~戦いの女神は伊達じゃない~
「では1on1第二試合!マアトVSレッド!試合開始です!」
試合が始まった。
レッドが赤剣を手にマアトへ飛び込んでいく。
レッドは剣を振り上げ、マアトの左肩を狙うように剣を一閃する。
しかし、マアトがそれを許すこともなく、血吸で受け止める。
────ガキイッン!
マアトは刀を僅かに反らし赤剣を受け流す。
受け流された赤剣から咄嗟に手を放し距離を取った。
「こういう戦いができるのは私達だけだね!」
レッドは手に魔法陣を作り出し、そこから赤剣を取り出す。
マアトの足元に転がっていた赤剣は粉々に消え去っている。
「そろそろスキルを使って行きますか!メイジの目の前で戦いの女神として無様な姿を晒すワケにはいかないでしょう!」
マアトはスキルを使用し始める。
────鬼神化
────限界突破
────臨界突破
·········
······
···
「ど、どれだけかけるのよ!待ってる私の身にもなってね!」
「それなら途中で襲い掛かってくればいいじゃない えっと────天貫」
マアトがスキルを使い始めてから五分ほど経っている。
その間にマアトは数百もの戦闘スキルを発動しており、もうどれだけの効果を発揮しているか分からないほどだ。
「全力の貴方は初めて見るから!けど全力出すのに長すぎじゃない!?」
「こんなの貴方をイラつかせる為にゆっくりやってるに決まってるじゃない、やろうと思えば一秒かからずにできるわよ────天防 これで最後ね」
多くのスキルを使用したマアトの体は赤く輝いており、放出されている神力も膨大なものになっている。
「むきーっ!ぜえったい倒して見せるんだから!クロスコスチュームチェンジ!」
レッドの体がから光が飛び出し、コロシアムは閃光に包まれる。
閃光が晴れた後に現れたのはレッドの特徴的な赤い髪が更に輝きを増しており、更に派手だった衣装が更に一段と豪華になっている。
「ふっふっふ、これがイビルシスターズの奥の手『クロスコスチューム』よ!」
「面白いじゃない、やってやろうじゃないの!」
二人の姿が一瞬掻き消え、フィールドの中心で一瞬で現れる。
二人が現れたと思ったら剣と刀を重ねていた。
力の弱い亜神や半神にはそう見えただろう。
実際にはあの状態になるまでに十撃ほど、剣と刀を打ち合わせていた。
「は、早いっ!実況のメルティ!目が追いつきません!これが女神と魔神の戦い!我々亜神と半神の力とは比べ物になりません!」
常人から逸脱している亜神と半神達ですらその姿を捉えるのは難しい。
亜神達にはフィールドの四方八方から剣戟が鳴り響く。
二人は何度も剣と刀を打ち合わせている。
何分かその状態が続いただろうか。
フィールドの中央で剣戟が鳴り響いた後に二人はそれぞれフィールドの左右に現れる。
「ハァ···ハァ···」
「···」
レッドの呼吸が乱れている、それに対してマアトの息は整っており幾らか余裕がある。
「貴方···戦うのは久し振りなんじゃなかったの···?」
「そうね、戦うのは久しぶりだけれど鍛錬は欠かしたことは無いわ。貴方、その技の開発につきっきりになっていたでしょう?訓練は欠かしたら腕はすぐに鈍るわよ?」
「それを言われるとぐぅの音も出ないわね···」
「ふん、今度はもっと持久力を付ける事ね。 その技維持に結構体力必要見たいだし」
「ふふ、対戦相手に指導されるなんてね屈辱だよ···」
「そんなの知らないわよ、貴方とこうやって話すのも煩わしくなってきたし決着付けるわよ」
「受けて立つわ」
お互いが刀と剣を構える。
この戦いでの最高の一撃をお互いが放とうとしている。
互いが放出する神力はこれまでで最高になっており、二人に漂うオーラが最高潮になる。
「全属性付与────六星袈裟斬り」
「────イビルファイアースラッシュ」
互いが同時に駆け出す。
音もなくフィールドの中央で二人は交差する。
「つ···次は負けないわ···」
「また次の時なら受けて立ってあげるわ」
フィールドに残っていたの鞘に剣を入れ、無傷で立っていたマアト一人だった。