03(Bonus track) フェイト・そして青春は動き出す
Fate
運命。末路。
*
さて、すこしだけこの後の話を語るとする。
まもなく、親友――久留見 来愛は無期限停学となった。
反社会的な集団と関わりがあったこと、未成年喫煙などが一気にバレて、ことが重大になりすぎたことが原因だそうで。
……停学処分だけで済んだのは、すべて自首して洗いざらい全部を学校側に説明したからこその温情だったのではないかと噂されている。
私こと板野 ミキは……あまり変わったこともなく、一年近くを保健室登校で過ごすことになる。
ただ、あの日勇気を出して教室に行ったことで、少しだけ話す相手もできた。
保健室に足を運んでくれるクラスメイトたちのおかげで、少しだけ外向的な振る舞いもできるようになったり。
……久留見との関係を説明するのに少し難儀したけどね。
そんな私たちの関係は、あれから一年近く経ったいまでも続いていたりする。
時々電話したり、家に遊びに来てくれたりする程度の、まあ友達くらいの関係。
……それでもいいや、とも思ってるけど。
私は隠し事をしている。
――告白するのは、高校を卒業したらにしよう……なんてね。
きんこんかんこんとチャイムが鳴る。
高校三年生になった、春の日。
いつも通り保健室に足を運ぶと。
「や、板野センパイ」
……久留見 来愛がそこにいた。
「どしたの」
「停学終わった。高二からやり直しだって」
「……」
「信頼してないね!?」
髪を切って、ショートボブにした……若干芋臭くなったものの根っからのキラキラオーラが隠しきれてない彼女は、やや大袈裟に驚きつつ自然に笑う。
「これで、また側にいれる」
「……ありがと」
若干頬を赤く染めたのに、気付かれてはいないだろうか。
「あと……ミキでいい」
照れ隠しに告げた言葉。目を細めた彼女。
「じゃあ、ミキ。これからもよろしく」
「ん……」
差し出された手をとった。
――私たちの日々は、まだ始まったばかりだ。
Fin.
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