Ep2:鬼ごっこ
まだ小説を書くのに慣れてません(汗)
「で、ルールは?」
戦闘態勢を解いてから、男は『おにごっこ』についての質問を始めた。
「ようやく乗り気になってくれましたね」
少し嬉しそうに、ブラックは言った。
「反抗が無駄と思っただけだ」
その言葉を聞いて、ブラックは少し残念がった。
「そうですか」
「そうだよ」
少し間を置いて、おほんと咳払いしてから、ブラックは話し始めた。
「……さて、そろそろルールを説明させてもらいます」
告げられたルールは以下の通り。
・鬼はブラック
・逃げる人は男の方
・開始後の二分間で、鬼が人を捕まえれば鬼の勝ち
そして……
「なんでもあり……って、どういうことだ?」
男にはその言葉の意味が理解できなかった。
「言葉通りですよ。拳銃で私を殺そうとしても構いませんし、ロープで縛ってみても構いません」
「じょ、冗談だよな……?」
反応がなかったので、男は『そういうこと』だと認識した。
「……お前もなにか使うのか?」
「秘密です」
多少の違和感を感じつつも、男は勝ちを確信していた。相手はどうであれ女性……追いつけるわけがない、と。
「スタート」
いきなり開始された鬼ごっこに、男は戸惑った。
「は!?ちょっと待っ」
「五秒後に開始しますからね」
「ちっ……」
男は逃げつつ、地面に落ちている石ころを手に持った。
(お前がなんでもありって言ったんだからな)
三十メートルくらい離れた所で
「はじめ!」
と、『ブラック』の声が鳴った。と同時に、男はブラックの右膝目掛けて石ころをぶん投げた。
「はい、タッチ」
「……え?」
石ころは地面の上をころころと転がっており、代わりにブラックははじめの位置にはおらず、遠く離れていたはずの男の肩を触っていた。
「瞬間移動……か?」
少し驚いたが、男はすぐに冷静になった。
「流石、経験豊富なことで」
「……」
「そういう怪人と出会ったんですかね」
少し笑みを浮かべつつ、ブラックは顎に手を当てて考える素振りをした。男は頭を抱えている。
「戦隊ヒーロー、セインティアの『レッド』さん?」
「俺はもう『レッド』じゃない、『赤石映司』だ」
「そうですか」
知っていた、というような感じのトーンで淡々と返事をする。
「……まあそんなことは置いといて、俺は」
「貴方は捕まりました」
頷きながら、ブラックは返答する。
「つーことは」
「はい、私たちのチームに入ってもらいます」
「はいはい……え?」
驚嘆を体現したような顔をしている赤石を見て、
「何を驚いているんですか?」
ブラックは不思議そうにしている。
「や、約束が違うだろ……俺は、お前のチームに入るなんて一言も」
「世界を救うために、私たちのチームに入るんです」
遮るように、ブラックは言い放った。
「どうせヤダって言っても……」
「連れて行きますよ」
「……はぁ」
赤石は大きく溜息をついた。