~問題の原因~
翌日、俺は自分にあてがわれた部屋のベットで目を覚ます。
「おはようございますご主人様」
俺が起きるのを見計らったようにベットの前でお辞儀するロゼ。
全く···凄い精霊を呼び出したもんだよ···
「あぁ、おはよう···」
「くぅ···すぅ···」
「うにゅぅ···」
俺の両隣にはグリモとエクスが寝ている。
────うん?朝チュンとか無いよ?大丈夫、2人とも服着てるし。
大体俺が致したのは殆ど拘束されてるし、そんなに節操無いわけじゃ無いよ?
···多分
·········
······
···
現在も神力が減少している原因を探るため試しに世界樹を外側から見てみる事にした。
世界樹には鳥や蝶が幹に止まっていたり、小さい木の実がなっていたりした。
「特に問題は無さそうだなぁ」
結局原因は分からず、継続してロゼに調査を任せることにした。
このまま原因が分からずじまいだとまた神力供給しなきゃやばいよな···
神力が尽きるたびにこっちきて致すのは申し訳ないし、やっぱりスキル作ろう。
『メイジさんそれは名案です、今すぐやりましょう』
わかってる、部屋に帰ったらすぐやるから。
「グリモとエクスは休憩してていいぞ、二人で街でも見てくるといいおこずかいあげるから」
「お金なのです!」
「そろそろプライベートが欲しかった所ね···ありがとうございますご主人様」
グリモとエクスに10000アルずつ持たせ見送った。
俺はひとりで自分の部屋に戻り早速スキルを作る事にする。
「【創造】スキル 神力共有」
【スキル 神力共有 を習得しました】
【神力共有】
相手と抱き合うことで神力を操作できる
よしこれで致すことなく神力を渡せるはずだ。
抱き合うなら全然ましだしな。
後でエルフィかロゼで試そう。
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sideシルフィ=メイデン(精霊王)
『万能』と『水王』が依頼を受けてこちらにくるとのことだ。
『万能』は転移魔法が使えるようで、今日にでもこちらに来るようだ。
表向きは光属性魔法を使った世界樹の治癒だが、目的は神力の供給だ。
女神様にどうにかして神力を供給してもらうしかない。
────何たることだ、謁見の間に来た『万能』は亜神のようだ。
更に私よりも高位の神だ、それなら彼に直接神力を供給してもらえばいいではないですか!
彼の容姿は悪くない、むしろ好みの域だ。
今回の問題、早急に解決できそうだ。
────おかしい、彼に供給してもらった神力がどんどん抜けていく。
まるで何かに吸収されるように。
もらった神力のお陰でしばらくは大丈夫だが、これは早急に解決しなければいけない。
────神祖様!?まさか!?それもメイド姿で!?
神界にいらっしゃるとは聞いていましたが、お目にかかるのは初めて。
その神祖様がメイジ様のメイドをしているですって!?
ほんとに彼は文字通り『万能』のようね────普通、精霊はエルフにしか使役できないはずなのに···
···············彼に嫁いだ方が国にとっていいのでしょうか···?
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sideロゼ (精霊の神祖)
私はずっと退屈していました。
神界の生活は非常につまらなく、私はいつもため息ばかりついていました。
神界には本当に長いこといたのでやることが全くなかったのです。
当時の私には生気というものが存在しなかったと思います。
ある日神界の友達にこんなことを言われました。
「あなたも精霊ならいつか召喚されるかもね」
そんなのありえない、と私は答えました。
亜神に見合うだけの力を持つエルフなど存在しないと。
あの頃はそう思っていました。
ある日私はいつもどおり暇を持て余していた所に突然頭の中に声が響きました。
【精霊召喚により下界時間三日後に召喚されます、主の情報をインプットします···············完了しました】
私は何が起こったのか分からなかった、私が召喚される?
私は主の情報を確認する。
彼は人間だった、それも亜神だ。
さらに異世界人で女神様達とただならぬ関係らしい。
興味は尽きなかった、それからの三日間は退屈なんて存在しなかった。
彼のためにメイドの技術を極めた。
彼なら下界に行っても退屈なんて存在しないだろう。
ああ────やっと見つけた私のご主人様────────この身が尽きるまでお仕えいたします────
「召喚に預かり参上しました、私は全ての精霊を司る精霊の神祖『ロゼ』と申します。現在からご主人様に使えさせて頂きます。」
「お、おうよろしくな、メイド服を着ているってことは家事とかってできるのか?」
「はい、ご主人様の役に立てるように先ほど学習してきました」
「そうか、じゃあそこにいる二人の指導を頼む、二人共俺の精霊で黒髪のがグリモ、白髪のがエクスだ。」
「よろしくなのです!」
「よろしくお願いするわ」
彼女は愛しきご主人様に忠誠を誓う────────
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sideメイジ
翌日、ロゼの調査が終わったようなので結果を聞くことにした。
「結果を申し上げます、原因はある生物でした」
「生物?」
「正確に申し上げますと『蝶』です」
「蝶?」
確かに昨日の見回りでいたことにはいたが、止まっているだけだったぞ?
「あの蝶達には親玉が存在していました」
「親玉?」
「はい、世界樹の幹に止まっていた蝶たちはその親玉の眷属であると考えます。眷属たちは世界樹に循環する神力を吸収し、親玉に届けていると考えられます。おそらくその親玉は弱いですが『亜神』になっているものと考えられます」
亜神────となるとこの依頼は相当面倒くさいことになるぞ。
魔王を通り越して亜神だし。
この依頼は俺が解決しなければいけないな。
勇者なんかに戦えるはずがなさそうだし。
「ありがとう、ボーナスに神力を2000ほどあげるよ」
「分かりました···では」
「あっ、スキルで神力渡せるようにしたから!大丈夫だよ!」
「······畏まりました」
「条件が抱き合うことだからこっちに来てくれ」
俺とロゼはハグをする。
『後で女神様フルコースですね♪』
やめてくれよ···あれは六時間の地獄の快楽だ·········
「ありがとうございます······」
心なしかロゼが頬を染めていた気がする。
こうして俺は蝶討伐へと目標を定めた。
新連載を開始しました。
弓無しの弓術士
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