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Destruction=Install  作者: ennger
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68 魔導士VSヘッポコ

 トールとアネモイは再び激戦を繰り広げる最中


「ぐっ・・・・・」


「セイジ様!」


「セイジ!しっかりして!」


 セイジの周りを守護していたSSRが心配そうに片腕を失ったセイジを支えていた。

 その様子から腕だけではなく、何かしらの悪化具合に反応をしていると思った俺は。


「テレポートってそんなにデカいのか?」


「かなり大きいです。それも個人ではなく、何人かを巻き込むテレポートであれば尚のこと。」


「それほど魔力負担や集中力が欠かせないのじゃ。」


「ほほーう・・・うん?君たちはどうやって?」


 純粋な気になった。しかもフレイヤさんはポンポカ使ってたけど。


「ロキじゃろうな。此奴のトリックは真似事が可能じゃからな。」


「何そのチート。」


「そんなとんでもない。このスキルは確かに便利ですが、威力や質は本人に比べればかなり劣ります。

 無論使い手にはよりますが、フレイヤのをコピーしてもフレイヤほど自由自在にはできません。」


 偽物が本物に勝てない道理は無い的な?

 ただそれは人間や常識レベルの人たちの話であって。神様はどう考えても別腹だろうな。


「でも、そのお陰で助かったのか。」


「ありがとうございます。

 これもアレイスター様を想う力が働いたのでしょう。やはり、私とアレイスター様は運命の」


「そっからは言わんでええわい!」


 オーディンの杖が横槍を入れた。ガチの。

 ひぇぇぇぇ・・・あまりその危険な宝具を振り回さないでほしい。

 

 そんなロキは不快そうに舌打ちをする。


「けど、このままアイツらジッとしてられるかな?」


 なんとかピリついた雰囲気を変えようと話題を逸らす。


「どうじゃろうな?トールが勝つのは時間の問題じゃからの。そうなると、向こうさんも黙ってはおらんじゃろうし。

 トールもトールでこのまま嬲り殺しするじゃろうしの。」


「ならば先手必勝なり!」


 フレイヤのテレポート能力を借り、セイジの元へと急接近する。


「あっ!」


「アレイスター様!!」


「いきなりじゃな!」


 流石のオーディン、ロキ、タジャマールも度肝を抜かれたようだ。俺自身も何故このような行動に出たのか不思議であった。

 トール、ロキ、オーディン、タジャマールの活躍を見て、自分にも何かできるのでは?

 そうつけ上がった心が増長したのであろう。


 それと、フレイヤや他の召喚した人たちの力を借りれる力が使える事にも関係があるのだろう。


 今ならできる。と。


 しかし、迂闊であった。

 確かに敵の頭を単身叩くのは正解ではある。だがそれはあくまで、敵が1人でいる場合である。


「あ。」


 あまりにもこちらが優勢であり、俺自身も何か焦ったのであろう。行き急いでしまった。


「今だ!!」


「ですよねーー!」


 逆に相手にチャンスを与えてしまった。


 しかし!ここで開発した結界石を使うなり!


