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Destruction=Install  作者: ennger
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85 止まらぬ悪意

 囚われているソヨの真下は血で床が赤く染まっている。

そんなソヨには性的な虐待ではなく、身体へ物理ダメージを与えるまでに留めらていた。

 その拷問自体はデザイアのインデグラが担当していた。


「あら?」


 インデグラはボロボロの少女を背にハーデスたちへと振り向く。


「やあ、今回は中でも理性的な君にしたのは正解だったようだね。

 ちゃんと殺さずに良い感じに調整できてるじゃないか。」


「そう言われても・・かしら。許可さえ許されれば、いつでも過激で屈辱的に虐めてあげたいのだけれど。」


 インデグラとその部下たちによってあらゆる痛めつけを実施していた。

 しかし、ソヨは悲鳴一つ上げない。むしろ目は死なず、心は鋼のように固かった。ただひたすら耐え凌ぐ。


「だからだよ、それぐらいでいい。

 というより、ちゃんと仕込みをしないといけない。なんでかって?インデグラの復讐したい気持ちは大いに理解しているさ。

 うんうん。」


 ハーデスはオーバーな政治家じみた演技と共にインデグラの肩へ接触する。


「だーがしかしだ、異界人は大変貴重な()()()()でね。更にその上扱いが難しいのだよ。」


「へぇ〜・・・・・でも、ナナカ?だったからし。あの子はどうなのよ。」


「アレはね小国だし大した影響も無いから。あまり宣伝効果も薄いときた。」


 今度はフレイヤが入室してくる。


「ま、なんにせよ、コレに関してはアレイスター様の手を煩わせてはいけないのだよ。だろ?」


「ぷっ!」


 ソヨはそんなハーデスの足下へ血の唾を吐き捨てる。ハーデス自身は怒るどころか微笑う。


「性的なやり方は確かに楽なんだけどね〜・・・だから別のやり方にしようかな。って。」


 フレイヤは何かをポッケから取り出した。


「んだそれ?」


 しれっと着いてきていたアーレスがフレイヤの後ろから覗き込む。そんなフレイヤは鬱陶しそうにアーレスを肘でやや押し退ける。


「これはねクイナとガイア、ディーテの3人で作った薬物なんだ。なんでも幻覚作用やら身体における害がたっぷり込めてあるとか?」


 フレイヤの手には謎のカプセル型の錠剤が握られていた。


「ほう・・・完成したのかね?」


「らしいよ。」


「ふーーん、知らねー。」


「ゲスが!そんなのに屈しないっ!」


 ソヨは未だ心が折れていない。不屈の精神で痛みを堪えては今も抵抗意思を示す。


「まあ、そうなんだけど・・・・使えば分かる、かな?

