~無限奪還編~
side クトゥルフ
煽りに煽った結果、ニャルは怒り狂って攻撃をしてきますし、ハスターは冷静ですけど単純に消耗が激しいですね。そんなんで旧支配者やっていけるんでしょうか?
ふぅ……そろそろいいですかね。もうメイジさんお持ち帰りしましょうか。
「あぁ!?ついに背中を見せましたね!余裕ってことですか?」
……あれ?メイジさんは?どこいきました?
先ほど椅子ごと位置を固定しておいたメイジさんの姿が忽然と消えていた。ついさっきまではいたはずなのに。
「メイジさんは?クトゥルフもしかしてメイジさんあの配下うごめく激きしょ空間に放りこんだんじゃないでしょうね!」
ニャルが言っている激きしょ空間とは。私の配下を収納したスペースの事だ。呼び出すときは海を生成してから出現する配下たちが普段収納されている場所で、常人が入ったら最後SAN値がはじけ飛びそのままなぶり殺される空間である。
「いや、あんな環境にメイジさんを……」
ここら一帯を探知……いない。もっと広域……遠くに離れていく反応が二つ!
……してやられた!かんっぜんに忘れてました!
「くそっ!」
全速力で反応に向かって移動を始める。
………
……
…
side ハスター
「あぁ!メイジさんいないじゃないですか!おらー!クトゥルフ何しとるんですかー!」
「こりゃ盗られたね」
「盗られたぁ!?」
「うん、多分さっきの艦隊の指揮官」
「うげ、私たちが気づかないなんて……邪神クラスですか?」
「とりあえず、ボクたちも追わないと」
「そうですよ!立ち話してる場合じゃないです!私はメイジさんを救うヒーローなんですから!」
まだそんな事言ってるのか。
ふたりの旧支配者たちは遠ざかっていく反応を追って移動を始めた。
「そもそも!ハスターが独り占めしようとさらわなければこんな事にはならなかったんですよ!」
「ニャルだって独り占めしようとしてたじゃないか!」
ギャーギャーと喧嘩をしながら……。
………
……
…
side メイジ
暫く前、クトゥルフ達がバチバチ戦闘をしていた頃。
うおー!いけークトゥルフー!
絶賛クトゥルフルート突入中だったメイジは滅茶苦茶クトゥルフを応援していた。
そんな戦いに夢中になっていたメイジの視点が45度右に傾く。
「へ?」
そして一気に視点が横に移動する。
「……へぇ!むごぉ!?」
「静かに」
口に放り込まれる布。そしてスピードは一気に加速する。
(これってまた誘拐されてるんかー!?)