一件落着、かな。
「なるほど……。確かにこれなら何も怖いものなど無いのだろうな。魔術師ギルドが全滅したのも納得だ。我々も貴殿の前に跪かなきゃならないのは確かなようだ」
とか言う割に跪くわけでも無い。
まあ一国の王としての体面もあるしな。
それは仕方のない事だと思う。
「今回、三国からは一切の要求は無い。貴国がメルガルドに召喚の魔法陣を横流しした事も不問にするという、なんとも寛大な判断だ」
「……それも調べはついていたか」
「と言うか、僕がその当事者の一人なのでね」
「……道理で人並み外れているわけだ」
「僕の要求は、僕の請求額の内でギルドの資産では不足した王貨200枚分。今回はそれだけだ」
「正直な話を言うともっと請求されるものと思っていたのだが」
別に金額にそれほどこだわりは無いしな。
これだって日本円に換算したら2億だし。
今回は、単身で乗り込み、山を吹き飛ばし、ある程度の金額を引き出したという事実が重要だったのだ。
今後、活動して行く上で彼らがチョロチョロと干渉して来るのは避けたかった。
そして、単身で乗り込んで来た人間にサンダーランドが屈したという世間の評判が欲しかったのだ。
サンダーランド側としても、僕と三国がかなり穏便に済ませようとしている事も感じたはずだ。
何より僕の力も明確にわかっただろう。
素直に請求を飲む以外の選択肢は無かった。
◇
「タイカイちゃん、結局警告だけにはしなかったじゃんよ」
エルカディア国王がちょっと怒ってる。
「まあ、形だけでも請求しておかないといけないですよ。どちらが悪いかはっきりさせる必要がありますからね」
「でも、これでひとまず片付いたってことね」
女王陛下の言うとおり。
「で、ちょっと相談なんだがな」
「もう、面倒なのは嫌ですよ……」
「馬鹿言うな!面倒にしてるのはタイカイの方だろうが!」
「流石に私もそう思いますよ」
ラグランの王までそんな風に言うのね。
「これは単純に魔術学校の校長先生に、生徒の親からの頼みなんだが」
「はい?」
「うちのモニカとラグランの三女が来年から第四学年なんだわ。二人ともお前の魔術の講義が受けられるって楽しみにしてたみたいでな」
第五学年から、って事になったからな。
最低でももう一年待たないとならない。
「何とか来年から受けられるようにお願いしたいんだよ」
「娘がかなりガッカリしてましてね。何とかなりませんか?」
別に問題は無い。
最低限の基礎学力さえクリアしていれば。
この学園のカリキュラムを考えると、第五学年程度の学力は欲しいのだが。
「王族だから、コネで特別配慮してよ、ってならノーですよ。ある程度の基礎学力の無い者には大変ですから。第四学年終了程度の学力はあるから配慮してくれ、ってなら今後もそれを制度化するならイエスですね」
「学問の前に身分は関係なし、ってところですね」
学長先生、その通りです。
「ラグランの娘さんは、お名前は何と仰います?」
「ジェーンです。第三学年では成績は二番目らしいですよ」
「一番はモニカだな」
多分その二人なら大丈夫だろうな。
「わかりました。第四学年の他の講義の時間と重ならないようにスケジュールを組んで頂けたら、何の問題もありません」




