終わりと始まりの間で
仕事を終えた彼をねぎらうためいつもの場所へと向かった。
そこは地図には書かれていない秘密の場所。
到着すると、部屋の真ん中にある大きな扉の前で物思いにふける背中姿があった。
「お仕事お疲れさまでした。彼女はもういったようです」
「おおお主か。くるなら連絡せえといったじゃろ。ほーれんそーーじゃ」
体をくるっと回し私のほうへ体を向ける。どこかさみしそうな顔をしながら。
「そうか、彼女はもういったんじゃな。わしは・・」
最後まで聞き取ることはできなかったが、彼の顔をふと見てみると先ほどとは打って変わってとても優しい笑顔をしていた。
「なんかまた老けました?力の使いすぎですよ。いつものおはぎ持ってきました」
「これはこれはいつもすまないね。何を言うか。いまもわしゃぴんぴんしておるわい。ふぉっふぉっふぉ」
少しの間たわいもない会話をしていると次第に部屋に暖かな風がふき光が天から降り注ぐ。そして黄
金の鐘の音が響き渡った。次の仕事の合図だ。
「次の仕事です。準備してくださいね」
「ここは本当にブラックじゃな。休む暇もなけりゃ給料も出ん」
「そういう仕事ですから」
「ばりばりのきゃりあうーまんとやらは恐ろしいものじゃ」
「それじゃまた来ますね」
「またいつでもおいで。次は連絡を忘れんようにな」
そう言い残し私は彼の元を去って仕事場に戻った。この場所は終わりを告げ始まりを迎える狭間のような場所。終わりは始まりを告げ、始まりは終わりへのカウントダウンを告げる。二つが寄り添いあい存在する場所。
ーーーーそしてまた、そしてまた新たな物語が始まろうとしていた。終わりとともに