~エリート集団~
四選学園、『人』『獣人』『天使』『魔人』の四種族が合同で建立した学園。年齢が15歳から18歳までの学生が通っている。種族は問わず、身分も問わない。実力さえあれば入学金が無くてもある程度は学園から補助してもらえる。その分学園に通う学生達のレベルは高い、この学園で卒業できれば将来は約束されるといわれているらしい。シューンもこの学園の卒業生であり、主席卒業だったらしい。
現在俺はそんな学園の校門前である。隣にはシューンが一人。今は早朝、生徒が登校する前の様だ。校門はかなり大きくレンガ造りだ。ここから見る限りは建物は人族の城と同じ程もある。これなら生徒数も多いだろう。
「ほら、行くぞ?話は既に通してあるから大丈夫じゃぞ?ワシはここの卒業生じゃから職員室もわかるからなんの心配もないぞ?」
「いやぁ、学校なんて久し振りだからねぇ」
シューンに連れられ、校舎内へ。そのまま3分程着くと学園長室に着いた。シューンはコンコンとノックしてから扉を開け、部屋に入っていく。俺もそれに付いていく。
「久しぶりなのじゃ、学園長」
学園長室には客が座る様のソファが2つ、その奥には皮で出来ている大きな椅子に座っている年配の男性がこちらを見ていた。
「お久しぶりですね、シューン?」
「早速じゃがご所望の講師を連れてきたぞ?」
「ほう、では彼がSランク冒険者の···」
「はじめまして学園長、Sランク冒険者のメイジです」
「宜しく」
握手をする。
「いきなり仕事の話をして悪いけどね、そろそろ生徒も登校してくる時間になるから話させて貰うよ。今回キミに教えて欲しい教科は魔法です。教えて欲しいクラスは二学年のエリートコースです」
「エリートコース?」
「生徒の中から選抜されるクラスです。2年に進級時に成績が高い40人が選抜されています」
「分かった」
「取り敢えず午前の2時間を担当してもらいます。昼には他の講師との顔合わせもありますので宜しくお願いします」
そんなこんなで学園長との会話を終え、部屋を出た。あの後結構雑談をしていた。
「さて、この後はそのままそのエリートコースへ向かえばいいんだよな?」
「うむ、担任に紹介してもらう手はずだからの、黄色い声が聞こえること間違いなしじゃ」
「シューンはやらんぞ?」
「はぁ···お主に向けてに決まっておろうが」
「あれ?やっぱり?」
他愛ない会話をして歩いていくと何人かの生徒とすれ違う。これもやはりと言うところだろうか、女子生徒は好奇の目でこちらをガン見してくる。
「ねぇ、話しかけようか?」「わ、私あんな人に話しかける勇気ないよ···」「転入生なの···?」
俺は見た目は高校生だから転入生だと思われても仕方ないだろう。
「隣のあの方!見覚えがあるわ!」「あぁ、シューン様じゃないか!?」「あの魔道四天王の!?」
周りがザワつく、進む分には道を開けてくれるので問題はないが。
「魔道四天王?そんなのだったのか?」
「のじゃ?言ってなかったかのぅ?ワシ、世界で4本の指に入る魔法使いなのじゃよ!」
フフンと胸を張る。
「あぁはいはい、凄いなー」
「むぅ、なんかイラッとくるのぅ」
「魔力も増えたし四天王では1番強くなったんじゃないか?」
「そうじゃな四天王ではの······お、着いたぞ?」
着く頃には生徒達は周りにはいなくなっていた。朝のホームルームでもあるのだろう。
────魔法学のカケル・サギヌマの代わりに臨時講師をお招きしております、そろそろ来る頃なのですが···
お、丁度いい時に着いたようだ。コンコンとノックする。
────もしかしてさっきの────?
────シューン様?
「入って下さい」
ガララと引き戸を開ける。
────キャーーーーーーッ!!
────ケッ!イケメンで男かよ!
────ハハハ、俺の方が美しいっ!
俺達は案内され、教室の教壇まで登る。
「はじめまして、Sランク冒険者のメイジと言います。今から1ヶ月ほど魔法学を担当します。魔法は全属性全て使えるので魔法の実践なら何でも出来ます。教師の経験は無いのでサポートとしてシューンに協力してもらいます。皆さん、宜しくお願いします·········と固く言いましたが年齢は皆とあんまり変わらないので敬語とかはいいです」
「シューン・ローズじゃ、知っておる者もおると思うが魔道四天王じゃ。今回はメイジのサポートをするのじゃ。まぁワシがすることは教え方ぐらいじゃの」
「はい、ありがとうございます。では簡単に質問などを···」
────バッ!
クラスの殆どが手を挙げた、恐らく男子はシューンへ、女子は俺への質問だろう。
「じゃ、じゃあそこの彼女で」
「はい!メイジ先生がいつも持っていると聞く二つの剣は今何処にあるのでしょうか!」
「あぁ、魔法を教えるのには多分必要ないので持ってきていません。必要となったら一瞬で取り寄せられますので大丈夫ですよ」
「メイジ先生には恋人が何人いるんでしょうか!」
出ると思ったこの質問。しかし『何人』という聞き方には驚いた。
「恋人がいるのは確定なんですか?」
「え?いないんですか?」
「···まぁいますが」
「では!何人ですか?」
「······」
アマテラスは入るのだろうか?婚約者筆頭と言っていたけど恋人かどうかは分からない。取り敢えず入れとくか。
「···9人です。皆自分には勿体ないくらいの女性です」
────キャーーー!
────それなら私達にもチャンスがあるかも!
────ハーレム野郎か、ペッ!
男子の態度悪くね?
「ならシューン様の恋人はいらっしゃるのですか?」
これは男子生徒からの質問だ。
「えと···それはじゃなぁ···お、おるぞ?」
「「「「「そんなぁぁぁぁぁぁぁ~」」」」」
男子生徒が落胆する、残念だったな。シューンは俺のだ。
「ま、まさかそれって。メイジ先生···」
女子生徒が恐る恐る聞いてくる、まぁさっきから俺とシューンの距離が近過ぎるからであろう。
「···うにゅぅ···そう、じゃよ?」
────このイケメン野郎め!
────女たらし!
男子からの罵声を受け、少々イライラしてくると教室の中に見知った顔があるのが分かる。
「アイシス姫?」
いつかの依頼で護衛した人族の姫、アイシスだった。
テスト期間だけど投稿するのきついです···。
次のクリスマスイベ、エレちゃんマジ期待。