３コマ目 先人の
新年度２週連続で作者が休日出勤要求されるのは危機感持った方が良いよ。マジで（転職しろよ）
『みんなで１つに』
伊奈野の持つユニークスキルはどれも特殊だが、その中でもまた一風変わったタイプの能力となっている。
条件や効果はいろいろとあるが、大事なのはこのユニークスキルを使用すると他人の魂を一時的に自身の体へ集めることが出来るということ。
これにより魔女さんが伊奈野の体の中へと入り込んできたわけで、
『気になったんですけど、師匠の体で私のスキルとかって使えるんでしょうか？』
「魔女さんの、スキル？」
『はい。私も一応色々と珍しいスキルを持っているので、検証もかねて試して見たくて』
「な、なるほど？まあかまいませんけど」
伊奈野達は何による影響でこうなっているのかもわからないし、あまり考えても思いつきそうにない。
であれば現状の確認をすることが先決だ。ということで、まずはスキル関係のことを確かめてみようということになったわけである。
特に魔女さんが気になったのは、伊奈野が使えないが魔女さんは使えるスキルというものをこの伊奈野の体の中にいる状態で使えるのかということで、
「それじゃあ行きますね『マジックフィールド』」
結界に似た何か。
色の付いた特殊な空間が展開される。
「あっ。使えるんですね」
「そ、そうですね」
展開されたということは、伊奈野の持っていないスキルでもこの体で使えるということ。
そうなるとさらに疑問も湧き上がってくるのだが、それはそれとして非常に興味深い状態である。魔女さんもだんだんと試していくことが楽しくなり、様々なスキルを使っていくことになるのだが、
「それじゃあ今度は魔力の放出を行きますねぇ」
それは５つほど試し終わった後。
魔女さんが魔力を激しく扱うスキルを使用したところで、
「あ、あれ？なんか変なのが……………」
体からあふれだす危機感と絶対にこれ以上やってはいけないという感覚。
だが、それを激しく感じているのは伊奈野だけなようで、
「あっ。これもいけそうですね」
魔女さんはそう判断してしまった。
そのため、繊細でゆっくりとなじませるようなものだったのからいきなり普段の手慣れた激しい物へと変わり、
「え？あっ、ちょ、ギャアアアアアァァァァァァ！！！！？？？？？？」
体と口、両方から悲鳴があがる。
今まで動かしたことのなかった筋肉や、凝り固まった筋肉などを無理矢理動かされたような状況に近く、それを激しくつかわれれば絶叫してしまうのも仕方のない事だろう。
それはもう、
《スキル『絶叫１』を獲得しました》
ということが起こるのも仕方のない事なのである。
『す、すみません師匠』
「う、うぅぅぅ。今回は仕方ないですけど、もう何か試すのはやめてもらえると……………」
『は、はい。もちろんです。やめます』
申し訳なさそうに頭の中で謝ってくる魔女さんへ、もうスキルを試すことをやめさせる。
その後魔女さんへ何もさせないため、またしばらく勉強を続けていくこととなるのだった。
それから、数十分後。
魔女さんが気絶してから１時間ほど経過したころだろうか。
そこでやっと、
「………ん、ん～」
「あっ。魔女さん？」
「え？師匠？私いつの間に寝て………って、私、体が戻ってる？ということはさっきまでのは夢？」
魔女さんが目を覚ました。
（ここで魔女さんが目を覚ましたってことは、私の中の魔女さんはどうなったのかな？……………全然何も言ってこないし、きっといなくなってるね）
それと同時に伊奈野の中の魔女さんは消えた。
どうやら魔女さんも伊奈野の中にいた間の記憶はあるようで、夢か何かだと考えているようだが、
「ちょっとどういった感覚だったか聞いても良いですか？」
「未知の体験ですからどういった感じだったのか聞かせてもらいたいですね。ちょっとメモを取らせてもらっても」
「ねぇねぇ！ご主人様の体ってどんな感じだった？やっぱり自分の体とは勝手が違う感じなの！？」
「えっ！？な、何！？そんなにいっぺんに聞かれても困るんだけど！？……………けど、そうやって質問されるってことはさっきまでのは夢じゃなったってことなのね。不思議な感覚だわ」
今まで周りから見ていた３人から質問攻めにあい現実に起きたことだということを知る。
そうしてしばらくは魔女さんが質問の対象となっていたのだが、途中からだんだんと伊奈野以外で話が盛り上がり、
「師匠！もう１回試させてもらって良いですか！？試したいことがたくさんあるんですけど！」
「とりあえず今日は嫌です」
「「「「えぇ～」」」」
伊奈野は全力で拒否した。
４人が不満そうな様子を見せるが、そんなことは気にせずそろそろ学校に行く時間だとログアウトの準備を始めていく。
そうしてなにかと災難な出来事となったのだが、
「ん～。何だろう。凄い不思議な感覚だけど、何か使えてる気がする…………」
伊奈野は何かをつかんだ。
それはもう、午後に会った骸さんから、
『む？ダンジョンマスター、魔力を扱えるようになったのか？』
「……………へ？」
そう言われるくらいには。
《スキル『魔力感知１』を獲得しました》
《スキル『体内魔力操作１』を獲得しました》
