~ガチな戦い~
────ギィン!
迫ってくる刀を俺はギリギリの所で弾いた。早い!そして重い!
「メイジっ!」
アルケーが間に入ってきてくれたため、刀を振るってきた主は元の場所に戻って行った。まぁその刀を振るってきたヤツは十中八九あのゲス野郎だけどな。
「あんたね!油断してんじゃ無いわよ!危なかったじゃない!」
「すまんすまん、いきなり来るとは思わなくて···とか言える状況じゃ無いよなっ!」
ヤンキーが迫ってきている為だ。ヤンキーは握っている刀を右斜め上に構えている。俺達3人は跳躍をし、それを避けた。
────ドガァン!
ヤンキーが振り下ろした刀は空を切ったが勢いは止まらずフィールドを斬り付ける。ソウちゃん特製のフィールドは斬られた場所を中心に砕ける。しかし一瞬で時が戻ったように砕かれていたフィールドは元に戻っていた。
ソウちゃん!スキルセット4!最強の奴!
『はいマスター!頑張って下さい!』
全身に魔力が循環する。力は漲り体も更に軽い。循環する魔力はグリモとエクスに流れ込みグリモとエクスから感じる力を増幅させている。
「む、メイジ、本気モードかの?」
「何で最初からそれをやらなかったのよ、下手してたらあなた死んでたわよ?」
「一応様子見の為に発動しているスキルを一段階落としててさ。 さっき一番強い奴にしたから。 あのヤンキーは俺にやらせてくれ。 あいつ俺しか狙ってきてないし」
「男として引けないのじゃな!」
「まぁそういう事なら···、神格が下だからって負けるんじゃないわよ? あなたは今は現人神だとしても特異点だとしても、地球の···そして日本人なんだから。 私の世界の人間として意地を見せなさい!」
「あぁ、格上だからって負けるつもりは毛頭ないさ!」
何より、思考加速を最高にしておいて良かったヤンキーの姿は目で追えたからね。今のスキルセットなら最低でも戦いになるだろう。
俺はグリモとエクスをしっかりと握り、ヤンキーの元へと掛ける。向かっている途中でヤンキーの持っている刀を神眼で確認することにしよう。
「【神眼】」
『虎徹』
とある日本の名工が打った刀。
だったが使用者が居なくなるとヴァイスが神界に持ち込んでしまう。
そして、ヴァイスに合うように無理やり改造を施されている。
??????????????する。
元はかなりの名刀であることは分かった。だが全部読み取ることが出来なかったのか???の部分が表示されている。改造されたとの事だったので注意はする必要があるだろう。少なくともさっき咄嗟にグリモカリバーで受けた時は特に異変は無かった。次にエクスカリバーで受けてみて問題が無ければ斬るときに何か特殊な効果があるという事ではなくなる。
ヤンキーが此方に迫ってくる。虎徹を正面に構え、振りおろしてくる。俺は左手でエクスカリバーでそれを受ける。
────ガキィン!
虎徹とエクスカリバーが重なる。先程グリモカリバーで受けたときと変わりは無い。これなら此方から攻撃を仕掛けても問題は無いだろう。俺は右手でグリモカリバーをヤンキーに向かって振りおろす。
────ガァン!
ヤンキーは重ねていた虎徹に力を込めたのか、エクスカリバーがはじき返される。そしてヤンキーは迫るグリモカリバーを飛びのいて避ける。体勢は崩されることは無かったのでグリモカリバーは空を斬るだけで済み、致命的な隙を作る事は無かった。やっぱり片手じゃあ両手には敵わない。防御の時は両手を使って防御する必要がありそうだ。
『いつかあの技をちゃんと習得する必要がありそうね』
『もっとちゃんと練習するのです!』
おっと?俺に隠れて秘密の特訓かな?可愛いからよし。でも今は戦闘に集中してくれっと!
迫ってきていた刀を【気配察知】により感知し、飛びのく。
「オラッ!余所見してんじゃねえ!」
休ませてはくれないようだ。会話なんてしている暇は無い。俺はエクスカリバーとグリモカリバーに魔力と神力を纏わせる量を増やす。力で勝てないなら数で勝負だな!今度こそこっちが攻める番だ!
────ヒュッ
軽く左手でエクスカリバーを振る。ヤンキーはそれを防御するため虎徹をエクスカリバーと体格になるように重ねようとする。俺はエクスカリバーを途中で止め、角度を変え先程より早いスピードで斬りつける!
────キンッ!
流石にこんな見え見えのフェイントには対処されるかっ!
────キィン!キンッ!
フェイントや込める魔力を変えてみたり変則的な斬撃を続ける。ヤンキーはそれに翻弄されているのか先程から攻撃はしてこない。それもその筈だ、何故なら────
「心を読めないと次の手が分からないだろ?」
「────!────チィッ!」
俺は以前心を読まれなくする様にスキルを作っていた。出来上がったのは対象1人に自分の心を読めなくさせることが出来るスキル【心防】。先程からそのスキルを使用している為だ。このヤンキーは心を読んで此方の攻撃を捌いていたのだ。
────カァン!
何度か打ち合わせていくと最初と違う、鈍い音が響いてくる様になってくる。
「────チッ!」
ヤンキーは先程から何度か舌打ちをしている。焦っているのだろうか。鈍い音が響く度に舌打ちをしている気がする。それに刀を振る速度や力が落ちてきた気がする。
『刀にヒビが入ってきてるわね』
『もう少しで折れるのです!』
やっぱりか、力を抜いていたのは刀を折れるのを防ぐ為か。俺はそう予想し打ち合わせる場所を先程から鈍い音を響かせている場所へと集中させる。
何度も同じ場所に斬りつけているとヤンキーはたまらずといった表情で刀を引き、回避の体勢を取ろうとしている。俺はがら空きになった体を······狙わずに刀に向けてエクスカリバーを斬りつけた。
────バキィン!
刀のヒビが入っていた場所、刃の根元に近い場所から刀の刃の部分は砕ける。
取った!
右手でグリモカリバーを振りかぶり、ヤンキー首を狙う。
────キンッ!
なんの障害も無く切り裂けると思った俺だったが、グリモカリバーは何かに遮られてしまった。グリモカリバーを遮ったモノの正体は完全な状態の虎徹だった。




