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3話 騎士様と僕と冒険者達




 翌日。騎士様と僕は冒険者組合、通称ギルドへ、顔を出していた。ずっとフルプレート(素材はよくわからんものだけど)アーマーなのは疲れそうなので、先日僕が使っていたレザーアーマーとお揃いの物を装備してもらっている。大剣はそのまま持ってきているけど。


「おま、グロースじゃねぇか!?」

「あ、ケイネさんお疲れさ––––「みんなぁ!!グロースが帰還したぞ!!」」

「「「おおーーーー!!!!」」」


 湧き上がる歓声と共に、他の冒険者に揉みくちゃにされる。


「生きとったんかワレぇ!!」

「うっひゃっひゃっひゃっ!グロ君生きてたかぁ!良かったなぁ!!」

「いてっいてぇっ痛いっす!ちょ、ちょっとぉ!」


 背中をバシバシと叩かれ、肩に手を回され、頭をガシガシ撫でられる。

 そっか、皆心配してくれてたんだなぁ。


「ご心配、お掛けしました……!」

「そうだそうだぁ!!心配したんだぞオメェ!!何処行ってもお前さんの影すらみつからねぇしよぉ」

「姐さん滅茶苦茶心配してたんだぞ!!ちゃんと謝ったか!?」

「あ、謝りました!謝りましたよう!」

「そぉかそぉか!!んじゃ皆、グロースが帰った祝いだ!!食って呑んで歌って騒ぐぞ!!」


 おおー!!と大歓声があがり、ギルド下階にある食事処が一瞬で満員と化していく。


「ん?所でそこの嬢ちゃんは誰だ?見ねえ顔だが」

「あ、この人は僕の命の恩人なんですけど、記憶喪失みたいで」

「命の恩人ん?!」


 驚くケイネさんに、事情を説明すると、瞬く間に騎士様も揉みくちゃにされていく。


「あっりがとうなぁ!!コイツは俺達の先輩の形見みたいなもんでよ!!コイツまで亡くしたら、おやっさんに申し訳がたたねぇんだわ!!」

「い、いや。当然の事をしただけだ」

「その当然の事ができる人間は中々いねぇぞ嬢ちゃん!!やぁめでてぇ!嬢ちゃんも好きなもん食って飲め!!俺の奢りだ!!」


 ケイネの奢りだぁ!飲め飲めぇー!と騒ぐ声に、お前らにはおごらねぇぞ!?と叫ぶケイネさん。


 帰ってきたんだなぁと今更に安心して、また涙が出てきた。


「グロース……なんだ泣いてんのかぁ?」

「泣いてなんかないですよ」

「へっへっへ。無事で良かったな。本当に」

「ありがとうございます」




 と、一騒ぎしたところで僕達は抜けて、本来の目的を果たしにギルドの受付へ。


「グロースさん、お帰りなさい」

「ただいま帰りました。ご心配をお掛けしたようで、申し訳ございません」

「そうですよー。しっかり反省なさってくださいねー」

「騎士様、こちら冒険家を目指してから、長くお世話になっている受付嬢のアイリさんです。色々物知りなので、ギルドでわからない事があったら、聞いてみてください」

「うむ」


 ジトーっとアイリさんが僕を見る。


「なんですか?」

「行方不明になったくせに、女連れでグロース君が帰ってきたと思ったらさー」

「女連れって。命の恩人ですし、記憶を無くしてしまってるようなので、図書室を利用する許可を取りに来たんです」

「ふーん?そ。とりあえずこれ、許可証ね」

「ありがとうございます」

「図書室についてのルールはグロース君に聞いてね。こっちの廊下を抜けた先にあるわ」

「了解した。感謝する」

「はい。あと、」

「?」

「グロース君を助けてくれて、ありがとうございます。騎士様」

「あぁ」


 …………。大きく深呼吸して、涙を拭く。


「君は、愛されているな」

「道中も、君を知る人に沢山お礼を言われた。涙を流すものもいた。それほどまで、周りに大切にされているのを見ると、羨ましく感じるよ」

「ありがとうございます。でもそれは、僕の父さんが凄かっただけで、僕自体はそんなでもないと思いますよ」

「そんな事はない。あって間もない私が言うのもなんだがな」


 良くしてもらってるのは確かだけど、父さんや、母さんの功績があるからこそで、僕そのものは本当にたいした事はないんだ。


「あ、ここです」


 図書室の扉を開くと、大量の本を抱えた青年が僕を見、盛大に転んだ。


「うわぁ」

「グロース君!!!!」

「うひゃあ!?」


 図書館ではお静かに。いつもそう言う彼が滅茶苦茶大きな声で僕を呼ぶもんだから、他の利用者が一斉に僕を見た。


「しー」


 ダメ元で人差し指を口に当てると、声を出そうとした他の利用者が忍足で寄ってきた。


「グロース。生きていたか」

「はい。なんとか」

「良かったよぉ……読書仲間が生きてて」

「司書様、ぼっちですもんね。これ許可証です」

「拝見しました。ごゆるりと知識の数々をご堪能ください」

「ありがとうございます」


 皆、僕を撫でたり、肩に手をおいて、去っていく中一人残ったのは、ギルド側が雇っている図書室の司書さん。通称本の魔物。本が好き過ぎて、図書室に籠もっていたら、存在を忘れられ、気付いたら知り合いが誰もいなくなっていた森妖精。エルフだ。


「とりあえず、一般魔法の知識本と、歴史本を一冊ずつ貸してもらえますか」

「りょうかーい」


 要望を言えば、最適な物をサラッと持ってきてくれるからありがたい。偶に断られるけど。


「これとこれね」

「ありがとう」


「では、騎士様。魔法と歴史、どっちの方から確認したいですか?」

「では……」


 騎士様は少し迷った後に魔法の本を指差した。


「了解しました」


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