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女神の恋人  作者: おうどん(きしめん)
第10章【メイジ誘拐される】
329/368

~出力差~

side ハスター



「うるさい、メイジは渡さない」


さて、さっきから話し方がゆっくりなこの子だけど神としての力だったら十分なんだよね。まぁその格だったら上位に位置する実力はあるようね。


「と言っても、このまま時間稼ぎされても仕方ないし」


ハスターは背中に魔力を集中させる。さっきと同じように超高速で目の前に立ちはだかる神もろとも吹き飛ばそうということだ。


「【レジスト】」


神が手をハスター側に翳す。


「あら」


ハスターが背中に収束させていた魔力が霧散した。この【レジスト】はスキルなどに使われる魔力をスキルが発動する前に霧散させることで発動を防ぐ技。地上ではこの技は失われているため、使えるのは神のみである。


「何か入れ知恵されてるね?」


「……なんでもいい、止めれれば」


これは邪神くらいのやつがバックについてるなぁ……。うーんめんどくさい。


「これはさっさとメイジかっぱらって逃げるに限るなぁ!」


再度背中側に力を貯めるハスター。


「……逃がさないって言ってる【レジスト】」


「……」


しかし、ハスターの背後にたまる力は霧散することはない。ハスターは神に霧散できないほどに魔力を集中し、固定化したのだ。神のレジストの精度が向上していれば、止めることはできただろうが、何しろ神としての格が違う。


「……対策早いね」


「もっと動揺するかと思ってたけどね?」


「いや、いつかされるとは思ってたけど、ここまで早いとは思ってなかった」


「じゃ、行くね?」


「……させない」


ハスターが神に向かって一直線に突っ込んだ。



………

……



side 旗艦ヴェンジェンス 指令室



『ハスター!こちら側に接近中!』


「ハスターだけか!他の二柱は!」


『ニャル!クトゥルフともに膠着中!』


「やはりハスターは遊んではくれないみたいだな、接敵までどれくらいだ!」


『それが……速度が常に変化しております』


「変化している?まだ戦っているというのか?」


『映像だします!』



………

……



side ハスター



「これは驚いた」


高速で神に突っ込もうとした時に、神のほうからハスターに飛び掛かってきたのだ。そして神も自分の後方に魔法を発動。神の後ろには巨大な出力の火属性魔法。その魔法の反動でハスターは押しとどめられていた。


「撤退するだけの時間は稼いで見せる!」


「出力勝負ってわけ?面白いね」


ハスターが出力を上げた。



………

……


side 旗艦ヴェンジェンス 指令室



『魔法の反動でハスターの動きを抑えているようですが完全には封じられていないようです!』


『……!ハスター側の出力!さらに増大!速度上がります!』


「厳しいか」


『押し切られます!接敵まであと30秒!』

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