大人な解決策
後日、三国の請求の詳細がまとまったところによると、エルカディアとカリムが王貨150枚、ラグランが100枚くらいに落ち着いたらしい。
魔術師ギルドの総資産が王貨1200枚とのことなので、残りは800枚。
まあ、この800枚で手を打つってのもアリだ。
正直請求額は適当なんだから。
暗に「俺たちはこの辺で手を打つからお前はくれぐれもサンダーランドと事を起こすなよ」と言われているような気もするし。
ただ、今回魔術師ギルドの生き残りを尋問した結果、やはりメルガルドの背後にはサンダーランドがついていたということがほぼ確定した。
メルガルド如きが召還の魔術を使えるわけもなく、誰かしらの協力があったことは明白ではあった。
どうやらサンダーランドが手持ちの魔法陣を魔術師ギルド経由で渡していたらしい。
この魔法陣は特殊で、通常の永続的に魔術を使えるようにする為の物ではなく、強大な魔術を行使する為の使い切りの物だ。
勿論古代文明の遺産で、王族くらいしか持っている可能性は無い代物だ。
このサンダーランドという国に対しては、一度ちゃんとした警告が必要だろう。
念のため侯爵会議の場で相談はしてみた。
僕にとっては奴らにちょっかい出されたのは二度目なのでね。
「警告自体はまあいい。仮に戦争になってもお前ならどうにかするだろう。問題は、間違ってお前がサンダーランドを滅ぼした場合だな」
いやいや、流石にそれは無いと思うが。
「そうなのよね。タイカイくんならやりかねないわよね」
「一応、その心配はしておいた方が良いでしょうね」
「無いですよ、流石に」
「いや、お前が滅すつもりがなくても、偶然が重なると国なんて呆気なく滅びるんだぞ」
そうか。
そういう可能性もあるのか。
「そこまで行かなくても、領土を差し出されたらどうする気だ?」
「姉ちゃんにあげようかな?」
「ミナミの負担がとんでもないことになるだろ!」
「タイカイくんが責任取るのが筋よね」
だよなあ。
賠償金ぶんどるのはウェルカムだけど、領土とか面倒だしな。
「流石に俺らも気づいてるぞ。お前が権力を欲しがらない理由を」
「多くの場合、人が権力を欲するのは富とそれを守るために戦力が欲しいのよね。あなたはその二つはどうとでもできる。国家相手に喧嘩することが現実味を持つほどの力もあるのだもの、わざわざ権力を握って面倒な領土の統治とかしたくないわよね」
はい、その通りです。
「まあ、だから今回はサンダーランドに警告するのもやめとけ、って言いたいところだが」
「正直言うと、私達もムカついてるわけよ。流石に魔術師ギルドの裏にサンダーランドが居たとなったら、まあ黙っては居られないわよ」
まあ、そうだよな。
「って事で、タイカイの警告に俺らも乗っかることにした。お前と三国の連名で警告出せば流石に大人しくするだろ」
大人な解決策来たね。
僕を守る意味合いもあるのだろう。
有難い話だ。
「彼らへの自己紹介がわりに山の一つ二つ吹き飛ばしたら、色々反省もするでしょうね」
「……程々にな」




