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いよいよ魔術の講義がはじまる

魔術学校の方は、結局一年開校を遅らせる事となった。


募集を掛けたところ、最低限の基礎学力を満たしていない上に、高価な魔法陣でこの世界では中級クラスとされる魔術を撃つだけの人間しか集まらなかったのだ。


せっかく魔術師ギルドを潰したのに、やはりその場で見ていなかった人には、魔術師ギルドを潰したという事実以外は伝わらなかったようだ。


従って、この一年は第五学年の生徒の指導に専念できるというわけだった。


第五学年は全部で114人だ。

そこにモニカとジェーンが加わり116人。

それを5クラスに分けると、1クラスだけ24人であとは23人になる。

教えるにはちょうど良い人数だろう。


講師は僕、エリちゃん、ロイター、柑奈、源太の5人だ。

それぞれが担当するクラスを持つのではなく、ローテーションしながら教える事にした。

勿論、教科書の内容は五人で考えて作ってはいるし、五人とも教育方針は共有している。


五人が違うのは、その先だ。

各々が自分の研究のテーマとして考えていることが明確に違う。

例えば、源太は魔術をどう戦闘に活かすか。

言ってみれば冒険者として正統派だ。

ロイターは、自身の経験もあって魔道具の研究がテーマだ。


それぞれが研究室を持ち、魔術学校の生徒はそれぞれの研究室に付くことになる。

そうなった時、少しでも知った生徒の面倒を見たいし、生徒も全く知らない先生の研究室には入りたがらないだろう。


だから第五学年のうちに全ての先生と面識を持ってもらいたいというのが狙いだ。



まず、最初の講義の前に説明会を行う事にした。

講師五人の紹介がてら、魔術に対する考え方や学問に対する考え方を簡単に伝えたかったのだ。


「まず、最初に講師の紹介をしようと思う。私が責任者のタイカイ・ナミナミだ。見ての通り年齢は君らと大して変わらない。だから、怖がらずにわからないことはどんなことでも聞いてほしい。個人的には魔術の創作に力を入れている」

「講師のエリザベス・エルカディアです。一昨年この学園を卒業したので、顔見知りも多いですね。私は主に非戦闘魔術の研究に力を入れています」

「同じく講師のロイターです。他の講師の皆さんとは違ってもう30を越えていますが、若いつもりでいます。魔道具の研究に力を入れています」


え、ロイターってそんな歳上だったのか。

そうとは知らず結構失礼な感じで接していたな。

部下ではあるが多少はその辺りは気を遣わないとな。


「同じく講師のカンナ・スギサワです。冒険者としても活動していますが、冒険者の時は魔術師というより剣士に近いかな。勿論、魔術もそれなり以上には使えますので安心してね。既存の魔術の効率化や改良が主な研究テーマかな」


「俺はゲンタ・ツチミカドだ。研究のテーマは戦闘にいかに魔術を活かすか、って事だな」


女子生徒達がざわざわしてる。

当然だろう。


モテチートがある上に、最早Aランク冒険者としてかなり有名になってしまった。

冒険者ギルドやクランハウスの前で出待ちする若い女の子もいるくらいだ。


まあ、そういう素直な女の子の行動は、見ていて微笑ましいよね……と言えるほど枯れてもいない。


「さて、僕らの紹介が終わったところで、学生の皆に言っておきたい事がある」


ざわつきが、ピタリと止んだ。

この辺りは育ちの良さだろう。


「魔術を使いたいだけなら、魔法陣で充分だ。だが、もっと魔術を極めたいと思うなら、魔術だけを学んでも大した意味は無いんだよ」

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