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Destruction=Install  作者: ennger
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73 愛の獣たち

「それで君が問い正したいことは一体何だというのかね?」


 そのままわけわからんキャラで楊貴妃さんへと向き合うことに。多分普通の状態で話そうとすると興奮して色々と跳ね上がる。


「なっ、何故・・・あのような・・卑劣な手段に!?」


 べシッ!と鞭が楊貴妃の背中に打ち込まれた。

 その鞭には鉄が帯びており、当たればただの怪我では済まない。よく見ると楊貴妃の背中には無数の傷と痣が残っていた。


「っ!!・・・・」


 楊貴妃は歯を食いしばりながらその痛みに耐える。まるで何かを知るまでは引き下がらんとする覚悟を感じさせる。


「妲己、止めたまえ。」


「かしこまりました。」


 そんな妲己は特に表情を一切変えずに引き下がる。


「ほう?顔には出さないが心内に不満さを抱えるか。」


 アテネは妲己へと近付き、いきなりその顔を蹴り上げたのだ。

 妲己は蹴り上げられたが、なんとか踏ん張りその場で膝を付いては痛みを耐え抜く。

 すぐさまアテネを睨み付ける。


「当然だ。アレイスター様への不満は1mたりとも逃さない。本来なら斬首だ。」


「・・・・・不満は抱いたわ。

 けどそれはアレイスター様ではない。」


 睨みで人殺せそうですね。僕ちびります。


「そうだな。だが、その意思そのものが不敬だと言っている。アレイスター様の指示には曇り一点残さずに従え。

 それは貴様が生かされた意味でもあり、貴様の存在価値だ。」


「その頭の硬さにアレイスター様がお困りでなければいいわね。」


「何だ?死にたかったのか?」


 アテネは躊躇いなく素早く剣を引き抜く。

 そんな妲己も立ち上がり、応戦する姿勢を見せる。


 さて。今のここまで何の話かは解らない。が、人は・・・まあ、英雄やら神様だけど。

 とにかく生きし生ける者たちに心は宿るという訳だ。


「止めたまえ、今ここで争っても無益だ。」


「かしこまりました。」


 アテネはすぐさま剣を仕舞い引き退る。妲己もすぐさま戦闘態勢を崩して膝をつく。


「妲己、気にしなくてもいい。何かあれば直ぐに言葉にしなさい。」


「しっ!しかし!」


「いいんだ。むしろ言葉にしなければ解らない真実もある。私自身は神様や創世神様ではないからね。

 愚かな間違いや過ちを犯すであろう。」


 ただいま人そのものの形を変えると言う悪辣な事をしておりますが。


「決してそのような」


「いいやあるのだよ。

 私はね、常に完璧な存在でありたい。そう願いそれを叶えるべく動いていた。

 だがそれでも完璧にはなれない。なれないが、それでもより精度の高い完璧を目指している。

 だからこそ、あらゆる意見や不満が欲しいところでね。何?こちらも常にあらゆる事態に想定するためには必須だと思うのだがね。」


 えらく長く解説しているが、自分でも最早よく解らない。


「流石でございます、っグス。」


 妲己は大号泣、更にアテネたちまでも涙を流す。


「僕たちも改めてアレイスター様の凄さを身に沁みました。」


 ミリスやカイネも同じくハンカチで涙を拭う。


 何か良からぬ感じになってきたから止めていただきたい。つか誰かいい加減俺の代わりに話してくれないの?

 震える手を抑えるので必死だよ。


「妲己も何か思う事があったのだろう。それを汲み取れずにいたのは私の責任だね。

 大変申し訳ない。」


 俺は躊躇いなく頭を下げる。


「そ、そんな!頭をお上げ下さい!アレイスター様にそっ!そのような!」


「アレイスター様!」


 冷静沈着なアテネまでもあたふたし出す。


「いやいいんだ、頭など幾らでも下げよう。実際に下げた所で失う物などない。

 むしろ、下げて得る物もある。ならば幾らでもこの頭を下げよう。それだけで済むならそれに越したことはないだろう。」


「アレイスター様・・・・なんと素晴らしい。」


「輝かしい過ぎますわ・・・・うっ。」


 止めてくれない?楊貴妃以外は涙ボロボロである。

 客観的に見るとヤバいカルト集団なのは間違いない。もうどうにでもなれって感じなので切り替えそう。


 俺は手をパンっと叩き、一拍音を鳴らす。


「さて。ではその問いに改めて答えようかね。

 妲己には済まないが、少し我慢してもらうよ。」


「はっ!かしこまりました!」


 妲己は改めて鎖を引っ張り、楊貴妃を前へと引き摺り出す。


「ぬぐっ!」


 裸であるため床で擦れるのであろう。彼女のためにも。そして俺の精神衛生上のためにも早く何とかせねば。


「先ずは何故滅ぼすのか?かね?」


「・・・・はい。」


 あれ違ってた?