 じゃ、後はアマ・・豚さんよろしくね。」


 フレイヤの隣へ跪いたアマハが突如現れた。


「・・・・アマハ・・・・」


 そんなアマハの変わり果てた痛々しい姿にソヨは顔を歪ませる。


 その背中には堂々と『雌豚』と刺青が彫られている。そんな外道さ加減に、ソヨは恐怖より吐き気を催すのであった。


「豚さん、君の最初のお仕事は解るね?」


 フレイヤはアマハを名前で呼ばない。

 しかし、アマハは何も気にしない。


「はっ!承知致しました。必ずや。」


 アマハは早速薬物をいただくとその足でソヨの元へと向かう。


「じゃ、インデグラはことの顛末を見守ってもらっても?」


「ええいいわよ。少し面白そうになってきたから。」


 インデグラはニヤニヤとソヨと相対するアマハを見つめた。


 任せた後、フレイヤ、ハーデスと2人の監査官は次の捕虜たちへの元へと移動するべく、立ち去った。


「アマハ・・・」


「お嬢・・・・」


「分かってる、貴女は頑張ったものね。」


 ソヨはそんなアマハへ優しく諭す。


 アマハはその言葉に大きく反応する。次第に彼女の・・・・・表情は悪意に歪む。


「気持ち悪い。」


「へ?」


 一瞬表情は暗くなった。

 しかし、それは感動がゆえではなく、アマハの歪められた心によって不快感を示していたからであった。


「お嬢・・・いや、哀れな家畜よ。私は生まれ変わった。以前の愚かなアマハではなく。」


「な、何言って」


「心ではとかでは?本当は?などない。

 あるのは、アレイスター様の家畜であり、奴隷としての誇りだ。勝手に主人ズラして気持ちが悪い言葉を投げかけるな。」


 アマハの目は完全にソヨを侮蔑していた。真の意味で心から嫌悪感を示していた。


「そう・・・そこまで!!」


 アマハは躊躇いなくボキッとソヨの肋骨を膝蹴りでへし折った。

 ソヨは決して悲鳴を上げない。しかし、そんな事よりも本気で痛め付けた事に驚いている。


「過去を思い出す・・・酷く気持ち悪くて嗚咽の止まらない最低な日々を。」


 今度はその元主人の目を抉った。


「あっっっっっ!!!」


 流石の初体験に唸り声を上げてしまう。

 アマハは抉った目をぐちょりとその手で粉々にする。


「私は・・・ようやく私になれた。アレイスター様のペットとして。」


「あ・・・ま」


 今度は名前を呼ぶ前に頬を引っ叩く。


「で、いつやるの?」


 インデグラも焦らされていたためか、少々苛立つ。


「はっ!申し訳ございません。」


 アマハをすぐさま土下座をしたのであった。


 そんな片目でかつての忠誠心の高いアマハの変わり果てた姿からソヨは不自然に涙が流れる。

 長く苦楽を共にした相棒が悪質な改変によって失われてしまった。

 そんな悲痛が彼女にとっては何よりも苦しく、痛かった。今まで受けてきた仕打ちよりも痛く辛かった。


「ああ、なるほどね・・・また少し面白かった。いいわ。

 ちょっと豚さんを虐めようと思ったけど、サービスで見逃してあげる。」


 インデグラは涙を流したソヨを見て、苛立ちの溜飲がやや下がった。


「ありがたき幸せ。」


 アマハは土下座を崩さずにお礼を述べる。


「今度は本番ね。」


「承知致しました。」


 アマハが立ち上がるとソヨの顎を無理矢理こじ開け、その薬を投与したのであった。





























 アレイスター


 帝国を更地にして3ヶ月が経った。

 魔神こと私アレイスターは今日も元気よく訓練に参加していた。

 元帝国兵・・・・いや、『堕転』した女性たちの戦闘訓練に参加していた。


 何故かは簡単だ。ガチで死にかけたからだ。それと前に遭遇したアネモイもいた。

 彼女は緑色の素肌から濃い褐色肌へと変わり果てていた。

 もちろん姿形も変わっている。それは元帝国兵たちも全員同じであった。

 皆が皆、フレイヤのような衣服、装飾、刺青が施されていた。


「では訓練を開始する!」


 テュール教官とベローナ教官が颯爽と声を掛けながら登場する。

 エロいラテックス製の軍服姿に思わず下が元気なった。


 あかんねん。無理矢理言って無駄な訓練をセッティングさせたのであって、決してやましい事が目的では無い。


「ただ周りも刺激的過ぎるっ・・・・これはミスったか?」


「では!お前たちは先ず集団で戦闘を行えるよう5人1組になってもらう!」


 テュール教官!ぼっちなんですけど!?


 いきなりキツイ難題が押し付けられる。

 いくら周りが目をキラキラさせて俺を狙ってこようとも、テュールとベローナの目がある以上は下手な事はしてこない。


 つまり、ボッチにならざる終えない。


「アレイスターさまぁ!一緒になりましょうよ〜。」


「何してんのスカーレットさん?」


 何故かジャージ姿のスカーレットが登場した。


「んん、私もぜひ。」


 オリビエまで。


「後2人ならこっちなの!」


「ぶいぶい。」


 ダレネにセレナーデ。


「何してんの?」


「何?って訓練よ。」


 スカーレットがすっとぼけた発言をし出す。


「お前ら絶対訓練させる気ないだろ。」


「とんでもございません。我らはただ御身をこの命に変えてもお守りするという使命があります。」


 そうか、ありがとうオリビエよ。

 それが訓練させる気ないよね?って言ってるんだけど。


「何をしとるんだ貴様ら・・・」


 俺含めてジャージーズだからか、余計に目立った。


「あのね、つい最近あったのに」


「分かっています。それはテュールと私がよく身に染みております。

 ですから予めこちらで組んでおきました。」


 ベローナは流石でした。ジャージ5人衆にならなくて良かったよ。


「アレイスター様はア・・・豚とアネモイ、リンジャ、マリンで編成しております。」


「よし、オーケー。分かったぜ!っておい!」


 ついノリツッコミしてしまった。

 聞き流せないんだけど?いきなり動物がパーティに入ったんだけど?後アネモイ以外知らんぞ!


「メンバーはアネモイが中距離、マリンが前衛のタンク役、リンジャが後方支援担当、豚が斥候とサポートとなります。」


 スルーかよ!しかも豚さんヤケに有能だな!

 とても動物ができるようなポジションじゃない気がするぞ!


「うん?つか俺は?」


「アレイスター様はその時々によって動きが変わられる戦いができると聞き及んでおります。

 ですので、遊撃を担当していただければと思います。」


 ちゃんとテュールさんが教えてくれた。


「ですが!」


「はい!」


 何故か一気に至近距離で詰め寄られたため萎縮した。


「怪我はされぬように。このテュールがしっかりと御身を護りますがゆえに。」


「おい。」


 ベローナが冷ややかな視線をテュールへ送る。

 だが、テュールはそれをスルー。


「う、うん。」


「決して・・ですぞ?」


 テュールがソッと手を離す。


「テュール、訓練です。」


「分かっている。

 だが小生は愛する人が傷つく可能性に目を瞑ってやれんのだ。」


 ストレートな感情だわ。ついドキッとした。


「うんん!後でベットで介抱せねばな。」


 何の?もう聞き返すのも面倒なぐらい情報量が満載な件について。


「・・・・行こうか・・・」


 俺を待っているチームの元へと向かうもその足取りは重い。

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