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Destruction=Install  作者: ennger
81/93

81 前進

 ソヨとアポロンの対決より少し前


「我が来たからにはもう安心だ。」


「解ったから早く頼むよ。」


 ロキはそんな事よりと素っ気なく返す。

 無理もないであろう。アーレス負傷に3人係で戦いようやく拮抗状態であり、ダメージらしいダメージも通らない。

 神格の違いによる差によって劣勢に追い込まれていたのであった。


「うむ。」


 ヘルメスとロキはアーレスを抱えて後ろへ退がっていく。


「全く、君たちの親玉が来なかったらどうしようかと思ったよ。」


 流石のロキでもかなり応えたようである。


「それはあるね。・・・・ま、と言っても五分五分になっただけだが。」


 彼女たちはゼウスの背中を見詰める。


 何故か安心感を感じさせるような。そんな何かを背中で語っている。


「貴様は・・・・・・・オリュンポスか。」


「その通りだ。そんなお前は不変のブラフマン。」


「似た者だ。」


「フッ、似るものか。我はアレイスター様の伴侶ぞ。確かに前時代にはおったが、今の我は違うようだ。何故であろうか?まあ、そんな事などどうでもいい。」


 ゼウスは手に握っている電撃をジヴァへと構える。その電流は槍のようで剣のような不可思議な形状をしている。

 そんなジヴァの手には破壊を象徴する青い三叉の槍が新しく握られている。


「面倒な。」


「お前もな。」


 創造と全能が衝突する。


 シヴァの全てを飲み込む力に対し、ゼウスは雷によるエネルギーをもって相殺する。


 ゼウス神には、宇宙を破壊する程の雷を宿しているとされており、現界された状態でもそれに近しい実力を備えていた。


 しかし、それはシヴァも同様である。

 創造に限りはあるものの、破壊に関しては限りはないに等しい。


 そんな2人の衝突で城内は既に真っ二つに引き裂かれていく。


「足場ないよ!!」


「ちょっ!」


 ロキが何とか浮遊し、アーレスを肩に抱える。ヘルメスは何とか下へと落ちないように柱や崩れ欠けの足場を渡っている。


「私も浮かせてもらっても!?」


「残念、定員オーバー。」


「嘘でしょ!?」


 ロキの能力は基本的に1人向けである。複数による戦闘や支援とは、ほぼ無縁のような存在である。

『トリックスター』によるデメリットのようなものである。


「便利そうに見えて案外やり難いからね。」


「前テレポートさせてたじゃん!」


「あれは・・・・・ほら。フレイヤたちもいたし。」


「マジですか!?」


 ヘルメスは1人チリチリと服が燃えていた。


 そんな2人の存在を感じなくなる。


「やばっ!ロキ!」


「解ってる!」


 咄嗟に上へと避ける。


 巨大な切り口が城を更に分断する。


「あの人たち絶対私たちのこと眼中にないよ!」


「だろうね、タイプや系統が違う。私らとは思想も在り方が異なる。そうなる以上、こんな現場はオーディン様に投げてやりたいぐらいだ。」


「丁寧に解説している場合か。」


 ヘルメスはようやく一息付ける距離の空いた足場へと辿り着く。


「あんな戦いは私たちには到底できるとは思えないけど。」


 やれやれとお手上げ状態である。


「今回は確実にこちら側が痛手を受けたね。この戦いに勝利しても暫くは動けないかな。

 それにアーレスの負傷も痛いし。」


「るせぇ・・・・んなもん、1日あれば」


 ドンパチ音に反応したのか目覚めた。


「無茶しないの。全く・・・・まあ、お陰でこちらは助かったけど。アレイスター様にどんな顔して会いに行けばいいのやら。」


「心にもねえクセによ。ケッ、いっつ!」


 アーレスは悪態をつくのと同時に身体に痛みが走る。


「はいはい、文句なら後で聞くから暫く寝てなよ。」


「そうだね。ヘルメスの言う通り。今は少しでも休んでいてほしいね。後が控えている事だし。」


「お前ら後でぶっ飛ばす。」


 アーレスは更に悪態をつきつつも、ゆっくりと瞼を閉ざす。


「んでさ、この戦い続くのは良いけど、この国吹っ飛ばない?」


「まあ、飛ぶだろうね。

 オーディン様の時は相手がそうでもなかったし。共和国でもそうだけど、今回は話が別だからね。相手は名のある神で、それはこちらも同様だ。

 一国程度滅ぶのも無理はないね。」


「なるほどね、つまりは。」


「ここから離れるのが1番だね。」


「だよね〜・・・・・早く逃げようか!!」


 ヘルメスは一目散にその場を離れていく。ロキもやれやれとゆっくりと離れていくのであった。


「『裁きよ』!」


「『無に還れ』」


 2つの攻撃が再び相殺される。


 ロキとヘルメスが撤退しのを感じ取ったゼウス。


「拮抗・・・・か。」


「そうなるな。」


 ジヴァは矛を収めない。それどころかまだ出力を上げている。


「良いだろう。我の本気を見せようぞ。

 この力は貴様らにはない、我とアレイスター様の愛の結晶である。」


 ゼウスに再び神力が集まる。魔力とは異なり輝かしい。そして、身体から雷が迸る。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 雄叫びと共にその力を解放する。

