いよいよ旦那が仕掛けてきたぜ
本業の確定申告に苦戦中。
そもそもお仕事忙しい時期です。
このお話の更新を日記がわりになんとか頑張って生きていきますね。
少なくとも近い将来の安全は確保できたようだ。能力が足りないから処分しようとか、そういった安易な考えでないことにほっとした。
よくよく考えてみると、国王の名の下に行う勇者召喚ってかなり条件としては良い方だと感じる。
だって罪人になる可能性は無いし、多分国王には資金力はあるだろうし。
こっちはクーデターの片棒担がされかけてるわけだしな。
まあ、男爵だってお金はあると思うんだ。
でもクーデターを起こすのに異世界から召喚して事を起こそうって発想自体がケチくさいんだよね。
当面の活動資金を出し渋りそうな気がしてる。
だから、まず武器防具はあり合わせのものをもらう形で先に確保した方が良いのかもしれない。
いや、それよりもまず住む場所だ。
この屋敷の中に住む場所なんか無いだろう。
仮に用意してたとしても、一人の前提だっただろうから。
「僕らが住む場所は、用意いただけているのでしょうか?」
「広さは三人で住むには多少手狭かもしれないが、メイド一人付けても一人一部屋の寝室は充分ある邸宅を用意してある」
充分だ。
「まずは、近場で魔物でも狩って戦うことに慣れてもらう必要がある。そう言う意味でも冒険者として登録する必要があるかもしれんな」
なるほど冒険者ね。
これなら多少自由にやらせてもらえるか。
「僕たちは陛下の騎士として働くわけではないのですか?」
監視できる環境に置くだろうと思っていたので、少し意外ではあったのだ。
「君たちを組織の中に組み込むのは難しいと思うぞ。実際のところ騎士の中には異世界人の力を借りることを納得してない人間もいるからな」
騎士としての誇りがあるならそうだろう。
「これからも騎士団の中には、少し礼を欠く態度に出るものもあるかもしれません。勿論強く言い聞かせてはいますけれど」
そう言うとカレーラスは少し大きめの指輪を取り出した。
「せめてもの罪滅ぼしと言いますか、皆さんの武器防具は良いものを揃えさせていただきますし、何より友好の証として、この魔道具の指環を贈らせていただきます」
「これは、魔道具なのですか?」
「はい、この指環は装着者の能力を大きく底上げしてくれる物です。これを持ち込んだ商人の話ではステータスが2割アップするとのことです」
ほう、油断してたらやってくれるじゃないか。カレーラスもメルガルドも顔色一つ変えないでこんなもの差し出しやがって。
だが、残念だったな。
見た瞬間、鑑定したぞこっちは。
隷属の指環Lv3。
精神耐性Lv3以下の装着者を隷属させる。
対象はその前にこの指環を手に持っていた者
ってことはさ、これ僕がそのまま柑奈に手渡せば、柑奈が僕に隷属するわけね。
……やらないよ、勿論。
そのままつけるほど柑奈もバカじゃないしね。
さて、これをどうしたものかね。
僕がつけても問題はないだろうし、僕がつけるしかないな。
精神耐性Lv6だもんな。
この程度の仕掛けは想像の範囲内でもあったし、僕がつけていれば奴らも安心するだろうしね。
ただ、この指環大きいのよ。
僕の親指が二本入るくらい。
すぐ抜けてしまうどころか、これ指環として成立してないと思うんだ。
僕が渋い顔をしていると、メルガルドにはそれで充分伝わったらしい。
「大丈夫ですよ。これは魔道具ですから。嵌めたら装着者の指のサイズに自動的に調整されます」
すごいな魔道具。
現代日本のテクノロジーを遥かに凌駕するな。
このテクノロジーがあれば、婚約指輪をサプライズで渡す馬鹿者がもっと増えて、失敗するザマァな奴が増えるんだろうな。
僕は受け取ると、指環を左手の中指に通してみた。