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謂わば土壇場エントリー

「こんにちわーす」

 職場(遊園地の方)に来た俺はスタッフルームに入り元気よく挨拶をした。


「おはよう、凪君」

 準備をして、一休みしていた係員先輩がこちらに顔を向け言う。


「あ、ちっす。先輩」

 ペコペコと頭を下げながら個別にも挨拶をしておく。さっきのは部屋というか空間にする奴だ。日本にはそんな文化があると聞いた。


「あなた、昨日よりちょっとチャラくなってない?」


「この国での先輩に対する挨拶ってこれじゃないんですか?」


「別に体育会系じゃないし、というかこの国ではって、あなた日本人でしょ?」


「あ、そうでした」

 天人は髪とか目の色はある程度自由にできる。虹色のグラデーションをアニメーションな感じにするのとかは神でもないと難しいと思うけど。


「あれ、ピアス。昨日付けてた?」


「あぁ?これっすか?今日付けて来ました。こっちのがナンパしやすいかなぁって思って」


「ナンパ?!な、あなたそういう人だったのね」


 え、もしかして、俺陽キャなフリして実はぼっちな痛い奴みたいに思われてる?

 いや、確かに人界には友達どころか知人もいないけど。

「いやいや、別に遊園地を一緒に周り友達がいないとかじゃないっすよ?近くにいないだけです。午後アルバイト終わったら遊んで帰ろうと思うんすけどもう一人必要になったんですよねぇ」


「それで、ナンパ?」


「はい、ピアスとか無い方が良いっすかね?」


「まぁ、そうね。バイト中は一応やめておこうかしら。どうせ着ぐるみを着るのだから良いと思うけど。なんというか、今日のあなたはとても“チャラい”、わ」


「チャラい……」

 あまり反応がよろしくないな。ピアス似合わなかったかなぁ。

 精一杯オシャレしたつもりだったのだが。

 急拵えだったからなぁ。


 取り敢えずピアスを外して上げていた髪も下げようと手を伸ばす。


「ちょ、ちょっと待って髪はそのままで良いんじゃないかしら変に直そうとしたらボサボサになっちゃうでしょ?」


「そっすね。先輩は今日何時まで仕事ですか?」


「えっと、5時半……。というか今日は同じ時間でしょ?」


「あ、そうでしたね」

 そうか、係員先輩も仕事終わるのか。

 いや、でも忙しいかな。


「何よ、言いたいことがあるなら言いなさい」


「あー、じゃあ。先輩。仕事終わり一緒にジェットコースター乗ってくれませんか?」


「ナンパ?」

 先輩がジト目で聞いてくる。


「いや、その。まぁ?お誘い?」


「一応聞くけど、ナンパの意味って分かってる?」


「それは、知ってますよ。現地で遊び相手を探すことですよね」


「んー、まぁそうね。ちょっと待って予定ないはずだけど一応確認するから」

 スマホのカレンダー機能を見たあと係員先輩が顔を上げ申し訳なさそうな顔をする。


「残念だけど……」


「あぁ、無理なら大丈夫ですよ」

 しょうがない、ここは当初の予定通りオペレーションNで行くか。


「いえ、予定はなかったわ。残念なことにね。断る理由はなかったわ」


「そんな俺と遊ぶの嫌ですか?」


「まぁ、同僚に見られるのは少し嫌よ。でも今日で最後なわけだし。考えてみたら二日間って短すぎる気もするのだけど。穴埋めならそんなものよね。良いわよ。仕事が終わったら遊びましょ」


「はい!」


 先輩は何気にコミュニケーション能力が高いというか。

 はっきりと喋るし話やすい。

 二日間でここまで仲良くなれたの良かったというか、嬉しいことだなと思う。

 俺は天界の人間だから運がどうこうなんて言葉を使うのはおかしいが。

 敢えて言わせて貰おう。

 運が良かった。


 初めての社会見学がここで先輩があの人で本当に運が良かった。


「そういうば、先輩の時も同じこと思った気がすんなぁ」

 仕事の方は少しブラックだが人には恵まれた、と思った今日この頃なのでした。


「ほら、何してるの。ボサッとしてないです支度して。仕事に行くわよ」


「はい」






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