Ep9:フラワー・オーシャン③
赤石は、鉄柵で囲まれた駐車場に逃げ込んでいた。
そこに緑の髪の女性が入ってくる。
「駐車場……ね。逃げ場のない所を選んだのを後悔するといいわ」
「……」
赤石は駐車場のど真ん中でへたり込んでいる。
(体力が切れたと見るのが妥当ね)
「貴方を花束にしてあげるわ」
緑髪の女性は赤石に近づき、抱きついた。
「!?」
「このまま、文字通り『口封じ』のためにキスもしておきたいけど……」
体中にツツジが咲いた。
「まぁ……もう終わりのようね」
女性が赤石の身体から離れる。すると、
「……なに、これは」
赤石に触れたところが光沢を帯びていた。
「……この匂いは!」
そして、駐車場の入り口に『ごま油』のビンが2つ転がっていたのに気づいた。
「ごま油を頭から被るのは……ちょっと勇気がいるな」
「なにをする気な……はっ!?」
赤石の手には、ポケットライターが握られていた。
「ごま油には、可燃性があるんだ……この花がホントの植物のように生きるってんなら、賭ける価値はあるだろ?」
赤石は自分の身体に火を放った。
「何やってるのぉーーーー!?」
大量のツツジが、パチパチと音を立てて燃えていく。赤石はメラメラと燃えながら、女性の方へと近づいていく。
「なんで、動けるの……」
その直後、女性は理解した。二本あったごま油のうち一本を『飲んだ』のだと。
「ち、近づかないで!!」
女性は、自分の手先から油が滴っているのに気づく。
「ま、まさかぁ!?」
「目には目を、歯には歯を……じゃねーけど、やられたらやり返さないと気が済まねぇんだよ」
赤石が女性の顔をぶん殴る。
「オラァ!」
「あ、熱い……水、を……」
火が女性へと燃え移る。
プツンと、女性の何かが切れた。と同時に、女性は地べたへ突っ伏した。
雨が降り出した。
「俺だって水が欲しかったんだよ……神様、ちょっと遅いかな」
赤石は火が鎮火するのを待って、職場へ帰った。
character of this story
名前:草木 茂美
性別:♀
外見:緑髪のツインテール。
性格:強気。
能力:触れた生物に花(主にツツジ)を咲かせる能力。
花は宿主の栄養を奪い取る。栄養を返すことも出来る模様。花の位置が分かるため、擬似的なGPS機能も持つ。