~スタンピードの発生~
今回は会話多めです
2017年6月15日21:50 誤字を修正
2017年6月17日23:18 誤字を修正
???side
我がこの地に生まれてから早くも296年、我は潜伏し続けた。
ひたすら同胞を殺し食ってきた。
強くなるために、死なないために。
それを続けて149年たった頃私は進化した、遂に周りの同胞より格上に至ったのだ!
更に時が立ち296年目に世界より声が響いた。
【魔王への資格を取得しました。魔王へ昇華しますか?】
我は勿論同意した。長年待ち望んでいた事がやっと叶うのだ。
我は更に進化した。この力さえあれば人間の里など一捻りだろう。しかし我には配下がいない。人間はとにかく数が多い。いくら我が強くても100万人には勝てないだろう。
我の魔力で配下を作成すればよいのだ。我の魔力を大地に染み付け魔物を生み出し配下にするのだ。
それがいい。その軍勢でまずはここから近い人間の里を滅ぼしてくれようぞ。
くく···心地がいい、我に蹂躙される人間共の顔が浮かぶわ。
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sideメイジ
夢の地獄を味わった後の朝。身体的疲労はなくても精神的疲労は半端ない今日この頃。
俺は眠い顔をこすりながら目を開けた。
「ふわぁぁぁぁあ···」
『おはようございますメイジさん···良く眠れましたか?』
良く眠る···?ナニソレオイシイノ?ソンナノフカノウデシタ。
『あ···そういえば今日の昼過ぎにスタンピードが発生し、この街に来ますから注意してくださいね。』
うおいっ!?そんな重要なこと今話すのか!?
「えっと、それ出来れば昨日のうちに言ってもらえると···」
『あっ!すみません!うっかりしてました······えっと······てへっ?』
うむ、許す。
「はぁー、今日スタンピード来るとかめんどくさいな。一応ギルマスに教えとくか。」
俺は重い腰を上げ宿を後にする。
冒険者ギルドに着いた俺はハスタさんのいる受付に向かう。
「おはようございます、メイジさんクエストですか?」
「至急、ギルドマスターに取り次ぎたいです!ギルドマスターはいますか!」
「はっはい!ギルドマスターに取り次ぎます!」
ハスタさんはパタパタと受付の奥へ入っていった。
少しすると面倒臭そうな様子ののじゃロリが出てきた。
「はぁー、何じゃそんなに慌てて、ワシはスタンピードの対策に忙しいんじゃ。」
「そのスタンピードに関することなんですが。ちょっとここでは話せないので応接室に行きましょう。」
「スタンピードのことか?良い、分かったのじゃ。応接室に行くのじゃ。」
俺とのじゃロリは2人で応接室に向かった。
「さて、それでスタンピードの話とは何じゃ?」
「落ち着いて聞いてくださいね?今日の昼過ぎにスタンピードが発生してこの街に来ます。」
「は?お主何を言っとるんじゃ?」
「今日の昼過ぎにスタンピードが発生してこの街に来ます。」
「は?」
「今日スタンピード来ます。」
「······それは何処の情報じゃ?」
「私の1番信頼出来る友じ『メイジさん?』親ゆ『メイジさん??』······恋人です」
変なところでこだわるなこの女神。かわいい。
「恋人じゃと!それは何処のどいつじゃ!」
貴方もなんでそこに突っ込むんですか?いまはそれどころじゃないんですが。
「それはどうでもいいでしょう、それよりスタンピードです、昼過ぎにここに来るんですよ?住民の避難とかしないんですか?」
「むう···だがな魔物の目撃情報も無いの「ギルドマスター!至急!森に魔物が大量発生しています!その数800!」」
「·········住民に通達じゃ、『スタンピードが来る、南門から避難しろ』。」
「はい!了解しました!」
「·········お主も冒険者じゃからな、この町を守るために協力してくれぬか?」
「元よりそのつもりです。貴方は他の冒険者や王国貴族に話を付けてください。」
「うむ、分かっておる。お主に期待しとるからな。お主は他の冒険者より圧倒的に強い。」
「······出来るだけのことはしますよ。」
「···頼む。」
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冒険者ギルドを出た俺は避難を始めている街の住人を横目に、アメリアさんと相談していた。
「実際の所、800体の魔物って俺ひとりで倒せます?」
『倒せますね、【極大魔法】の複合魔法か【神大魔法】で倒せます。ワンパンです。』
「えぇ···出来れば極大魔法は使いたく無いな。目立ちたくないし。」
『そう言われましてもねぇ···今回メイジさんには動いてもらいたい理由があるんですよ。』
理由?女神様達からするとこの町が無くなるのは良くないのだろうか。
『今回のスタンピードの原因は『魔王』です。』
そうか俺が異世界転移したのは魔王を倒す為だったな。
「魔王!やっぱり強いんだろうか。」
『私が送った転移者では現段階では勝てませんね。メイジさんを除いて。』
確かこの町にも転移者は居たはずだ。ギフトを与えてもらっているから少なくとも常人よりは強いだろう。
「確かこの町にうちのクラスメイトの『トモヤ』がいるんだったな。そいつにも協力して貰いたいんだが。何処にいるかどうか分かるか?」
『あー、その人はですねぇ···ちょっと···』
「話したくない理由でもあるのか?」
『えっーとそのートモヤって人に私、『求婚』されてるんですよ。』
よしトモヤ、お前覚悟しろよ?
「···どうしてそんなことになったんだ?」
『私がトモヤさんを転移させる時に『一目惚れです、結婚して下さいお願いします、何でもしますから。』って言われたんですよ。』
「···でどう答えたんだ?」
『勿論断りましたよ!だってあの後私メイジさんに告白するつもりだったんですからね!』
「···ありがとう。」
『でも、断ったあとに『絶対諦めないからな!何としてでもお前を落としてやる!』って言ってましたね。』
は?よしトモヤお前死刑確定な?俺が何としてでもお前を殺してやる。
「トモヤ殺していい?」
『一応転移者同士の殺し合いはやめて欲しいんですけど···その後の処理が面倒なので』
「分かった半殺しにするわ、『俺の』アメリアさん脅した罰だ簡単には気絶させねえぞ?」
『『俺の』···そうです!私は『貴方の』アメリアです!』
「アメリア···」
『メイジさん···』
こうして俺はアメリアとの愛?を確かめあった。
この2人まだ出会って5日目なんだぜ?




