~アルケーの婚約大作戦!part59 ~
真っ暗になりまして、泥酔したニャルさんをおんぶして街をあるいてます。転移でもして旅館に戻れるじゃんって思ってるそこのキミ、事前にニャルから、
『私が泥酔したらおんぶして少しぶらぶらしてから旅館に送って下さい』
って言われたからです。なんだよその要求って思ったけどじゃんけんで負けました。因みに俺が勝ったらしばらくおとなしくアルケー達の手伝いをするって賭けだったよ。戦力になるか分からないけどおとなしくはなると思った……けど駄目でした。
「スピー……スピー……」
なんか昔の漫画のような寝息を立てるのね。なんかニャルの寝息って『グガァァァァ』みたいなおっさんのようないびきをするものかと勝手に想像してしまいました、ごめんなさい。
そして、さっきジャンケンで買った時に
『このルートで帰って下さい』
と書かれたメモを貰ったので、その通りに帰ってます。メモに書いてあった道は普通の大通り。特に変な事ないのに何でメモなんて渡したんだろ。
「うへへへ……メイジさんがいっぱぁ~い……頂きまーす」
「どういう夢だよそれ」
「それに匂いが目茶苦茶近いです……クンクンクンクン……」
「ヒエッ……」
夢の中でどんな事されてるんですかね、恐怖しか無いんですけども。
「スゥ……スゥ……」
しかし、それ以降寝言などは聞こえる事は無かったので夜の街並みをゆっくりと眺めながら旅館へ帰る事が出来た。
レンズが密着する二人を捉えている事をメイジは知らなかった。
………
……
…
十数分ぐらい歩いて旅館にたどりつきました。背中のニャルさんはまだすやすや中です。
そのまま何事もなくニャルの部屋に到着。既に敷いてあった布団に寝かせました。
「よし、また明日な」
部屋のドアを閉め、ニャルとのデートは終了した。
………
……
…
「ソウちゃん」
『はーいマスター。デート終了ですねー?』
「まぁ本人が寝ちゃったしね」
『はーい、ではメイジさんも就寝なさってはいかがですか?一応ほぼ一日遊び倒したようですし』
「そうしようかな。じゃあ部屋で寝てくるよ」
『一応今回のデートでやったことの辻褄合わせは任せて下さい』
「助かるよ」
時間を止めて貰っていたソウちゃんに終了を告げ、寝室へ向かう。
いや、今日は大分はしゃいだ。ニャルとの会話って脳みそ溶かして会話できるから楽しいんだよね。それにそれにニャルは京都は初めてだったからか反応が新鮮で隣で見ていて楽しかった。
またいつか二人で出かけられるといいなぁ……。まぁまたソウちゃんに相談しなきゃいけないわけだけど。
そうして辿りついた寝室の扉を開けると。
「あ、マスターお帰りなさい」
ソウちゃんが俺の布団で寝ていました。
「……なんでいるのでしょうか?」
「今回私は頑張りました」
「はい」
時間止めたり、つじつま合わせとか途中のサプライズの為に時間をいじってくれたこととか。うん、それは間違いない。
「なのでご褒美です」
「ご、ご褒美というと」
「あ、先に言っておくといやらしい事ではないですよ?メイジさんも疲れていらっしゃるでしょうし」
「じゃ、何をご所望なんだ?」
「私と添い寝してください」
「ま、まぁそれくらいなら」
「やっちゃ!」
やっちゃ?
「あ、気にしないでください。さぁほらお布団温めておきましたよ?」
「お邪魔します」
ソウちゃんに促されるまま布団に転がり込む。
「むふふ……ではおやすみなさい……」
「おやすみなさい……」
………
……
…
「ふふ……眠りましたね……」
目の前にあるマスターの顔。存在、匂い、感触。
「うふふ、メイジさん、抱き枕になっていただきますからね……」
ソウちゃんはメイジに抱き着き、そのまま休息に入った。