異世界転移は思った以上に厄介なことに
そういうわけで僕たちは会議室のような場所に移動している。食事の準備が整うまでここで待機していろ、ということらしい。
驚いたことに、僕たちは3人だけでここに放り込まれている。呼んでおきながらすぐに放置というのは、無礼極まり無いし、また彼らの立場を考えてみても監視も付けずに打ち合わせの時間を与えるとは、少し考えが足りないのではと心配になってしまう。
彼らにしても僕が「飯を食わせろ」と言ったのは想定外だったのかもしれない。彼らにも打ち合わせの時間が必要なのだろうか。
さて、気になっているアレ。
視界の隅にチラついている「ステータス」「スキル」の文字。
これって、アレだよなぁ。
どう確認したらいいのかわからないが、とりあえずステータスの文字に意識を向けてみる。
並波大海 Lv1 無職
HP 28
MP 6
STR 22
INT 34
DEX 21
AGI 20
LUK 90
簡単にステータスを参照できたのはいいのだが。
無職。
学生だぞ、俺。
こっちの世界では無職ってことか。
この数字だけだと高いのか低いのかわからないな。
スキルは、と。
体術Lv2
物理耐性Lv1
精神耐性Lv6
鑑定Lv5
分析Lv2
多重魔術Lv1
錬金術Lv4
さて、考えなければならないことがあるぞ。
「鑑定」スキルだ。
一つでも多くの情報を得なければならない、今の僕たちにとっては、とても重要なスキルだ。最優先でこのスキルを把握しなくてはならない。
「鑑定」と頭の中で唱える。
どうやらこれだけで良さそうだ。
目の前のテーブルに文字が浮かび上がる。
テーブル
材質 大理石、メイプル材
所有者 メルガルド男爵
うん、木のテーブルに大理石を貼ったものなんだね。
そして、やはりメルガルドはバカ貴族で間違い無いだろう。
国王と偽るってそれだけでかなりの罪だろうに……。
僕たちはこのバカ共のせいで、かなり厄介なことになっているのだと、改めて実感した。