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Destruction=Install  作者: ennger
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83 魔神

立て続けれレッツゴー

 俺は備えてあった医療用のローブ服を羽織って部屋を出た。(一枚取れると肌が見えてしまう、いやん。)


「アレイスター様!!」


 フレイヤが部屋の近くで待機していたらしく、勢いそのまま抱き付つかれる。


 俺はもちろん受け止めっ、ごはっ!簡単に押し負けて倒れた。そうさ!力が弱い凡人だっ!


「ごめん。」


「謝らないで・・・・・・きっとお互い遺恨が残っちゃう。」


 フレイヤの表情は非常に良くない。目元のくまに、何日も食事を摂っていないのか、少し痩せこけていた。

 神様でもこうなるの?いや、万能と思ってはいけない。欠陥あってこその存在だ。


「ほんと」


「じゃあ、一緒に食事しようか?」


「・・・そうしようか。」


 俺自身も腹が減っていた。そんな状態でもフレイヤは姉さんらしく先回りしてくる。


 下手に気を遣わせれば遣わせるほど余計に負担か。なら下手に下から出るよりは開き直った方が良さそう。

 道中は特に口には出さず、フレイヤと腕を組みながら医療棟の食堂まで向かった。


 医療棟 食堂


「んで?俺が寝てる間どうだったの?」


「そうだね・・・・手始めに・・」


 俺とフレイヤは静かに2人揃って食事を摂っている。周りには何故かいない。

 逆に不気味です・・・


 料理は消化にいい卵を使ったお粥系と野菜、心温まるスープである。ちなみに食事をするだけでも周りから大変騒がれた道中である。

 まあ、そりゃそうか。

 そんな騒動はとりあえずフレイヤの怒りで鎮火しました。なんか逆に燃えそうで怖かったが。


「ああ、ついでに処刑は実施したよ。

 それはほら?前と同じだから・・何だけど、アレイスター様の負傷を悟られないためでもある。」


 処刑とはソヨたちではなく、一般市民だそうで。残虐王の称号を授与されそうだ。

 つか寝起きの1発目に『殺しといたよ』って目覚めが悪い。確実に俺はこの世界における悪逆非道の皇帝になってる気がする。


「ほほう。まあ、国を攻めている際に王様が死にかけてます。じゃあ余計に隣国から攻められる可能性があるって事か。

 そう考えると、適切だな。」


 ズズーとホクホクコンソメスープで身体を温める。


「主に八つ当たりが大きいけどね。当然不要な奴等だけ全員殺したけど。」


 なんか食事の時に話すことでは無いのはもう言わずもがな。後どのくらい続くのやら。


「姫様とその周りだけ残したよ。彼女らには責任を持って、その死を目の前で見せつけといたよ。」


 鬼か。俺へのヘイトが上がりまくりだ。


 まさか寝てる間にこうも好き勝手されるとはね。

 やはり、俺が圧倒され過ぎて好き勝手しても許されると思われてるのでは?よし!次回から気を付けよう。

 いやだって、原因どうみても俺だし・・・勝手に死にかけた俺のせいやん。


 あかん。なんか鬱になりかける。

 はあ・・・・・まあ、死んでしまうよりかはマシですけど。


 アレイスターは野菜をモリモリと特製のレモンソースで食べ終え、全てを完食する。


「ご馳走様でしたと。ふぅ。」


「よく食べたね。」


「何も食ってないし、それに夢の中で・・いや何でもないや。」


「夢の中?気になるね。」


 フレイヤさんは見逃さない。

 しかし、これ自体話す必要性が無い気がする。なんとなくだけど。


「いや実際思うんだ。夢は夢だ、ってね。」


 何言ってんだ俺?


「そう・・・そういう事にしておくよ。」


 なんか納得してくれたやい。


「それで?今日はどうするの?私個人としては休んでおいた方がいいと思うよ。

 できるだけユンフィを使ってアレイスター様の健在さは見せ付けてるし。明日から本格的に活動したらいいんじゃないかな?」


 けど明日なのね。


「ユンフィが動いてくれてたのか。」


「彼女しか影武者ができないからね。それに今も敢えてこちらへ暗殺者を送らせてるし。

 下手に隠したとなっては、色々と不都合が生じちゃうからね。」


 なんか凄い物騒な話なんですけど。


「うん?ああ、話してなかったね。

 まあ最も知らなくても大丈夫なんだけど。」


 聞く?みたいなフレイヤさんのチラチラとした可愛らしいジェスチャー。

 当然俺は力強い罰印ノーで返す。


 あらかた予想は着く。しかし、いつのまにか身近に危険が潜んでいたとは。世も末よの。


「フレイヤを信じるよ。」


「それだけで凄くやる気が出た。」


 ちょろい。本当に嬉しそうに微笑んでる。


「後は頼むますわ・・・ワシ、惰眠してくる。」


 んじゃ、とそのまま後にした。食器等は側使えの方がささっと回収していた。隙がないとはこれ如何に。あまりの速さに見逃したよ。


 いつもお疲れ様です。


 こうして俺はエデン城の自室にて眠ることに。


 数時間後、暫くして目が覚める。部屋の中には気を利かせてくれたのか、誰一人も居ない。

 正確にはドアの向こう側に何人かいる。何となく。

 朝起きてから、すぐ昼過ぎに起きるとは・・・空腹かよ。我ながら安定した腹時計で安心したよ。


 ベットから降りてスリッパを履く。


 この城内は半分ホテルみたいな感覚だ。

 結構今更だが、暫く生活するに連れてそう感じるようになった。

 まだ馴染めてない証拠だな。


 ドアを開けようとすると。ドアノブが動く。ガチャっと向こうから開いた。


 心臓に悪いから止めてほしい。向こうのお世話係様たちは俺の気配なんて一瞬で解るとか。だからこそ、気を利かせたつもりなんだろう。


 下手な気遣いほどリアクションに困るものはない。


「ありがとう。」


「とんでもございません。」


 そう言いつつも褐色お姉さんは照れてくれる。割と興奮するからそれもやめてほしい・・・・俺のせいだけど。

 つか、どこでも興奮してんな。


「食堂でよろしいでしょうか?」


「あ、うん。」


 行く先々読まれる。フレイヤさんだけではないらしい。


「食堂での手配は既に住んでおります。」


 もう1人のボーイッシュヘアーの褐色お姉さんが報告する。


 そっちも読んでたのね。てか、観察日記でもつけてんのか?