「オラッ!!」


 自分自身咄嗟の事ではあったが、すぐに下へ石を投げた。

 すると、石が破れて結界が作動する。


「何っ!!きゃぁぁ!」


「うううっ!!」


 周りの女性陣が結界により吹っ飛んでいった。この結界はLRレベルですら容易に弾く事のできる素晴らしい品物だ。


 ただし、LRまでのみ。つまり、例外はあったようだ。それは。


「あれ?俺・・・・平気?」


 マスターはピンピンしていた。俺自身は動揺している。

 そう。マスター同士2人取り残されてしまった。またしても、ピンチを自分で演出してしまった。


「あ、アレイスター様!!」


「まずい!ロキ!」


「解ってる!けど!」


 慌てて3人が詰め寄るも結界の効力はなんと素晴らしい事か。びくともしない。


「えーーーと・・・・・ヨイショっと。」


 片腕ではあるが、セイジは立ち上がる。

 流石に痛みは愚か、驚きが強いせいか逆に冷静さを与えてしまっていた。


「俺と2人でって。相当ヤバいスキル持ってるのか、それとも。」


 うむ。まずいのである。冷静に分析までされている。前者である事を祈ろう。


「君・・・・戦った姿をそう言えば見てないな。」


 セイジはやや警戒をしている。こちらからすれば、ホッとしている。いきなり攻撃をしない分、幾分か猶予が生まれる。

 冷や汗を流さず、冷静なフリをしている自分を褒め称えたい。


 必死に結界を解除しようとする俺の女たちとセイジの女たち。


「ふう。」


「おや?戦うのは初めてかな?それとも久しぶりとか?」


「・・・・・・・」


 揺りか。ま、久々なのは間違いない。

 オークにボコられてからは戦う事を一切禁止されたしな。フレイヤのテレポート能力を使ったから暫くはクールタイムもある。

 最悪、その時間分を稼げれば勝てる。


 フレイヤからゼウスかアーレスへチェンジすれば。


「構えは・・・・なし。魔法も唱えない。

 となると、暗殺?いや、その見た目からは考えられない。じゃあ、何かを呼ぶ者?」


 悩め悩め。


「ま、ジッとしても変わらないか。『サウザンドブレード』」


 綺麗な透明色の短剣が10本現れた。


 あ、死ぬ。

 フッと脳裏にフレイヤから貰った剣が浮かんだ。迷わずにアイテムボックスから引っこ抜く。

 引き抜かれたタイミングで剣が飛んでくる。


「ここで経験の差を見せてやんよ!!」


 飛んでくる剣に向かい、ホームラン宣言からの即バッティングの構え。


 いくぞ!秘技!野球の呼吸 一の型 『カット打法』!


「ちょいさ!ちょいさ!ちょいさ!」


 迫り来る剣を連続で弾き返す。ある時は右打ちで、ある時は左打ちで。

 この切り返しは訓練された経験からくるもの。


 これでも学生時代は野球部と野球のクラブチームの二刀流の日々を過ごしていた。

 染みついた習性はなかなか衰えないもの。


 剣が同時に向かう時は上手く引きつけてからのバックステップからの2本一気に弾き返す。


「ラスト!!」


 残り一本を渾身の右打ち一本足打法によってセイジへとお返しした。(たまたま)


「あっ!!ぐっ!!」


 呆気に取られてはいたが、自身の危険を悟ったのか、すぐさま倒れるように回避した。


「せ、セイジ様!」


「ロキよ、アレイスター様って実は棍棒使いとか?」


 うるせ!

 剣を剣で使うより、バット代わりで使ったほうが効率良かったの!


「驚きました・・・しかしあの剣・・・・・相当硬い。もしかして神剣?」


 あれーー?なんか後ろの北欧神たちが物騒な事を呟いていらしてよ。

 確かに普通に考えてみればだ。

 剣の平らな部分を使いまくって折れないなんて不思議だ。


「フレイヤさんはなんてもんを託したんだか。」


 ま、お陰で命拾いしたけど。


「ぐっ、やるね・・・確かにチート持ちだ!」


「お前ほどチート属性感ないよ。」


 こちとら生まれたての子鹿レベルだし。

 あ、レベルだけはバグってるけど。

 ただ、戦えるレベルではない。


 ま、勘違いしてくれるならそれで良き。


「なら、この魔法ならどうかな?」


 周りの岩が集まり出す。

 見る見るうちに大きな巨岩石となった。


「『ストーンエッジ』!」


 あかん。これは物理的に弾き返せない。


「しからば!!」


 俺は一歩でも距離を縮めるために前へと突き進む。


「そうはさせないよ!!」


 巨岩石が俺の頭上へと降り注ぐ。


「そこでUターン!!」


 元よりUターンするために敢えて助走なしにスタートしていた。だから思いの外、フリップや負荷がかかる事なく、後方へと即座に走れた。


「引きつけただと!!」


 落とす前にセイジを潰す。とでも思ったんだろうな。

 魔法使いあるあるだが、自身の危険はかなり敏感に察知する。が、今回はそれが仇となった。

 確実に近付かれる前に打ち込むであろう事は計算済みであった。

 後は逃げる先と範囲を確保さえできれば良い。


 一応、足には自信がある。

 これも前世で鍛えてきたスポーツテクニックだ。(ただ足が速いだけ。)


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!らぁぁあぁしゃあぁぁぁぁぁ!!」


 何とかヘッドスライディング滑り込みセーフで巨岩石を当たらずに避けた。

 しかし、衝撃による砂埃は避けられない。全く前が見えない。


「これ・・は。やばいな。」


「『フィツジェラルド』!」


 氷の魔法が煙の中から飛んでくる。

 真正面や急所部分に関してはなんとなくの反射神経で避けた。


「ま、こうなるよね。」


 大事な足や腿には氷が刺さっていた。

 不思議とアドレナリンのせいか痛みを感じ難くなっていた。

 しかし、片足は言うことを聞かない。


 他は擦り傷で済んでいる。

 これも運が良かったと言えば良いのやら。


「アレイスター様!!」


「アレイスター様!!なんとかならぬのか!!」


 オーディンが珍しく取り乱していた。


 客観的に召喚士としての力しかないアレイスターはよくここまで善戦していた。

 しかし、スキルや力の差によってその善戦も一気に覆される。


「うーーむ。頭にぶち込まれなかっただけ運が良かったのか。」


「足を怪我していて、その正気はイカれてるよ。」


「片腕ないくせに平気な顔して殺しに来てるお前に言われてもな。」


 何とか平静を取り繕うが、内心はかなりピンチなのは自覚している。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦いはピンチの展開に。果たしてどうなるのか心配になりました……
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