~アルケーの婚約大作戦!part76 ~
side リナ
拳から血が出ている、けれども殴りは止めない。そんな殴り合いが数分続いていた。
「そろそろ倒れてくれるとうれしいんですけどねぇっ!」
「うるさいですね、それはこっちのセリフです。メイジ様の為に早く倒れて下さい」
「はぁ?倒れるのは貴方に決まってるでしょう?私とメイジ様の逢瀬を!」
「もっとメイジ様の事を想った演技にしなさいよ」
「私がメイジ様を想っていないですってぇ!?言ってくれるじゃない!」
とはいっても、相手も肉弾戦はそこそこに出来るのかこのままでは早めに決着がつきそうにない。という事ならこういう一騎打ちの殴り合いになったとしても、少し卑怯な手を使うしかない。
「あなたもきれいな顔してますね、まぁ私程じゃないですけど」
「?どういう事ですか?」
「今からその顔ぶっつぶしてやるから覚悟しろってことですよ?リナさん」
「ふーん」
顔をですかねぇ。
「そういうあなたもですよ。自称奇麗な顔、へちゃむくれにしますからね」
………
……
…
ここで右からの顔ッ!
セシリアからの拳を避ける。先程から顔を執拗に狙ってくる為、避けるのは容易になってくる。顔にも所々傷が入っている。
こんな顔メイジ様に見せるのなんてとてもできたものじゃないけれど、幸運にも今メイジ様は目隠しをされている状態。終わってから魔法で回復すればいいだけ。
それに、今彼女に決定的な一撃を与えるのなら、油断させる必要がある。
こうして避けて凌ぐだけならどうとでもなるけれど、倒すほどの一撃を与える隙がない。それにこれは最初を外したらすべて終わり。
セシリアの弱点というか隙を生む……動揺させるだけの何かがあれば。
……ある、そして多分100%成功する。
「あー!メイジ様が全裸で発情してる!」
「うっそぉ!?」
セシリアはおもいっきり顔をメイジ様の方に向けた。
「隙あり!」
身体強化!拳に纏わせ、氷を拳に!
誰も魔法使わずに戦うとは言ってないわよ!
「ちょっ!」
「はぁぁぁ!!」
ゴギッ!
リナの放った拳はセシリアの顎を捉えた。
次回から色々展開が変化するかもしれません。そしてこの長く続いたサブタイトルも近く変化するかもしれません。