「何故、我が母国・・・妾たちが作り上げた大切な家を・・何故・・」


 家・・・・ね。


「うむ、私はね私にとって大切な者以外は正直な所どうでもいいと思っている。

 まあ待ってくれ、それは君も同じ筈だ?・・・・確かに自国以外にも尊重すべき事項は多く存在する。

 もちろん友好国や親しい間柄と多々あるとは思われるがね。」


「・・・・・極論に過ぎない。」


「そうだとも。が、しかしだ。

 仮に君の国が立て直しを計れたとしてだ?その後は?立て直し後は1番難関な継続的維持管理だが。

 では、継続的維持管理はいつになったら完成するのかね?いやはや、それが完成する事など滅多にない。そこまで言わずとも分かっている筈だ。」


 何となくそれらしい身振り手振りを実施する。営業時や現場作業において時として必要な小技である。

 その演技が極まっていたのか、静かに静聴してくれている。


「維持はとても難しく成功率は限り無く低い。それは私とて、経験してきたさ。

 それが今度は国規模になったとしよう。君にはそれができるのかね?」


「・・・・・・私は・・・いや1人では難しいであろう。」


「納得はしていない。という所だね。その通りだとも。

 それはどうして滅ぼすのか?と言った疑念を払拭できていないからだね。

 私はね。さっきの話通りに大切な者以外はどうでもいいのだよ。その大切なものを守り養うためにはね。

 けど、生きし生ける者を全て滅ぼすなどできるのかな?答えは単純で無理だ。」


「では、何故滅ぼし続けるのだ?できないと明言するのに?」


「そうだね。論点は壊すことであって、全てを滅ぼす事ではないのだよ。

 破壊は決して無に還るだけでは無い。破壊から再び新しい再生が生まれる。

 だが同時に君の共和国のような状況も再び出来上がってしまう。それでは何度もまた同じ繰り返しとなってしまう。」


「・・・・・・人は歴史を学ぶ。必ずしもそうとは限らない。」


「ああ、確かにそうだね。だがやがて歴史は重ねる度に効力も薄れていき、再び過ちを犯す。

 ならば、一度歴史そのものをリセットして統一してしまおう。」


「何を言って」


「我々が幾度も破壊し、新しくリセットして更新する。そしてその上で歴史そのものに楔を打とうではないか。」


「なっ!?」


 楊貴妃は驚く。何故か周りも同じく驚く。そして遅れて讃美の拍手を奏でる。


「世界そのものを我々が徹底管理しよう。」


「な!そ、世界を管理だと!?神でも気取るつもりか!!」


「神は気取れないさ。どちらかと言うと私は悪魔だからね。だが我々のような組織であれば、それは可能だ。

 そのためにも一度世界には綺麗に滅んでもらわねば。」


 うーーん。何言ってんだ俺?


 欲望へ忠実にかつやりたい事を優先してやっていく。そう決めたのは決めた。

 しかしだ。何で世界壊して世界管理し直すのか?自分で言っていて、ハテナマークが過ぎる。


「私は既に世界の的だよ。であるなら、それぐらいの事は望んで然るべきであると思うのだが。全員更新さえできれば、管理法なんて幾らでも編み出せる。

 それまでがしんどいのかな?だからこそ、君たちのような存在が必要不可欠なんだ。」


「ぐっ!こんなゲスな行為がかっ!?何が更新だ!ただの支配の上塗りではないか!?そんな独裁に未来はない!!」


「独裁はするつもりもないが、まあ、そこは話す必要もないかな。

 しかし、世界を壊すにはそこに居る人々も壊さなくてはいけない。心苦しいがね。

 これも新しき世を迎えるため。」


 何か話したい事と話さないといけない点がごっちゃな気がする。


「愚かな・・・愚かな!そんな事のために妾たちの愛した、愛したお方の結晶を!」


「あまり度が過ぎないことね。」


 妲己が鎖から電流を流した。


「ぐがぁあぁぁぁぁあぁ!!」


 激しい電流が止むと、やや焦げた楊貴妃がドサリと地面へと転がる。


「お見苦しいものを、申し訳ありません。」


「気にしてないさ。彼女は貴重な戦力になる。」


「如何致しますか?」


 アテネは俺に問い掛けられる。それは1番困るから是非止めてほしい。


「うーーむ。」


「よろしければ、ジャンヌとは変わった形で改変されてはいかがでしょうか?」


 妲己の悪辣な笑みでこちらへ提案をする。


 いや俺悪役属性低いよ?


「この女を一体?」


 そんなジャンヌが気になったのだろう。


「今の貴女はアレイスター様にのみ忠実に生きていますことよ。それは皆同じ、だからコイツもそのように変えるわよ。

 けど、ただ同じにするには惜しい。もっと卑しく下品な女にしないと。」


クヒヒヒヒ。と悪魔笑いする僕の部下です。

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