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交際報告 友人編

※作品の内容を考えてタイトルをより相応しいものに変えました。もしかしたら戻すかもしれません。

 酒酔い告白事件から三日。


「「「「「おめでとう!」」」」」


 一緒に飲んでいたメンバーが大学の講義が終わった後に、総司の部屋に再度集まった。

 あの日、メールでは伝えたものの今日もう一度、友人たちに付き合った旨を報告し二人は祝われていた。


「ははは……」

「………恥ずかしい」


 面と向かって祝われるのは真白が言うように恥ずかしいものだ。

 ただ、居心地はあまり悪くはない。


「で、動画は?」


 お祝いムードから、一気に問い詰めモードに突入した者がいる。

 茶髪のロングヘアーの少女、雨奏うそう晴音はれねだ。


「あ、そうそう。真白、見せてよ。その動画」


 続いて絵にかいたような金髪ロングの外国人、ソフィ・ブラックローブ。

 二人とも、女子らしく『コイバナ』と言うやつに興味津々なのである。


「駄目。見せられない。晴音もソフィも自分の告白の瞬間見られたくないよね?」


 真白は断固拒否の姿勢を見せる。もちろん、総司も同じだ。


「お願い! ワタシも弟の告白して振られた瞬間の映像見せるから!」


 ソフィは手を合わせてお願いポーズをとる。


「いや、なんで弟の告白の映像持ってんだよ⁉ 可哀想だろ。消してやれよ」

「弟の監視……見守るのは姉の役目だしね?」

「監視って言ったじゃねぇか。もう、お前に言い直す権利ねぇからな? このブラコンめ」


 ソフィは重度のブラコンだ。弟が可愛くてしょうがないらしい。


「じゃあ、あたしの家で飼ってる兎の交尾の映像見せてあげるわ」


 今度は晴音がそんなことを言い出した。


「だからなんでそんな映像持ってんだよ。あと、お前の場合は次元違うから。誰がペットの交尾映像なんか見せられて、自分の告白動画見せるんだよ」


 ベクトルのぶっ飛んだ映像を見せられたところで困る。そんなものではあの動画は到底見せられない。


「なぁ、ボクら置いてけぼりなんやけど? 女子会するんやったら席外そか?」


 と、そこで一人の男子が口を挟む。女性陣の勢いに負けて会話に参加できなかった男性陣三人のうちの一人で高身長の関西人、馬竜うまだつ飛角とかく


「そうっすよ。飛角君の言う通りっす。ね? 淳之介君」

「ボクはこのメンツの男子唯一の彼女無しだからね。どっちにしろ話には混ざれる気がしないんだけどね」


 語尾が『~っす』の茶色髪の少年、安条あんじょう虎季とらきと自虐的になっている黒髪メガネ男子、西留にしどめ淳之介じゅんのすけもようやく口を開いた。


「ごめんごめん。けど、馬竜たちも動画見たいでしょ?」

「僕は友達の告白動画とか見たくないんやけど? 気まず過ぎるやろ」

「自分も見たくはないっすね~。理由は以下同文っす」

「同じく。何が悲しくて、ボクだけ彼女無しになる瞬間を見なくちゃいけないんだ?」


 感覚の違いだろうか。見たいと思うのは女子側だけらしく、男子側はさっぱりだった。


「しかし、二人が無事付き合うことになって良かったわ。いつ付き合うんか思てたからな。まさか、僕らが帰った後に告白してるなんて思わへんかった」

「そうね。夏休み頃から二人共雰囲気は良かったから、あたしも気になってたわ」


 飛角と晴音がしみじみ感想を述べる。

 去年からこのメンバーでそこそこ遊んできたが、今年の夏休みの期間中ぐらいから二人はお互いに対して意識しており周囲は見守っていた。


「それで、二人はいつから好きだったのかな? プールの時? 海の時? それとも二回目の海の時? 釣りに行った時? ボランティアやってた日のドブ掃除の時?」

「水場のイベントから離れろよ。まぁ、明確に意識したのは二回目の海の時なんだけどな」


 七人で花火大会や、ゲームセンターや映画を見に行ったりもしたが、なぜか水回りのイベントばかりに着目したソフィ。ただ間違ってはいなかった。


「へぇ。真白は?」

「私は部屋でソシャゲしてた時」

「ん?」


 淡々と答えた真白にソフィは戸惑う。


「だから、部屋でソシャゲしてた時」

「えっと、いつの?」

「七月二十一日の夕方頃」

「詳しく覚えてるね⁉ それは良いんだけど、夏休み関係ないね」


 総司も声には出さなかったが驚いた。真白の方も夏休みにきっかけがあるものだと思っていたからだ。


 まさか夏休み前のド平日だとは。総司はその日の事をあまり覚えていない。

 おそらく一緒に部屋にいた時の事だろうから、大学のレポートを作成していたのだろう。


 二人は同じ外国語学部だ。知り合って仲良くなってからレポートを協力して完成させており、それも意識する一つのきっかけではあったが、まさかソシャゲをしている最中とは中々に分からないものだ。


