異世界転生しました。
とある日、とある世界。
その日、俺は勇者として、ドラゴンと戦っていた。
結果――負けた。
パクって食べられて、死んだ。
実際はもっと骨がバキバキいったり、血がそこら辺に飛び散っていたが、まあいい。
よーするに、死んだ。
あえて三回言おう――死んだ。
そして、次に目が覚めたときは――
暗い空間の中に、二つの影がある。
一人はドラゴンに食われた勇者。そして、もう一人は――
「おお、勇者よ!死んでしまうとは、情けない!」
「えっと……貴方は、誰なんですか?」
目の前には、天使のような輪を頭につけ、背中から白い翼を生やした――少女が、いた。
「ああ、私?ん~と~……まあ、インフィネアって名乗っておくね」
謎の少女は、そう告げる。
「はあ……インフィネア様、ですか」
「様、だなんて堅苦しくなくていいよ~。フィネアでいいよ、フィネア」
「えっと、それで……」
キョロキョロと、辺りを見渡す。その行動で察したのか、少女が口を開いた。
「君、死んだよ?」
「やっぱりですか……」
青年は俯く。
想像は、ついていた。
あんなことになって、死んでないわけはないと。
「楽しい――とは、微妙に言えなかったけど……いい人生だったな」
「ああ、それでなんだけど」
青年が、顔を上げる。
「君さ――異世界、行ってみない?」
「え?」
突然のことで、青年は少し混乱した。
その混乱を読んだのか――
「よし!何か面倒くさいことになりそうだから――『飛ばす』ね!」
「え?え!?」
青年の言葉を待つこともなく、強制的に進める。
少女が、空中に手をかざす。
その瞬間、空間が歪み、世界が溶けだす。
「えぇ!?」
青年は、さらに混乱する。
「ゼレオ君も待ってるし、ちゃちゃっとやっちゃうね!」
ゼレオ、というのが誰かはわからないが――何か、危ない気がする……!
「あの、ちょっとまっ……!」
「異世界での生活を、どうぞお楽しみに~~~!!」
「え、ちょっ……う、うわあああああぁぁぁぁぁぁ―――………」
少女が、みるみる内に遠くへと消えていく。
視界が、白い光に包まれる。
そして、次に目を覚ました時は――
「…………」
そこは、不思議な場所だった。
人が絶え間なく行き交い、規則的に四角い塔が並び立っていた。
道行く人は、見たこともないような、様々な服を着ていた。
手には四角く、薄い板を持っている人がたくさんいる。
さらには、鉄で出来た馬車の様なものも行き交っている。
しかし、何よりも――少し遠くにそびえ立つ、雲すら貫く高さの塔が、目を引いた。
「ここ……どこだ……?」
青年は、そこにただ、立ち尽くした。
ここで、自己紹介といこう。
俺の名前は『レクト・オル・セヴィアリュス』
もとの世界では、勇者をやっていた。まあ、勇者というか冒険者だったが。
金色で短めの髪、平均よりも少し高いくらいの身長。
顔立ちは整っているらしいが……よくわからない。
普通に冒険者をやっていた、16歳。
今見ていたような過程で――この世界。
こちら側の世界で言うなら――異世界から、現代に。
――転生してきました。
前書き?何それ。おいしいの?
女の子の天使ちゃんは、『天使と悪魔の夫婦生活』という、別に連載してる小説のキャラです。よかったら読んでね(さりげない宣伝)
現代から異世界に転生するんなら、逆もあるんじゃね?的なノリで書きました。今回はプロローグ的な感じで終わりましたが。
これから楽しめたら幸いです。でわ。