~劣勢~
side 旗艦ヴェンジェンス 指令室
『ゴッドスリー!機体を捨て生身での先頭開始しました!』
「……流石にあの機体で旧支配者を相手取るのは無理か」
生身での戦闘はゴッドスリーに大きな負担を強いることになる。戦闘後の大きな消耗は致し方ないだろう。そして旧支配者たちの事だ、戦う前にでもゴッドスリーの正体に気が付いたであろう。最も、旧支配者はそんなこと気にしないかもしれないが。
「後十分、勝たなくていい、拮抗するだけでいいんだ……頼む」
『艦長、いざとなったらメイジさんを連れて艦長だけでも』
と指令室にいる一人の部下が言った。
「駄目だ、それは最悪の場合と言っただろう」
『艦長、我々はここで死んだとしても復活できます、ならば使命を優先するだけの事」
「何度も言わせるな、それは最悪の場合だけだと」
『賢明な判断をお願いします』
side ニャル
「ほらほらぁ!そんなもんですかぁ!?」
「あなた自分の力、わかってるんですか!?」
ニャルの翼から放たれたレーザーが敵に向かって放たれるが、
一言でいうなら、ニャルが敵のゴッドスリーの一人を圧倒している。明らかにパワーバランスが違う、力の出力の差が大きい。敵がニャルといまだに戦えているのはニャルの動きを呼んで紙一重で避けているからに過ぎない。
残り時間8分、敵は旧支配者相手に二分耐えただけで大金星なのだ。
しかしお姉さん系ゴッドスリーの体力は減少している。肩で息をしており、もうそろそろ避けるのにも苦労してくるころだ。
「あれ?神なのに疲れるんですか?」
「何よ、そっちが疲れやすくさせてるくせに」
「んーまぁ色々権能は使ってますけど」
「私ぐらいじゃ全部相殺するのは無理なのよ」
「ま、そんなもんですか」
これがニャル本来の強さ、普段は力の使い方を間違えてるだけなのだ。ニャルが右手をかざすと黒い剣が出現する。その剣先をお姉さん系ゴッドスリーの首に向ける。
「さようなら、少しは楽しめましたよ」
剣を突き刺そうとしたその時。
首に刺さろうとしていた時、ニャルにこんな通信が入る。
『ハスターがメイジを攫って逃走してる、独り占めする気だ』
とクトゥルフからの声。
「幸運でしたね、コンマ1秒も無駄に出来なくなりました」
剣をしまい、ニャルは怒り狂いながらハスターの元へ向かった。