土下座
ネタは大事じゃないので気にしないでいただいて結構ですw
人身売買など不穏なことは考えたものの、学校に来ればそんなことは一旦置いておいて勉強などの方向に思考は切り替わっていく。
そうしてすっかり普段の思考に戻ったところで昼休みとなり、
「相変わらず画智是さんのお弁当おいしそうだよねぇ~」
「まあ、お父さんは料理上手だからねぇ」
「良いな~。私も料理上手でついでに毎日料理してくれるお父さん欲しかった」
「私も~欲しい~」
友人たちと共に昼食をとっている。
少し勉強などとは関係のない雑談などが多くなってきているところで、
「ん?お嬢様。なんか、見られていませんこと?何かあるのでしょうか?」
「あっ。本当だ。何だろうね?何か話してるし、瑠季ちゃんはとりあえず聞き耳(40)でロールしてみる?」
瑠季が視線に気づいた。
伊奈野もそれで見られながら向こうが何かを話していること気が付き、少しふざける。
「急なTRPG!?しかも聞き耳の40ってKPが最初にオススメしたとおりに取ったみたいな微妙な数値ですわね……あれ?1人近づいてきてますわよ」
「あっ。本当だ。じゃあそれに気づいた瑠季ちゃんはSAN値チェック1d1000で振ってみようか」
「SAN値チェック!?ただ見られてて近づいてこられただけですわよ!?それでやられてたら私1日に1回はダイスロールしなければなりませんわ…………というか、1d1000!?作者の誤字とかではなく1d1000なんですの!?私のこと殺す気でして!?」
「別にそんなことはないんだけど………そんなに大きい声出してるってことはもしかして発狂しちゃった?マニアとかになっちゃったかな?」
「別にSAN値5以上削れたりしてませんわよ!………いやでも1d1000で振るなら失敗してる可能性の方が高そうですわ」
「まあ確率的に考えればそうだよね。というか、SAN値5以上減少とINTの数値でロールしてとかちょっと古くない?」
歩いてくる生徒がいることに気づきつつも、伊奈野達は自分たちに関係がないだろうと考えて、というか関係しないと良いなと期待しながら雑談をしていく。
しかし、現実とは非情な物であり、
「が、画智是さん。今、良いかな?」
「あっ。私?」
伊奈野が容赦なく指名された。
話しかけてきたのは、少しの緊張が見えるがその後ろに隠しきれない自信もくみ取れる若さ溢れる男子生徒。
もうこの段階で伊奈野は何となく察したが、気づかないふりをしつつ対応することに決める。
「お弁当食べながらで良いなら聞くけど。何?」
「っ!わ、分かった……………お、俺さ、有名大学を受ける予定なんだ」
「ほぇ~有名大学?良いじゃん。頑張れ」
「う、うん。それでなんだけど、も、もし俺が受かったら、俺と付き合ってくれないかな?」
周囲の空気ががらりと変わる。
伊奈野の目の前の男子、仮称「モブ雄」が告白したぞ、と。
モブ雄はそこそこに人気のある男子であり、今まで様々な生徒からのアプローチを断り続けてきた伊奈野が相手でもお似合いなのではないかと思っているようなものも一定数はいて、
「ありがとう。気持ちはうれしい。けど、ごめんね。今誰かと付き合いたいって気持ちはないんだ。だから、無理かな」
「っ!」
自信があったらしいモブ雄君は、伊奈野に断られたことにより小さくはない驚きを見せる。だが、それ以上に周囲で見守っていた生徒たちの方が大きく驚いているように見えた。
その後さらにモブ雄が食い下がってくるが、伊奈野は首を振り続ける。
「ごめんね。そういう気分にはなれないかなぁ」
「そ、そっか…………あ、あの、気持ちが変わったら言ってくれ。俺の気持ちは変わらないから!」
「うん。分かった。ありがとう」
流石に断られ続けると無理だと悟ったのか、それでもあきらめきれない様子で去って行った。
教室のど真ん中でこのようなことが行なわれていたため公開処刑のようなものになったが、陽キャ男子はよくやることなのでそこまで気にすることもない。
気持ちが変わる予定も要素もないし、これでこの件は終わる……………と伊奈野は考えていたのだが、
「伊奈野ちゃん」
「ん?どうしたの?」
「なんで、モブ雄君のことフっちゃったの?」
「……………え?」
放課後。今から帰るという時に伊奈野の友人の1人が昼休みの告白の話をしてきた。
伊奈野の記憶によれば確かその子は、
(あっ。そういえばモブ雄君のこと好きだったんだっけ?)
「私のタイプではなかったからね………」
「タイプじゃなかった?伊奈野ちゃんはモブ雄君の気持ちを何だと思ってるの!」
「え、えぇ?そんなこと言われても私の気持ちだってあるんだけど」
「そんな中途半端な気持ちでモブ雄君を誘惑しないでよ!」
怒り叫ぶ伊奈野の友人。仮称A美。
どう考えても理不尽な理由で怒られているが、痴情のもつれとは大概そんなものである。
「もう伊奈野ちゃんのことなんて知らない!」
「えっ!?ちょっ!」
伊奈野に怒りをぶちまけたかと思えば、走ってどこへ行ってしまうA美。
伊奈野はどうするべきかと迷うが、
「ああ。じゃあ私がA美ちゃんのことは追いかけるから、伊奈野ちゃんは落ち着いて。瑠季ちゃんがついておいてもらえる?」
「分かりましたわ。さぁ。お嬢様。一旦今のことは忘れて帰りましょう」
「えっ、あっ、うん。ありがとう」
A美のことは任せろと走って追い駆けていくほかの友人。仮称B奈。
それに一旦今回のことは任せて、伊奈野は瑠季と共に帰路につくことにした。
「お嬢様、大丈夫ですの?お怪我はございませんこと?」
「大丈夫だよ。別に何かされたわけじゃないから怪我もないし。心配し過ぎだって」
そのまま表面上は落ち着いて伊奈野は家に帰りつき、自身の部屋へと戻る。
そして、心を落ち着けるため机に向かうのだが、
「……………だ、ダメだ。全然集中できない」
ここまで何度も、うるさかったり多少の怒りがあったりする中でも勉強は集中してこれた伊奈野。
しかし今回、その集中力を発揮することができないでいた。
「もぉぉぉぉぉ。なんでこの受験近い時に限ってこんなことに。モブ雄のバカぁぁぁぁ!!!!」
とりあえずモブ雄が無関心から嫌いな存在に伊奈野の中で切り替わったのは間違いないだろう。
今後多分出てこないどうでもいい設定
「有名」大学と書いて「ありな」だいがくと読みます