 輝かしい光の中から黄金の槍を手にし、透明のような光り輝く身体で顕現する。


「では最終ラウンドだ。」


 流れる電流が周りの建物や瓦礫を粉々に砕く。


 全身から電流がほと走る。光り輝く美しい肌ではあるが、触れれば即座に感電死する。


「来い。」


 ジヴァは怯む事なく、鋭く睨み付ける。


「よかろう『トライデント』」


 突き出した手の平から槍の形をした電撃が放たれる。

 その速度は反射神経では追えないレベルである。


 ジヴァは感覚で防ごうとブラックホールにて飲み込もうとしたが。


「ぬぐぅ!!」


 吸い込まれずに貫通していた。その槍はジヴァの腹部、腿、腕を見事に貫通した。


 そして雷の熱が刺した部位を焼く音が鳴る。


「どうした?消せんか?だろうな。神力とは本来顕現させる事など皆無に等しいもの。

 特に人の身体を宿した我らがそれを使えないのは貴様も知っているであろう。スペックによる問題もあるが、人の姿で神の力は振るえん。

 だが、一時的にそれを可能とするスキルがアレイスター様にはあった。」


「・・・・・・・」


「何となくは察してはおるが、この世界自体は最早バランスなど保ってはおらん。

 だが、この世界の神様とやらもそれを放棄したようだ。

 だからこそ、新たなる管理者を呼んだ。」


「そうか、神が召喚可能になったのは」


「そう。神を召喚する者が現れたから。もしくは神を召喚できる者が来ることが解ったから。

 そのための対抗処置として貴様らがガチャで呼ばれるようになった。

 まあ、最もアレイスター様のような特異な考えを持つお方が召喚士であるがゆえ、そのような対抗処置では相手にもならんが。」


「そうか。」


 ジヴァは新たな崩壊エネルギー弾を放つ。

 しかし、ゼウスはガードどころか真正面から受け止めた。


「このようにアレイスター様の力は我らを昇華させる。」


 ゼウスは全くの無傷である。


「この世界の神様は身勝手だと思わないか?

 まあ、アレイスター様がその席に座るので、それはそれで良いが。

 しかし、貴様らの大事な主たちはそのための生贄にさせられる訳だ。アレイスター様の成長のために。」


 ゼウスは神らしからぬ邪悪な笑みを浮かべる。


「狂気。」


「狂気?いや、アレイスター様はむしろお優しい。もっと攻め入る事もできるが、それを良しとしないお方だ。

 理想には忠実だが、臆病でもある。慎重な方だ。我らが狂気なのは認めるが・・・・アレイスター様が世界を握るのも時間の問題だ。」


 ジヴァは大人しくは聞いていたが、納得がいかないのか、巨大な魔力を練り上げる。


「なるほど。そのような力が未だ残っているのか。どれ?対応してみよう、撃ってこい。」


 かかってこいと挑発する。


「ならば死に行け『アトモスフィア』」


 巨大な破壊エネルギーを持つ魔力が上から撃ち込まれる。ゼウスはそれに対して巨大な雷を練り上げ迎え撃った。


 光と闇がぶつかる。辺りは全て崩れて飲み込まれる。


「そう言う事か。」


 ゼウスの後ろにはジヴァが居た。


 元より、全力の囮を放っていた。


「もらった!」


 ジヴァの槍がゼウスの心臓を貫く。


「言ったであろう、今の我は神だと。」


 貫かれた筈の身体ではあるが、よく見るとすり抜けていた。傷1つ付かない。


「この現世での神力に差がある。」


 ゼウスはジヴァの頬に手を触れる。


「ふむ。」


「さらば。楽しかったぞ。」


 ジヴァの身体に一気に電流を流す。

 巨大な電流により、瞬く間にジヴァが灰になっていく。


「同じ神の力を持ったら解らんな。今回は悪いが、我の勝ちだ。」


 ゼウスは『神化』のスキルを解除した。


「ふむ。怪我はないが、この世界で初めて魔力と気力を大量に消耗した。アレイスター様は無事か・・・・・!?」



































 アポロン、アレイスター


「おっ?やったか。」


「はい。どうやらお相手は眠くなったようでございます。」


 眠く?・・・・・何かしたでしょうに。


「ま、いいけど!」


 すると、何となく背後に冷たい感じがした。

 すぐさま、横に避けた。


 何故か振り返ったら確実に心臓を抉り取られるそう本能で感じ取った。

 しかし、心臓とは真反対の胸を貫かれた。避けきれなかった。


「ソヨ様!!」


 いつの間にかボロボロの片腕がないアマハが俺の背後へやってきていた。


「!!!」


 アポロンは反射で弓を目にも止まらぬ速さで引き抜き、見事アマハの脳天へ命中させた。


 アマハは涙を流しながら倒れていった。


「アレイスター様!!」


これこそデッドオアアライブ。

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