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誤算

「治療は中止だ!一度は許したが二度目は許さん!そこまで僕もお人好しじゃない!」


ファイヤーランスを撃ったギルド長は逃げようとした。

当然また捕縛。


「この化け物め!」


「何度も言わせるな。おもちゃの魔術でどうにかできると思うな」


「ぐっ」


「さて、最近帝国法が改正されてね。商取引に置いて支払いを免れるために敵対的な攻撃を仕掛けた場合、相手は無制限に損害賠償を請求できることになっているんだ」


「そんなことは知らん」


「貴様が知っていようが知っていまいが結論は変わらない。私は自分に攻撃を仕掛けて、それに失敗した相手に慈悲を持って対応した。この魔道具の義手をたった王貨1枚で譲ったのだ。にも関わらず、支払いを免れようと私を亡き者にしようとした。証人はここに山程いるぞ」


無言ですか、まあ反論のしようはないよね。


「王貨1000枚を請求する!」


「そんな馬鹿げたこと納得できるか!」


「安心しろよ。そもそも、貴様らギルドに対する損害賠償の請求権は、僕より先に発生している三国が優先する。僕の番が来る頃には大して残ってないんだよ」


「は?三国が何でだ!」


「その辺は僕じゃなく三国の役人相手にやってくれないか?もう正直貴様の相手はしたくない」


一連の流れを見ていた学生たちはどのように感じているのだろうか。

少しフォローしないといけないよな。


「ああ、学生の諸君。正直君達には刺激が強過ぎる光景だったろう。魔術というのは強大な力を持つ。だが、安心して欲しい。力の使い方もロクに知らないくせに悪事を重ねていた彼らはもう魔術を使えない。恐らく一人残らず厳罰が下されるだろう」


何人かは目を伏せているが、大部分の学生たちは真剣にこちらを見ている。これほどまで凄惨な光景を見せられて、それでもまだ魔術への興味が勝るのだろうか。


「皆の中には強大な魔術を身に付けたい者も居るだろう。さらにその先を目指す者も居るだろう。まず、その最初の一歩を我々が支援しよう。それができるだけの力はあるつもりだし、それは今君達も目の当たりにしただろう。新学期に第五学年になる諸君。共に学ぼう。そして卒業して魔術学校への進学を希望する諸君。共に魔術の未来を作ろう」


反応は無く、静まり返っていた。

少しは僕に対する恐怖感が薄まってくれたらいいが、こればかりはどうにもならない。


さて、この場でやらなきゃいけないことは全て終わったな。

魔術師ギルドの面々は拘束されて居る。

三国の兵士に引き渡すため、そのまま放置だ。

半分以上は治療されていないし、このままなら失血死するだろう。


あ、せめて痛みくらいは取り除いてあげようか。


僕は治療の済んでないギルド員の痛みを魔術で取り除いた。

神経の機能を失わせるだけのお手軽な魔術だ。


そして、三国の王と学長のところに行き、今後の処理をお願いした。


「商取引の法律を弄って自分の取り分確保するとはな……」


「だって、どう考えても三国の請求権が優先ですからね」


「いや、実は三国が金銭的に請求できる金額はそう多くはないぞ」


「え、そうなんですか?」


ラグランの王もカリムの女王陛下も頷く。


「人事について口出しするのが一番多かったが、それを金銭的に評価することは難しいし、我々から金銭を引き出すのには、形だけでも売買の形を取ることが多かったしな」


「そもそも、私達は魔術師ギルドさえ潰れてくれたら良かったのよ」


ちょっとはやまったか。


「まあ、折角苦労して我々の請求権のことまで気にかけてくれたんだ。可能な限り我々も魔術師ギルドから回収しようじゃないか」


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