~パーティpart2~
ハスタさんと別れた後、俺はサタンさんと話していた。
「サタンさんが参加しないとは思いませんでしたよ」
「お前結構失礼な奴だな···俺は自分が戦うってより軍に指示を出して戦う軍師なんだよ」
そうは見えないけどなぁ···俺よりガタイだっていいし顔だって···。
「おうおう、スキルで隠しているのはいいがその顔は失礼なことを考えていやがるだろ」
ギクッ。
「まぁこのうまい酒に免じて許してやる、ここでキレてもしょうがないしな、ハハハ!」
寛大でいい人だ···。
·········
······
···
「あ、アニキっ!」
···。
「メイジのアニキっ!」
俺かっ!?なんだなんだ!?この声は聞き覚えがあるぞ!
声のする方向に顔を向けるとそこにいたのは昨日フィールドで戦ったあのヤンキーだった。
「···何しに来た、続きか?やるなら場所を移すぞ?」
「い、いえ!違いますアニキ!俺はアニキの舎弟になる事を頼みに来たんです!」
しゃてい~?意味が分からん。
「舎弟とかよく分かんないし、するとしてもお前は嫌だ」
「あ、アニキ!すみませんでした!アメリアさんの事はもうすっかり諦めました!」
「いやだからするつもりは無いって」
「自分のしたことはただの八つ当たりだってことは分かってます!でもオレは諦めません!今はなれなくてもいつかは舎弟になって見せますから!では失礼します!アニキ!」
名前も知らないヤンキーは俺に頭を下げて走って行った。自分の言いたいことだけ言って帰って行きやがった、自分勝手すぎるだろう。
「ご主人様!」
おうおうおう、今日は次から次へと人が来るなぁ。この声はロゼだな、流石恋人たちの声は聞けばわかるぞ。
「ロゼ、俺が言った通り働いて···無いな、良かった」
ロゼはいつも『ご主人様の為に!』とか言って休みもなしに働く。今回のパーティも『裏方として参加します!』って言ってたし流石に休ませるために出場選手として参加させた。いくら神だからだって精神的な休みは必要だろう。なのでご主人様権限と恋人として命令andお願いした。そしたら恋人としてお願いしたときにコロっと落ちたかわいい。
「ロゼエエエエエエエエエエエエエエマチナサイイイイイイイイイイイイ!」
「ヒャッ!何でこっちに来てるんですかぁ!」
ロゼが現れた方向から女性らしき物凄い声が聞こえてくる、ていうか迫ってくる。
「マチナ···メイジ様!?」
現れたのは白い羽をこれでもかと主張している女性。バトルロワイアルで戦っていたディス=グレイスという妖精神だっけ。たしか下に来る前にロゼと知り合いだったんだっけ。
「ご主人様!この女狐は危険です!」
「危険?どういうことだ?」
「そ、そんなわけないじゃないですかぁ~···そ、そんなことよりはじめまして!私妖精神のディス=グレイスと言います♪気軽にディスって呼んでください!」
先程と声が違う···違いすぎる···これ親が接客の時とか電話の時に声が高くなる奴じゃん···。
「駄目ですよご主人様!この女狐に骨の髄まで貪り尽くされますよ!」
「どういう事だよそれ···」
「ま、またあなたは根も葉も無いことを~!」
「···ジー」
ロゼがディスの事を見ている、それもジト目で。かわいい。
「な、なんですかぁ?」
「前科ありがなーに言ってるんですかねぇ···」
「そ、それは!言わないでって言ったじゃない!」
「ご主人様の為ならやむなしですよ!べーだ!」
「ムキーーッ!許さないーー!」
先程していたであろう追いかけっこがまた再開したようだ。理由はアレだがロゼも楽しそうなのでいいだろう。
「マスター!」
はぁ、今日は次から次へと人が来るなぁ···、まぁ一人よりは何倍もいいけど。
「ソウちゃん、お疲れ」
「お疲れ様ですマスター!今回はやりたいことがあって来ました!」
「やりたいこと?」
「はい!マスター!あーん!」
ソウちゃんはいつの間にかスプーンを持っていた。その上には茶碗蒸しだろうか、黄色いゼラチン状の物が乗っている。
「そ、ソウちゃん?もしかしてあーんをしたいの?」
「はい!仲がいい男女はすると聞いたので!」
うーむ、間違っちゃいないけどなぁ···。
「まぁソウちゃんがいいなら···あむっ」
「きゃっ!えへへ···なんだか恥ずかしいですね···」
大丈夫、俺も恥ずかしいから。
何とかパーティが無事終了しそうなので、俺はやっと一息つくことが出来そうだ。