質疑応答は堂々と
「アレはちゃんと理解するためには、魔術の基本的な知識が必要だ。このあたりのことは2回目の講義で教えるつもりだ。ここでは、簡単にやったことだけ説明するね。僕は、彼らの腕の中の魔力の通り道を塞いだだけだ」
「あの人数の全てですか?」
「うん。他人の魔力を弄るというのは極めて特殊な能力だから、普通はできないけどね」
「私も質問です!」
今度はモニカ殿下の隣の女の子だ。
小柄だが、キリッとした目をした精悍な顔立ち。
明るい栗色の長い髪が柔らかそうだ。
おそらく、彼女がジェーンだろう。
僕の返事を待たずに質問をぶつけてきた。
「どうやったら新しい魔術を作れるのですか?」
これは第五学年の生徒はなかなかできない質問かもしれない。
魔術の創作なんて「見果てぬ夢」の類いだという先入観があるだろう。
出来たとしても長い修行の後の話だと思っているだろう。
「魔術を作るのは君達が思っている以上に簡単だが、君達が思っている以上に難しいよ」
「どういうことですか?」
「もし、君が自分の魔力を自在に操る事が出来たとする。そうしたら後は君が頭の中で詳細にイメージすれば、魔術は完成するんだよ」
「それだけなんですか!」
「だけどね、魔力を自在に操るのは多少の時間は掛かるよ。既存の魔術を魔法陣の力を借りずに使えるようになるのがまず最初かな。イメージだって、色々な知識があって初めて詳細なイメージを組み立てられるんだよ」
「そうですか……」
「実はこのイメージを頭の中に描く作業が難しいんだ。誰かが使った魔術を真似するんなら、イメージは浮かべやすいよね。でも、誰も使った事の無い魔術は自分が起こしたい現象を正確に理解していないと難しいんだよね」
「むしろ魔術を作るためには、それ以外の勉強の方が大事なんですか?」
「その通りだよ」
「わかりました。頑張ります!」
皆、多少引きつってはいるものの真剣な表情だ。
今まで信じられていたものが否定されたのだ。
その先にいくら可能性があると言っても、不安は感じているだろう。
魔術を教えるのも教わるのも初めての事なのだから。
本音を言ってしまえば、僕にも不安はある。
でも、この中から一人でも多くの人に魔術の可能性を広げる力になって欲しい。
期待と希望の方がずっと大きいんだ。
「それじゃ、今後の講義について説明するよ」
大事な事務連絡は忘れちゃいけないよね。




