間話 家畜1号
※もの凄く罪深いことになってます。よろしい方のみどうぞ。
私はいつからだろうか・・・前の記憶があまり無い。『ソヨ』というかつて仕えていた主人がいた事はなんとなくだが頭の片隅にある。
しかし、いざ彼女をあの楼獄で目の当たりにしても私は何も反応しなかった。
それどころか憎悪と嫌悪が強まった。
飼い主のアレイスター様を思い出すと、自分が矮小な家畜であるという幸福感に満ち溢れて気が落ち着く。
一先ずはそれでリセットする事で己の自我が正常であると。認識し直す。
今もアレイスター様によってめちゃくちゃにされたい。この胸の高鳴り!
ただそれだけの存在であり、それ以外の価値はなにも見出せない上、必要がない。
何をしても空虚である。
ここに至る今まで拷問により痛めつけられ、犯され、身体を少しずつ薬漬けにされるなどさまざまな経験をしたが、今となっては過ぎ去りし過去である。
むしろ、汚されてしまった身体でご奉仕して良いものなのか?の方が重要な課題だ。
家畜の身分であり、それが誇りであるからこそ気にはしなくていいのだろうが、やはり神の御前に許されるのだろうか?
そんなある日、私はソヨがいる拷問部屋へと訪れた。
理由はある一定時間に違う薬剤を投与するためである。臨床実験も同時に行われているため、調査も任務のうちだ。
そのため何度も足を運んでいる。
そんな私はこの作業ですら心には響かない。むしろ早く試験結果が出次第、アレイスター様にこの薬を直で注いでいただきたい。
アマハはそんな想像に興奮したのか、1人で悶絶絶頂していた。
「ぅぁ・・・・・・・」
目に力が無くなりかけだらーん力なく縛られているソヨは意識を何とか取り戻したのか、アマハへ声を掛ける。
「・・・・・・・・・汚らわしい。」
「ぶっ!!」
アマハは躊躇いもなく溝に容赦ない蹴りを入れた。
ソヨは鎖に繋がれ無抵抗な状態でもあり、またその威力が強過ぎたのか、そのまま嘔吐してしまう。
「私の唯一の楽しみを邪魔するな。」
家畜なった今はアレイスター以外ではなにも感じない。
「早く終えよう。」
吐いたソヨの腕に再び注射を刺し込み注入した。
「うぅっっっっっ!!ぐぅ!!」
2日目であったが、徐々に効果が出始めていたのが分かる。
「なんの薬なのかは知らないが、苦しそう?いや発情しているのか?うーむ・・自我の崩壊に近いかもしれない。」
ソヨを暫くまじまじと苦しみに悶えるソヨを観察していた。
「ふぅぅぅぅ!!あ、アマッ!ハ・・どっして!?」
「はあ・・・っ!」
今度は思いっきりソヨの顔面を何度か拳で殴り付けた。
声が出ないように何度も喉を抑えて殴った。
ソヨの口が切れ、血が流れは。歯も2本折れていた。
そして、頬は青ざめるか赤く腫れる。
うざい。ただそれだけがアマハには残った。
私は豚だ。アレイスター様の豚だ。それ以外が私を名前で呼ぶなど甚だしい。
私はアレイスター様にいつでもお気軽に使っていただくただのモノでしかない。
「もういいか。」
起伏が治ったのか、そう言い立ち去っていく。
「ハーデス様、今回はこのような結果となっています。」
一応、ハーデス様の反応は薄いが何点か報告に上がった。
「ふーむ・・そうかい、いいよ小屋に戻っても。」
他の書類を見ながら何とも興味なさそうに答え、書類をその辺へ投げ捨てた。
アマハは問題なさそうなことをハーデスから許可を得たため、自身の小屋へと戻るためハーデスの執務室から出て行った。
「ふう・・・いつになったら会えるのやら。」
未だこの変わり果てた姿で会えていないためか、アマハ自身は大変待ち遠しく感じていた。
これから自分がどのように酷い扱いを受けられるのかを心待ちにしていた。
家畜として奴隷として、どのように弄んでくれるのかと常に興奮しっぱなしである。
そんな彼女の歩いた跡には謎の水滴が垂れていた。
本日は珍しく訓練が実施されることに。
さらに幸運にも恵まれることに。
「おい。」
この乱暴な呼び方は軍事顧問を担当されているテュール様である。
その付き添いにはベローナ様がいらっしゃる。
「はい。」
家畜という卑しい身分のため、極力下へとへり下る。
真の意味で頭を擦り付け、感謝と敬愛を示すのはアレイスター様ただ1人のみ。
「・・・・家畜が・・・・」
そんなテュール様からは静かな怒りを感じ取った。
何度も過去幾多の戦場や戦いを潜り抜けてきた身ではあるが、LRの中でも最上位である彼女の殺気は比にならないレベルである。
アマハの行動一つで命が無くなるレベルである。
ベローナ様自身も特に興味を示さない様子ではあったが、どこか落ち着きがない様子であった。
「テュール。」
「分かっている。小生自身が納得いかんだけだ。
豚、貴様には勿体無い役割をくれてやろう。本日の訓練では深き森にて魔物の討伐における連携訓練を行う。
その際、貴様はアレイスター様の盾役の認を与える。」
!!!
