~恐るべし既成事実~
学園でエリートコースで1日2回授業を行った後生徒達(主に女性達)と食事を取る。そんな生活が1週間ほど続いた頃、改めて学園長に呼び出された。
「ここでの生活には慣れましたか?」
「ええ、まぁ」
「これまでの授業は2年のエリートコースを午前中に2回でしたがこれからは午後に2時間、それぞれ1年と2年のエリートコースの授業も担当してもらえますか?」
「それは1日4時間するって事ですか?」
「いえ、日替わりで1年生と3年生をやってもらいます」
「はい、分かりました」
·········
······
···
「メイジ様っ!」
「あぁ、アイシス」
「えへへ、今日は2人きりで食事しましょう?」
「うん、他に人がいないならいいぞ」
今日はシューンは午後にギルドで会議があるようで送っていった。なので今日は一人飯にしようと思っていた。俺とアイシスは二人席に座った。
「やっぱり俺の授業はハードだよねぇ」
「そうでもないですよ?確実に魔力は増えてますし。更に終わった後に出されるご褒美が絶品で!」
「いやぁでも魔力を限界まで使うのはキツイだろ」
「えへへ、私はメイジさんの授業ならどんなことでも出来ますけどね?」
「そ、そうか」
「えへへ···あ!そうです!」
アイシスは思いついたように顔を上げた。
「はい、あーん」
アイシスは自分の食べていた料理をスプーンに掬い、此方に差し出してくる。あーんとはこれまた王道を行く事を···。
「あ、アイシス?流石に学校でそういうことは良くないんじゃないか?しかもアイシスは姫様なんだし」
「大丈夫ですよ!公表はしてませんが身内には『運命の人』と言ってありますから!」
「···」
やばい、外堀埋められちゃってる。この姫様仕事早い!
「そ・れ・に······それより凄い事もメイジ様としちゃってますし···」
アイシスは周りには聞こえない様な小さい声でそう言った。その顔は赤く染まっており、恥ずかしがっているようだ。
「だから···早く食べちゃってください···いつまでもこうしてるの···恥ずかしいんですからね?」
「···あぁ···分かったよ。でも周りからはスキル使って隠すからね?」
「はい!···ではあーーーーん」
結局俺は『認識阻害』のスキルを食事中ずっと使うハメになった。
そして別れ際。
「あ、メイジ様!」
「うん?」
「私はいつでも大歓迎ですので!いつでも王城にいらして下さいませ!あっ、出来れば夜がいいです!」
「···」
アイシス姫はそういうと反論の余地もなく去ってしまった。アイシスが言う大歓迎がなんの事かは分かる。先程そういう話も話題に出たし···。既成事実って怖い······。