~原因の除去~
そのまた次の日、俺達は世界樹に止まっている蝶の親玉を探すべく、世界樹の幹に来ていた。
「蝶々がいたのです!」
彼方此方に蝶が止まっており、その口吻を幹に指していた。
恐らく神力を吸っているのだろう。
「【マーキング】」
ご都合主義の【創造】で作ったスキルである。
これさえあれば何でも出来るんじゃないだろうか。
飛んで行こうとする蝶にマーキングをする。
マーキングは使った相手の場所を知ることの出来るスキルである。
「よし、追うぞ」
「はいなのです」
「ええ」
「畏まりました」
ポンッ
グリモとエクスは剣に戻り俺の腰に装備する。
俺は【飛行】を使い蝶を追うことにした。
「ロゼって飛べる?」
「問題ありません」
ロゼはメイド服の上から虹色の羽根を生やし、宙に浮き上がる。
「おお、綺麗だな」
俺も【飛行】を使い浮き上がる。
「恐縮です···」
·········
······
···
蝶を追い三十分。
俺達はエルフの森の結界の外に出ていた。
結界の外には鬱蒼とした森が生い茂っており、先程から魔物の鳴き声が彼方此方から聞こえてくる。
「うへーこれは結界無いとやばいな」
昔のエルフ達が世界樹の近くに国を作ったのも頷ける。
世界樹の結界が無けれはエルフの森は直ぐに崩壊しているだろう。
「ご主人様···微かな神力を感じます、目的地は近いでしょう」
確かに進行方向から神力を感じる。
親玉は神力を集めて何をしたいんだろうか。
『考えられるのは一時的な亜神になる事ですかね』
亜神になる?そんな事が可能なのか?
『下界で亜神になるなら神力を大量に消費して時間制限ありで亜神並にステータスを上げられるんです』
それで神力の供給源に世界樹を選んだと。
その親玉ってのはそんなに知能が高いのか?
『多分魔王化はしているでしょうね、そうでもしなければ魔物に高い知能なんて宿りませんもの』
やっぱりかぁ···
「まず最初にロゼに戦ってもらおうか、実力を見るということで」
「畏まりました」
その後10分飛行していたところ森の中に開けた場所が見えてきた。
開けた場所には大木が生えており、そこに大きなアゲハ蝶が止まっているのが分かる。
周りには眷属の蝶が大量に飛んでいた。
アゲハ蝶の羽は光輝いており、そこからは神力が感じられた。
アゲハ蝶はこちらを向きその大きな羽を震わせ威嚇してきた。
「じゃあロゼ頼む、危険になったら直ぐに退避するんだぞ」
「畏まりました、あの様な駄虫、ご主人様の手を煩わせることはありません」
ロゼは虹色の羽根を震わせ、巨大なアゲハ蝶に向かって向かっていく。
「では【六種の精霊】」
ロゼの周りに赤・青・緑・茶・金・黒の光の玉が出現する。
「我の命令に従い、かの敵を打ち滅ぼせ【六種の舞い】」
六種類の精霊からそれぞれの属性に合った精霊魔法が飛び出す。
六種類の光は混ざりあい、虹色の光に集束する。
────ピシュ~~~~~────
え?お前そう言う鳴き声なのかよ、キモイな。
アゲハ蝶は金色のオーラを纏い、虹色の光を跳ね返した。
「ふむ、我の命令に従い、我を守りたまえ【六種の守り】」
虹色の壁が跳ね返ってきた光を消失させる。
それに逆上したのかアゲハ蝶は神力を解放する。
「亜神になりましたか、ご主人様【擬似神化】の許可を」
「いいよ、後で神力の補給はするから、好きにやりな」
「ありがとうございますご主人様」
ロゼは己に宿っている神力を解放する。
虹色の髪は輝きを増し、伸び、己の能力を神へと昇華する。
「神化ってのはやったことないから初めて見るけど壮大だな」
「綺麗なのです」
「眩しいわね」
「ご主人様の命に従い、敵を排除する【精霊神の威光】」
ロゼの背後に数多の数の精霊が出現する。
それは100を優に超える。
流石のアゲハ蝶もこれに驚いたようだ。
「ヤベェっ!ここら一体が吹き飛ぶ!【五重神防結界】」
「消えろ、駄虫、【精霊神の怒り】」
虹色の光が結界内を包む。
·········
······
···
「すみません、やりすぎました」
「···まぁ、いいと言ったのは俺だし···俺の魔法で戻したから良いけどね」
「ご主人様の寛大な処置、感服いたしました。このロゼ、ご主人様が世界の敵となろうともお供致します」
「そう···」
『私もあれぐらい出来ますよっ!』
『本気出せばグリモも出来るのです』
『何に張り合ってるのよ···』
「大丈夫ですか!?」
エメラルドグリーンの長い髪を靡かせて、こちらにやってくる精霊王。
「神力の爆発を感じたのですが···何があったのでしょう!?」
「それはな···かくかくしかじかいあいあクトゥ〇フ」
「なるほど、神祖様が敵を倒し、メイジ様が地形を直したと」
『それで分かるのね···』
何より、ロゼのお陰で今回の原因は排除出来た訳だし、後はこれからの対策を考えて終わりかな。
またこんな事が起こったらめんどくさいし。
こうして俺の神祖メイドさんが問題を解決した。
スキルの名前考えるのに時間掛かった···
( ˙-˙ )
新連載を開始しました。
弓無しの弓術士
http://ncode.syosetu.com/n2038ed/