「ありがとさん。」


 ここまで来ると監視されてる気分だよ。案の定照れてるし。


「食後はとりあえず、軽く運動しようかな。」


「かしこまりました。そちらも既に連絡」


「OK、分かった分かった。」


 もう何も言わなくていい?珍しく自分から報連相を放棄したくなった。

 でも、運動ってもね〜〜。


 食事、支度を終えたアレイスターは運動という名のエデン専用軍事広場へと向かった。今現在はここを使用するケースがかなり減っている。


 理由は簡単である。

 軍の編成が既に整っていることと、ここ最近、新たに堕ちた仲間は数十単位にも満たない。

 つまり、たった数人のためにわざわざ全員が足並みを揃えて演習する必要性がない。

 ここは基本的に空き地のように何もない空間となっている。


「運動っても・・・・」


 俺は日課の筋トレをするしかない。

 次いでに外の空気を吸えればとか、なんとなく気分転換がてらにと思ったが。

 

 辺りを見渡すと、すごい視線の数々だ。つか、凶暴なクマさんに囲まれた気分だ。

 これがハチミツの気分か。


 こんなに視線があるというのに、ご丁寧にお付きの方々はしっかりとお側にいる。

 遠距離だろうと中距離だろうと容赦ないようだ。

 得体の知れないグサグサと刺さるむず痒い視線に晒されながらも、一通りの筋トレを終えるのとに。


「タオルはお使いになりますか?」


「いや大丈夫、ありがとう。」


「とんでもございません。何かご要望がございましたらいつでもお求め下さい。」


 タオルは基本的に使わない。

 汗かきにくい症候群なので。飲み物は貰うけど。


 ペットボトルとまでとはいかないが、それに似た水筒のような物を手に取り、ストロー口からチューチューと水分補給する。


「ふう・・・・・つっても・・・」


 空き地・・・もとい、演習場から街を見るに。

 何もない。ただそれだけだ。娯楽施設は愚か、装備屋、冒険者ギルド、道具屋とか一切ない。廃れた家屋こそ減りはしたが。

 瓦礫撤去しただけが正しいのかも。


 門付近にある・・・擬似国民?と言えばいいのだろうか?まあ、爆弾首輪の付いた奴隷とは言いたくないだけだ。

 その人たちを扱うようになっても特段何か発展した訳でもない。かと言って、さっき述べたように全ての施設が整っていないに等しい。


「文明も文化の無い国か?そりゃ、争いも起きんわ。」


「文明と文化をお求めなのでしょうか?」


 側近Aさんが不思議そうに聞き返す。


「いやそうじゃないよ。実際その施設ができたら別にどうってことでも無いし。

 じゃあ俺がそこを使うか?と言われても使えないし、興味ない。

 ただ、君たちはそれで良いのかな?って。」


「我々にはアレイスター様が全てでございます。アレイスター様こそが秩序であり社会でございます。」


 そう返すよね。知ってたけど、依存と忠誠は異なるのだが。つか俺を基盤にしてどうすんねん!


「城内は退屈しないし、それに。」


「現状ゆっくりはしてはいられない。だよね?」


「フレイヤ・・フッ、そうだね。」


 フッ・・心臓に悪い。また死の淵を彷徨うところであった。どこでもフレイヤさんが俺を唐突に後ろから抱きしめていた。

 スカした表情の下には冷や汗と驚きの表情で一杯だ。


「アレイスター様はもっとゆっくりしていればいいのに。別に制限しなければ、すぐにでもあの手この手でこの世界を支配してくるのに。」


「それだとかなり見境ないだろうに。」


「違いない。」


「フレイヤ様。」


 お付きの方がフレイヤを呼び止める。


「ああ、君たちは下がっていいよ。後は私がいるからさ。自分の仕事はさっきしっかりと終えてきたし。」


「・・・・・・かしこまりました。では。」


 3人ほどいたお付きの方々が渋々後にしていく。

 なんか一気に不機嫌そうな。確かに自分の仕事を取られてかつ個人的な感情で邪魔されるのはイラつくわな。


「大丈夫?まだ身体は痛む?」


 ()()()()と背中に何かが当たっている。お陰で全ての思考がリセットされたな。


「問題にゃい。」


「そう・・・・それなら良かった。」


 しれっと噛んだ。


 問題あるとするなら、公衆の面前でおっぱいを擦り付けるな。と言った所か。

 いい香水の匂いもする。


 別の話をしないと理性がぶっ飛びアッパー。


「変わらない街並み・・・か。」


「変わらない・・・か。そうだね。でも、私には解らないかな?アレイスター様以外は特に必要とは思えないからさ。

 そこはアテネやゼウスたちもそう思うよ。」


 そこは薄々勘付いてる。俺に召喚された奴等は俺以外に興味がない。


「国を作りたいのか、理想郷を作りたいのか。大将がどっちつかずだからか?悪いね。」


「いいよ。そんな些細なことどうでもいいよ。」


 些細でもないけど?


 このままだと青空の下でもうひとハッスルしてしまう可能性があったため、とりあえず城の中へと内股で逃げ込む。

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