「ま、人それぞれだし。と言うより、その時になんかあったんじゃないの? たまたま転びかけて抱き留めて貰ったとか。一緒にゲームしてたら体の距離も近くなるかもだし?」

「定番やとパンツ見たとか、ラッキースケベ的な感じとかやな!」

「よくあるパンツに手を入れちゃったみたいな!」

「そっすね、おっぱい直揉みとかっすね!」

「ふむ、ボク的には司君が何かの拍子に下半身丸出しになった説もあると見ている」

「晴音のは分かるが、残りのは嫌われるヤツだし。許されるのはT〇LOVEるの主人公ぐらいだろ!」


 シチュエーション的に晴音の想像は真っ当だが、後者のシチュエーションは矢吹先生の漫画ぐらいじゃないと難しい。

 もしそんな事故が起きていたら今頃、彼は刑務所の中である。


「で、で。なんでソシャゲしてる時なの?」

「二人でゲームしてて、レポートやってた総司の背中見たらなんか落ち着くなっていうか、安心するって気が付いてそこから」


 ソフィに問われた真白は少し頬を赤らめながら言う。


「「あ~分かるぅ~」」


 と、女子二人が同意した。


「「「全然わからん」」」


 またも男女の感性の差か意見が綺麗に割れる。


「そうだったのか。俺も全く分からないな」

「じゃ、総司は海に行った日のいつ? 私も喋ったから教えて?」


 質問されるばかりだった真白が、隣にいた総司に尋ねる。


「いや、まぁそのなんだ。正直な話、着替えて合流した時ぐらい。去年も見てたし、一回目も見惚れたけど、今年の二回目で駄目押しされた。意識したのはその時からだな」


「「へぇーいやらしー」」

「なんだその目は⁉ そんなんじゃない。しょうがないだろ。それに去年からの積み重ねがあったし、素直に可愛かったんだから!」


 ソフィと晴音にからかわれたは総司はテンパって反論する。


「「ふーん」」


 ニタニタと笑う女子二人。総司は完全に彼女たちのおもちゃだ。

 焦って恥ずかしいことを口にしてしまった。


「男なんてそんなもんやろ。僕も今の彼女を好きなったんは同人即売会でコスプレした彼女と会った時やし」

「ボクは中学の林間学校の肝試しでふと手を握られた時だね。告白したら見事に振られたけど」

「オレはセッ〇スしてた時っすね。その時の彼女がめっちゃ可愛かったんすよ」


 男三人は総司の気持ちが理解できるのか、援護してくれる。


「だろ? いや、変な奴が一人いるけど」


 センシティブな発言をした虎季には深くは触れないでおくが感謝する総司。


「男はやっぱそうなのね。けど多少エロい目で見られても、見た目を褒めてくれるのは悪い気しないわね。真白も良かったじゃない。気合入れて水着選んでたし」

「見てたの? 恥ずかしいな」

「うん見てたよ。すごく真剣だから可愛かった。途中できわどいの手に取ったときは思わず、止めかけたけど」


 女子三人はきゃきゃい盛り上がる。

 総司は黙って聞いているが、自分のために水着を選んでいてくれたのならそれはとても嬉しい。

 にやけないようにするのが精いっぱいだ。


「まぁ、なんにせよ。僕は丸く収まって一安心や。ええ報告も聞けたことやし、二人をイジメんのはこの辺にしといたろか」


「そうね。あまりからかっても可哀想ね」

「うんうん。ワタシもこの辺にしておいてあげるね」

「俺はもう少し聞きたいっすけど」

「ボクはもう腹がいっぱいだ」


 五人が笑いながら話を切り上げる。

 付き合って数日と言うこともあり、後の時間を気にしてくれているのだろう。

 五人は適当に飽きたら帰って行った。

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