私は顔を下へ向けていたため、喜びの表情を読まれずにはいた。
しかし、下の疼きは止められない。
「・・・・・かしこまりました。」
「解ってはいるとは思うが、他3人も別でアレイスター様のグループへ入れる。
だが、貴様はアレイスター様の家畜であり、盾だ。」
「かしこまりました。
アレイスター様の盾となり家畜としていつでもこの身を捧げます。」
「それでいい。最ももう1匹の豚も改造中らしいが、今は貴様が豚1号だ。
不本意ではあるが心してかかれよ。でなければ即座にその首を刎ねる。」
最後のテュールは本気であった。
ただでさえ、アレイスターを亡き者にしかけた張本人である。ベローナもまた然り、気配や態度にこそ表さないが、次は無いという視線を送っていた。
アマハそんな視線と殺気に晒されたお陰か、やや正気を取り戻す。
アレイスターとの歓喜から一転、自分がいつでも処分されるギリギリにいる事を把握し直すのであった。
そして、それからいよいよグループ毎に別れての訓練が開始することに。
アマハは途中、アレイスターから魔物や周りの探索に指示を出され、森を散策をしていた。
「この森・・・相当魔素が濃い。エデン近辺はこんな天然要塞があったのか。」
比較的に魔素が濃い場所には魔物が生息しやすく、その個体もまた脅威とされている。
更には炎帝龍の住処もあり、より魔物が活発しやすい地域となっていた。
しかし、それが功を制したのか、近隣国が攻めあぐねている原因にもなっていた。
「だからこそあのようなモノまで現れるか。」
目の前には普通では考えられない巨大なグリズリー2匹に、異様な黒い魔力を纏った一際大きなグリズリーが獲物を探しに彷徨いていた。
「すぐさま報告だな。」
自身の任務を終えると周囲に人影がない事を確認した後、アレイスターの下へと素早く撤退する。
「っ!アレイスター様にっ!会える!」
アマハが戻るまでの道中、謎の水滴が木の上から降り注ぐ。
私はその探索結果を言い渡すと、予見通りにアレイスター様が戦闘する事を決意なされた。
当然家畜としてペットとして、ご主人様の意向を理解しておくのがもちろんである。
そのため3匹を分離させるよう簡単な罠をちょくちょく仕掛けておいた。
フェロモンと忍術による合わせ技で分断させた。
既に私の匂いを敢えて嗅ぎつけさせて、こちらへ向かわせている。
つまりは罠に引っ掛かった状態で向かっている。という事だ。
早速、私とアネモイは片方ずつ引き付け役で別れた。
アレイスター様の勇姿をこの目に焼き付けられないのは非常に残念である。
しかし、家畜として神の命令は絶対である。
私は黒い方ではない普通のグリズリーを引き付けることに、戦闘を開始した。
どうもこのグリズリーは短剣や生半可な技は跳ね返すらしい。
しかし、私自身の忍術は効く模様である。
推察するにSR系統以下は受け付けない仕様になっているんだろう。
現にSSR系統の技を使うと傷が入る。
だが、あくまでもアレイスター様の訓練である。豚如きが出しゃばるなど笑止千万だ。
暫くしてからアレイスター様が現れた。
素晴らしい連携に何とも鮮やかな手並み。
アレイスター様は戦闘系ではない筈なのにこの動きと判断力、更には肝の据わった戦いぶり。
この豚!興奮が治りません!
2人でマリンが抑えていた左右からグリズリーへ攻撃を仕掛けていた。
リンジャが時々支援をしてくれたお陰で何事もなく終わった。
「!!!」
咄嗟に私の身体が動いた。
次の瞬間、大きな衝撃が私を襲った。
黒グリズリーがアレイスター様を狙って攻撃を仕掛けてきたのだ。
一瞬アイツが何をするのかを何となく察知した。何故かは分からない。
しかしこの感覚はまるで、人間が効率よく倒す方法として戦いに不向きな者から殺そうとする。そんな感覚をキャッチした。
ただ興奮が治らない。
アレイスター様の身代わりになれたのだ。なんと幸せな。もう死んでもいい。
この豚、生涯の一片の悔いなし。




